第49話

「それじゃユーク坊、この瓶は置いていくからね。きちんと瓶を見ておきなさいよ?」


ミランダはそういうとユウティーシアを担ぎあげた。


「ミランダ、下してください。ユークリッドは私を心配して注意してくれただけなんです。だからきっと話し合えは分かり合えるはずです」


「ユーヤは少し黙ってなさい。これはユーク坊の問題なんだから」


怒りの矛先は俺の方にもきた。

だって俺は外見こそ美少女だけど中身は男なわけで、ミランダよりずっとユークリッドの悩みを聞けると思うんだ。

だから少しだけ話す機会を与えてもらえるだけでいいんだ。


「……ミ……ミランダこれを……」


ユークリッドが、布に入った物をそのままミランダに渡したかと思うと水の入った瓶を持ったまま家の中に入っていってしまった。

俺が外に出たばかりに起きた出来事なのに、こんなのって……。


「今日はうちに泊まりな、あと断るのは禁止」


「でも……せっかく昨日のシチューにアレンジを加えた物とパンを作っておいたのに……」


ミランダは俺を下すと大きくため息をついた。


「ユーヤ、一人で何でも出来ると思ったらダメ、あの子はそろそろその辺を理解しないといけないのさ」


「一人で?」


「そう、誰だって一人で生きてるわけじゃないの」


ミランダは俺の頭の上に手を置くと、まだ早かったかな?と首を傾げていた。


ユークリッドの家から、ミランダの家は歩いて2分ほどの距離であった。

俺は、ミランダの後をついていきながらもまわりを見る。

静で落ち着きのある住宅が並んでいる。


「さあ、ついたよ」


ミランダの声がした方へ視線を向けると、淡い赤を屋根とした喫茶店があり花壇には黄色い花が咲き乱れていた。


「秋なのに咲く花なの?」


「そうさ、これはイーリィスティと言って一年中咲く花で花言葉はずっと待っていますって意味なのさ」


「へー」


一年中咲く花か。でも、この花どこかで見た記憶が……どこだろう?


「さあ、ついておいで」


ミランダの後をついていき店内に入ると10近くある全てのテーブルに白いテーブルクロスがかけられていた。

テーブルクロスの上には先ほど花壇に咲いていた花が乗っている。

カウンターには。席が5席しかなくメインは相席のテーブルなのだろう。


「ここって、男女のデート御用達だったりしますか?」


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