第60話
「はい、なんでしょうか?」
僕の考えでは、庭園であった少女が渡してくれたあの白く輝く石が僕に力を与えてくれたとしか思えなかった。
だから僕は少女と話しがしたかった。
「僕と一緒に居た少女を覚えているな?」
「はっ!遠目でございましたが」
「そうか、どこの令嬢だ?」
平民が王宮内の庭園に立ち入る事などできない。
そうすると少女は、どこかの貴族のご令嬢となるが僕は今まで父上との付き添いで多くの貴族と会いその度に同年代の女性を
遠まわしに紹介されたがあのような少女は見た事がなかった。
「いえ、名前は存じませんが……」
「そうか」
やはり近衛兵のエリートのマルスであっても分からないか。
公爵、伯爵、侯爵、子爵、男爵と多くの貴族家が存在しているからこそ、紋章官でもない彼では分からないだろう。
「ですが……バルザック様と一緒に歩いておりました」
「バルザック?シュトロハイム家の?」
「はい」
つまりの娘は、シュトロハイム家の血縁者。それだけ分かればいくらでも調べることができる。
僕は、はじめて本当に欲しいものが出来た。
特級魔法師、それは上級魔法師以上の魔力量と特殊な才能を持つ者を言う。
マルスよりバスザック公爵の話を聞いた後、すぐに国王である父上に僕は呼び出された。僕が倒れたことを気にして呼んだのだろう。いつも僕が魔法の練習をして魔力切れを起こして倒れるたびに父上は僕を呼び出しは魔法の使い方を教えてくれる。正しい魔法の制御方法を知らないと、魔力の枯渇は下手をすると寿命を縮めることにつながるから。
だから僕は、大して気にとめず父上が待っている執務室のドアを叩き入室した。その時、父上の声が若干いつもと違う気がした事を僕は気がつかなかった。執務室の中に入ると3人の人物がそこには居た。一人は父上であり国王であるグルガード、もう一人はマルスに庭園で会った少女の情報を握ってるであろう人物バルザック公爵、そして見かけない人物が一人居た。
「父上、お待たせ致しました。体の方は特に異常はありません」
「そうか」
いつもと違い、父上の対応がそっけない。どうしたのだろうと考えていると僕が知らない人物と視線があった。
「これは、クラウス殿下。夜分に申し訳ありませんな、今までは顔を合わせた事もありませんでしたがこれからはそうも行かなくなると思い、挨拶に伺いました。私は近衛兵魔法部隊の部隊長の魔法教導をしているエルド・フォン・ウラヌスと申します」
「ウラヌス家?公爵家の?」
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