第154話
「レオナさんご理解頂けましたか?私とあなた達とは考え方も価値観もまったく異なるのです。ですから目隠しされないと言う事でしたらここでお帰りになってくださって結構です。お帰りになってもグランカスへは私からきちんと貴女達の不利益にはならないように説明しておきますのでご安心してください」
もうこいつら帰れよという気持ちを込めて告げたが。
「わかりました」
帰ると思っていたアリーシャが俺の手から布を受け取ると目隠しをする。
「これでいいですね?パステルもレオナも目隠しをしないならこのまま町に戻りなさい。同行するならクサナギ様の意見に添いましょう」
「わかった」
レオナも目隠しをしたが、パステルは立ち上る事は出来ないようだ。ヒールはしたから問題ないはずなんだが、さてどうしたものか?
「クサナギ様、パステルはこのまま置いていきましょう。ダンジョン1階層なら問題ないでしょう、本来なら20階層以降に現れるコボルトがいましたから驚きましたが、すぐに階段もありますし大丈夫でしょう」
ふむ。どうやら俺の護衛をメインに考えたようだが……。俺はパステルの方を見ながらどうするか考えるがアリーシャの意見に従うのがいいかもしれないな。
「それではパステルさん、貴女はこのままエルノに帰還してください。アリーシャさんとレオナさんは私と一緒に行動しますので……」
俺はパステルから目線を外す。
「――――――わ、私も……ルグニカの騎士として一度与えられた使命は果たす」
後ろを振り返るとパステルが目隠しをしていた。はぁ、本当は帰ってくれた方が俺としては楽だったんだが仕方ないか……。俺はコボルトの方へ向き直る。
「それでは私たちを長老様の元まで案内して頂けますか?」
「わかったワン!」
白い毛並みのコボルトが歩きだしたので俺も後を追うように歩き出す。アリーシャ、レオナ、パステルには手を握ってもらい俺が先導する形をとっている。
しばらく歩くと何の変哲もない壁の前でコボルト達が立ち止まった。
俺が見てると、コボルトが壁に手を当てたかと思うと煉瓦ブロックの一部がスライドしてエレベーターのボタンのような物が浮かび上がってきた。
そして矢印の▼ボタンをコボルトが押すと高さ3メートル、横3メール程の壁が動いて人が乗れる空間が生まれた。
俺はそれを見ながら、内心オイオイと突っ込んでいる。もしかしたらさっき壁に手を当てたときのは生態認証もしくは静脈認証だったのかと思うと思わず冷や汗が出た。
「これに乗るワン」
俺は指示されたとおりにエレベーターモドキに乗る。俺に連れられていた騎士達もエレベーターに乗るが目隠しをしておいて本当によかった。これしてなかったら面倒ごとになりそうな予感しかしない。コボルトがドアを閉じると一瞬の浮遊感の後にエレベーターはゆっくりと下方していく。初めての体験からか目隠しをしてる効果もあり騎士達は怯えているが俺はどちらかと言えば高揚していた。
中世時代での超技術(オーバーテクノロジー)とても燃えるシチュエーションじゃないか!
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