第144話

――――――うーむ……。


俺はそこまで酷い人間に見えるのだろうか?そもそも事の発端はお前らの娘が俺を刺してきたからなんだが?でもなー。


チラッと幼女に視線を向ける。

たしか名前はユリカだったはず。

そして周囲を見渡す。市場の誰もが美少女である俺と幼女とその両親の成り行きを見守っている。


「く……クサナギ殿、幼き子に手を上げるなど騎士として看破できな……」


とレオナが言い


「クサナギ様、どのような事情があったか分かりませんがあまり手ひどい真似は……」


とかアリーシャが言って


「けっ!これだから貴族様はよ!」


ってパステルを含めた3人が思い思いに俺への感想を述べている。何故だろう?護衛の騎士なはずなのにこのアフェイ感……。俺は基本、自分中心的に動いているが他人に迷惑をかけたつもりなんて1厘もないのに誠に遺憾である。遺憾砲を所望する!


「ヒール」「ヒール」


ユリカの両親は解析した結果、体の骨が骨折した後におかしな方向で繋がっていたようなのでヒールで直してやった。それと体力と生命力が減っていたのでその分も回復しておいた。2人とも自分自身の体が軽く感じられるのか俺に何度もお礼の言葉を述べているがそういうのは止めてほしい。

知らない人が見たらまた誤解するかもしれないし……。


「えーと……」


ユリカの両親が売ってる物を鑑定していくと薬草や漁港にありがちな魚介類だったが周囲の市場と比べてもみすぼらしいと言うか何と言うか売れて無さそうに見える。


「やっぱり奴隷だったんですよね?」


俺の言葉にはいと答えてくれるユリカの父親にどうしようと考える。茣蓙の上に直接並べられてるユリカの両親の店舗よりもきちんとした店構えの露天商のほうが売れてるのは当たり前で……。


「売れてますか?」


あまり聞きたくないが首を左右に振られて俺はどうしたのだろうと内心溜息をついた。腹を刺された相手の両親など放っとけばいいとは理解はしているが、かかわりになってしまった以上改善の余地があるなら手を貸してもいいとも少しは思ってしまっている。

はっきり言って、こんなのは自分よりも他者の境遇を下に見て責任を持たない偽善的思考ってのは分かってるが……。


「アリーシャ、パステル、レオナ、先に冒険者ギルドに行っておいてくださいませんか?」


「ですが、クサナギ様!」


アリーシャが反論しかけたところで、俺は3人に先にいくようにと目で語る。

パステルは納得しなかったようだがアリーシャとレオナが納得してたようでパステルをつれてそのまま冒険者ギルドの方へ向かってくれた。


「さて、ユリカのお母さんにお父さん。少しお話があるのですが……」


さあ、ここからは俺の腕の見せ所だな。

まずはユリカの父親の名前はエミリオ、母親の名前はユメだった。

二人に茣蓙の上に直接おいておくと品質も悪くなるし、衛生面も悪くなると説明しようと思ったがきっと理解してくれないと諦めた。

そうするとこれからお昼時、ならすることは……。

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