第146話

お金を渡した後には、日本風の屋台の構想を教えておくことにする。

今だけ稼げても意味がないし、継続的に稼げないと駄目だと思うからだ。

そして人に説明をして商売のノウハウを説明していくと時間はあっという間に過ぎてしまう。


すでに3人を冒険者ギルドに向かわせてから4時間以上が経過している。

それでも心配して見にこないのは護衛としてどうかと思う反面、良かったとも思う。


「ほんとうに何から何までありがとうございます」


ユリカの父親が頭を下げてくるが俺は特別な事など何もしてない。

ただ、先人の知恵を借りたに過ぎないのだ。

それに……まぁ、なんだ……。


「いえいえ、明日からも大変だと思うのでがんばってください。それと先ほどお渡ししたナンプラーは、海上都市ルグニカで販売していますので購入しておくといいですよ」


俺はそれだけ言うと冒険者ギルドの方へ向かう。

市場を抜けてから、しばらく歩き冒険者ギルドの建物に入ると3人が呆れた顔をして俺を待っていた。まぁかなり待たせたのも事実出し美味しい物でも奢って謝罪でもしよう。


「急用が出来てしまいお待たせ致しました。申し訳ありません」


「別にいいよ」


「でも素直じゃないですね?」


「少しは見所があるじゃねえか?」


3人ともあまり怒ってないようで安心した。

さて、今日はもう遅いから手続きだけして明日から迷宮探索だな。


「プラチナプレート!?」


以前、俺が情報収集した受付のお姉さんは提示した冒険者ギルド仮免許証を見て大層驚いてる。


「そんなに珍しいのですか?」


質問しながらも意地悪な内容だとは思った。

クランカスから聞いた限りでは王族専用の冒険者ギルドカードらしいのだ。


「――――――はい。王家が所持しています8枚のうちの1枚のカードになります。海爵位の方で無いとお持ちできませんので……」


なるほど、グランカスは総督府が1枚づつ所有してる冒険者ギルド王家カードを俺に貸してくれたのか、そりゃ驚くか?


「それでは郊外の迷宮への立ち入りは問題ないですか?」


まぁ問題はないはずなのだが何かあったら困るし一応聞いておくとしよう。

俺に聞かれた受付の女性は俺と動向してるレオナ、アリーシャ、パステルへ視線を向けると……。


「はい、問題ありません。以前、お伝えしたとおりにギルドの規約に沿って活動してください」


「わかりました」


俺はそれだけ言うと、以前泊まったことのある宿屋に泊まることにした。

出てきた執事の方は以前とは違っていて初老を超えたあたりだった。

部屋は俺が一部屋、ほかの3人は3人で一部屋を借りた。護衛のために、俺と同じ部屋に泊まるなど行っていたが衛星都市エルノのこのホテルは以前も騎士達が詰め掛けてきた時に騎士達が入らないように対応してくれたので問題ないと断った。

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