第62話

腹違いの兄弟は皆、魔力量が3桁から4桁近くあった。僕は、魔力量至上主義の貴族たちに軽く見られていてそれを覆い隠すように正義感だけは誰にも負けないようにしてきたが実際は、そんなのは虚像に過ぎなかった。正義感があっても力が無ければ何も変えられない事を僕は嫌と言うほど教えられた。


そんな僕に少女は手を差し伸べてくれた。

何も出来ずに前へ歩けずに怯えて泣いていただけの僕に力をくれた。


僕は、真実の鏡に魔力を注いだが石版は砕けてしまった。

僕を含めて室内にいる誰もが石版の破片を見て硬直してしまう。

魔力量25000まで測ることが可能と言われている石版を壊してしまったのだ。


「なるほどこれは予想以上ですな?」


エルドは満面の笑みで父上に話しかけているが僕にはそれがどういう意味かいまいち理解できない。


「エルド、あれを持ってきてくれないか?」


「かしこまりました」


父上の命令にエルドは、執務室から出ていくとしばらくして王宮近衛兵を二人連れて執務室に入ってきた。

王宮近衛兵は、二人で直径1メートルほどの透明な水晶球を抱えている。


「そこに下ろしてくれ」


近衛兵はエルドの命令に頷くと務室内の床にそっ水晶球降ろし執務室から退室した。


「クラウス、もう一度ステータスを測定してみてくれ」


「分かりました」


普通の石版と違って教会に設置されているこの水晶は魔力量だけ測定するために魔力測定に特化していて何度でも利用ができる。魔力量が国の国防力に直結するので優秀な人材を見逃さないために誰でも無償に使えるようにリースノット王国は教会に寄付し設置してもらっていた。僕は、執務室の中央に置かれた水晶球に両手を載せる。そして魔力を流した結果、表示されたのは魔力量が53万と言う帝級魔法師としての魔力量だった。


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