第132話

そしてとうとう、草薙は切れた。

よくある団塊世代の暴走と言う奴である。


「な、なんだ!?」


女騎士は草薙の方へ視線を向けてるがその眼は信じられないモノを見る眼差しであった。


「そもそもおかしいんだよ!王位簒奪レースなんだろ?どうして進路妨害で投獄されないとおかしいんだよ?ああ!おかしいよ思うよな!」


草薙のあまりの剣幕に女騎士は鉄格子とは言えコクコクと頷くことしかできない。


「いいぜ、やってやるよ!そっちがその気なら戦争だ!!!」


「おい、やめろ!バカ!!」


丁度そこに現れた男、グランカスの発した言葉で草薙から漏れていた膨大な魔力が小さくなっていく。そしてそれに伴い金縛りにあっていた女騎士が腰を抜かして石畳の上に座り込んでしまう。


「まったくこうなるとは思ってたが来て正解だったな」


「正解じゃねーよ!もっと早くこいよ!ヒール講座するぞ!!」


もはや切れて対面も何も取り繕わない団塊世代の草薙だった。


「おい、こいつは今日限りで釈放になったから鍵を開けてくれ」


グランカスの言葉に女騎士は牢屋の鍵だけを差し出すとそれを受け取ったグランカスは草薙の牢屋を開けた。


「ほら、さっさと出ろ」


こうして一か月間、刑務所暮らし予定だった草薙はわずか一週間で娑婆に出られたのであった。


「かーっ!娑婆の空気はうまいぜ!」


刑務所から街中に向かう途中で草薙は背伸びをしながら任侠映画のようなセリフを吐くがそれを聞いたグランカスは額に手を当てていた。


「お前な、もうすこし丁寧な言葉遣いをしろよな」


「別にいいじゃん。どうせ、俺の本性知ってる人間の前で演技しても仕方ないだろ?」


そう、草薙は自分の本性を知ってる人間の前では効率が悪いからと演技はしない。だからグランカスや一部の人間の前ではそのままの言動で接している。


「で、本来なら一カ月間は刑務所にいるはずの俺を解放したって事は何かが起きてるんだな?」


「まあな」


草薙は、現在何が起きてるかを考えていく。


まず最有力候補なのが帝政国からの侵略。これはかなりの確率であり得る。何故なら草薙が主力である海洋国家ルグニカの軍艦7隻を沈めたからだ、

隣国との相対的軍事力に差が出れば侵略戦争になる。

それは、元の世界で中国が尖閣諸島や韓国や南シナ海に侵略戦争の前哨戦を仕掛けてきてる事からも良く分かる。

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