第131話

となりでは、キッカがそういう事かいと言っていた。

私はどういう事だ?と聞くとキッカは迷宮がある方を指差した。

迷宮からは巨大な黒い光が放出されており、その後に黒竜の断末魔が辺りに響きわたった。


そこで私はようやく納得した。

カイジン・クサナギがこの地に来たのは私を助け出すためと息子のカーネルに何が大事かを教える為、そして迷宮の黒竜を倒し町を救う為だったのだと。


私は、カイジン・クサナギが倒した黒竜の魔法石を使い再び衛星都市エルノを立て直す事を誓った。


そしてキッカからカイジン・クサナギは、市民権を持ってないと知らされた。

カイジン・クサナギは、スメラギにいるらしく私は市民権を作りそして王位簒奪レースに彼女に渡す事が出来た。


クサナギは言った。これでレースに出ることが出来ると。


そして彼は自らの身を挺してまで、国民の為に私欲に塗れた王家の船を全て撃沈し王家の椅子から引きずり下ろした。


自らは市民権を失い全ての資産を没収されようとカイジン・クサナギは、人のため国民のために最後まで戦い抜いたのだ。

レースの審議員がなんと言おうと、国民は知っている。


カイジン・クサナギこそが国を救った英雄だと。


海上都市ルグニカだけではなく、エルノやスメラギを含む7つの衛星都市でもカイジン・クサナギの銅像は、港や市場の最も目立つ場所に立てられる予定だ。




海上都市ルグニカにある刑務所は、海賊達が国を興した200年まに作られてから一度も脱獄を許したことはない。それは犯罪者が犯罪者の目線で作った刑務所だからでありここに収監されれば二度と出てくることは無いとまで言われていた。


「ほら!飯だ!」


草薙は、いつも食事を持ってきてる女性騎士を見て食事を受け取った。

ここルグニカでの刑務所は基本、男性監視者しか居なかったのだがルグニカ総督府の総意により草薙の為だけに女性騎士が監視者として配属された。ただ、国内にわずかしかいない女性騎士は高い倍率を誇った難関を潜り抜けてきただけあってそのプライドは高く刑務所に配属されるなど屈辱の極みでもあった。そのため、草薙への当たりは強い。


「………………いだ」


「ん?なんだ?早く食え!」


草薙が刑務所に収容されてからすでに一週間が経過しておりお風呂にも入ってない。そして小食とは言え不味いご飯を食べさせるなど日本人としては許しがたい行為でありすでに草薙の精神は限界に達しつつあった。


「もう、げんかいだー!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る