第75話


「実はね、私はそんなに長くないの……」


「え?」


ユリアは下を向いてた顔を上げてカリナを見た。


今、カリナはなんて言った?


長くない?え?どういう……。


「ユリアは知ってるわよね?私にまったく魔力が無い事を」


「知ってますけど、すごい強いじゃないですか?」


「うん、でもね……。不思議に思わなかった?魔力が全く無いのに私が一度もこの騎士団の模擬戦で負けた事がないことに」


カリナに言われてユリアは初めて疑問に思った。


戦闘に置いて魔力量は絶対的な力の差となって現れると保護されたばかりの時に騎士団の講座に連れて行ってもらった時に教えてもらった事があった。そしてユニコーンに入団する前提条件は、中級魔法師に匹敵する力を持ってる事。事実、ユニコーンに所属してる団員は全員、中級魔法師なみの魔力量を持っている。


その中でカリナだけが魔力を持っていなかったけどカリナは強かった。

だから今まで気づかなかった。


「それじゃなんですか……カリナは……」


「うーん、すぐには死なないけどね。でも、あまり時間がないのよね。ほら、やっぱり女なんだし子供くらい産みたいからね?それにね、ユリアは刃物を握れないでしょう?ほら、王宮にいくと王宮専属料理人がいてね、騎士団で出される物よりずっとおいしい物を出してくれるらしいの。とってもお得よね?」


そう言いながらカリナはユリアに晴れ晴れとした笑顔を見せた。


たしかにユリアは過去の出来事から包丁ですら握ると恐怖で手が震えてしまいまともに扱う事ができない。

だから騎士団の食堂から出来合い物を毎回部屋まで運んできては食卓に並べていた。


でもカリナが王宮に入ったら私はどうなるのだろう?

私は、何をすればいいのだろう?


考えてもどうしたらいいか纏まらない。


「それで私、考えたんだけどね?ユリアも一緒に後宮にこない?ほらおいしい物いっぱい食べられるわよ?」


カリナの言葉にユリアの気持ちは揺れ動いた。きっとカリナは気がついている。私がカリナに依存してる事を……まだ一人では何も決められないことを。自問自答するが自分がどうしたいのかどうすればいいのか、それはすぐには答えはでないけどでもいつかは出さないと行けない私が本当にやりたい事を見つける事。

だから今は、もう少しだけカリナと一緒にいて恩を返していきたい。

少しづつでもいいから、だからユリアは、決めた。


「仕方ないです。カリナは本当に仕方ないです。仕方ないから私がカリナのお世話をするメイドを目指します。カリナのメイドとして立派なメイド服を作って後宮一のメイドになりますからいっぱいいっぱい感謝して少しでも長生きしてくださいね」


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