第145話

「ここってあとで綺麗に片付ければ何も言われないんですよね?」


「え、ええ……」


ふむ、なら……。


「アースシャベリンぽいの!」


俺の言葉に地面が持ち上がり俺の想像通りに形が出来上がっていく。所謂石で作られた台みたな感じだ。次に下には空洞を空けた状態にし石の台の上は生活魔法の水で洗い流し綺麗にする。その後には生活魔法の火種の魔法を魔力量に物を言わせて火力あげて上の石を熱していく。


「エミリオさん、成功するかどうか分からないのでエミリオさんが扱ってた魚介類を纏めて購入したいと思うのですがおいくらになりますか?」


「え?えっ……と……「金貨2枚と銀貨3枚に銅貨6枚です」」


煮え切らないエミリオさんの言葉を遮ってユメさんが教えてくれた。おれは腰から金貨3枚を取り出すとユメさんに渡す。そして石で作られたテーブルが十分、火で熱せられたのを確認すると貝や魚を焼いて行く。所謂壷焼きという奴だ。

次に、アイテムボックスの中に入れておいた海上都市ルグニカで購入した魚から作られた調味料であるナンプラーを垂らしさらに熱して行く。魚関係は高質化した石の針を刺して焼くことですぐ食せる状態にする。


以前調べた限りではナンプラーは、衛星都市エルノではナンプラーは取り扱ってなかったはずだから俺の考えが間違ってなければ客が連れるはずだ。

料理をしていると一人の鉄鎧を着込んだ冒険者風の男が近づいてきた。


「お嬢さん、これはなんて料理なんだい?」


「はい!これはサザエのつぼ焼きといいます」


まぁ実際はサザエかどうかは知らんが、形はサザエだから問題ないだろう。

ナンプラーが熱せられた事で周囲に香ばしい匂いが立ち上る、少しづつ市場で買い物をしていた人たちがこちらへ関心を見せてきた。

さて、がんばるか……。


それから2時間はかなり大変でエミリオさんもユメさんにもがんばってもらった。


「ふむー。金貨7枚と銀貨33枚と銅貨181枚ですか……まぁまぁですね」


売り上げはとんでもないことになっていた。

そう、市場で食材は売ってても食事をする場所が食堂しかないのだ。

だから市場では食事をするような場所がない。少し何かを摘もうという発想がここの世界にはないのだ。


日本円で言えば、仕入れね23000円とナンプラーが銀貨3枚で3000円で26000円程度。生活魔法だったから今回はほとんど薪代とかかからなかったが、薪を使っても金貨3枚の30000円程度で金貨10枚の10万円近くは稼げるし原価と手間を差し引いても金貨7枚は手元に残るはず。


これなら派遣をしなくてもいいし、借金を返すことも可能だろう。

問題はすぐに真似をする類似店が出て来る事だが、そのときはそのときでまた差別化を図ればいい。


「それでは先ほどの金貨2枚と銀貨3枚抜いた売り上げ金を渡しますね」

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