第25話

 ダメか、やはり……。貴族だと企業努力なんかしないんだろうなと失望しかけた所で


「あなたの言ってる言葉の意味が半分も理解できませんわ」

 そうアリスから言われ俺はハッ!とした。


 異世界に来てからと言う物、言葉が普通に通じたこともあり何も考えずに話していたが

ここは異世界で日本で通じた意味がそのまま理解してもらえるとは限らないんだ。


 俺はもう一度、企業を商店や貴族とエンドユーザーを購入者、ニーズを購入者の求める物と言い直して

説明する。


「そういう事ですの……でも貴女、私が考えてたような……」

 周囲が納得したのを見て追及される前に勝負を決める事にした。


「それでは、経済につきましては独占ではないとご納得頂けたと思います。次に、婚約者の件でございますがたしかに私には魔力がほとんどありません。

 この世界では魔力量は、国防に直結します。ですので、わざわざアリス様は私のためにこのような場を設けてくださったと私は思っております」


 周囲の反応からはさまざまだ。先ほどまでアリスを徹底的にやり込めておいて今度は持ち上げているのだ。どう反応していいのかさすがに彼らも困るだろう。アリスからも「え?え?どういうこと?」とか聞こえるし


 まぁ俺としては男と結婚するなどごめん被りたい。だから今回のこの騒動は徹底的に利用させてもらう。


「私が聞いて感じた点は、リースノット王国では魔力量が少ない子が生まれる割合が近年とても多くなっている事。

 そこから推察できるのは、遺伝子的に近しい者同士で婚姻を続けた為に遺伝子劣化もしくは遺伝子異常か欠損が引き起こされ何世代も続いた為に環境に適応できなくなるように魔力量の減少に繋がったと思われます。


そして、それを証明するかのようにリースノット王国の特性にも着眼する必要性があります」


俺の発言に一人の貴族の男性が手をあげていた。


「すまないが、その近しい者同士での婚姻は問題があるのか?」

 その言葉を俺は待っていた。何故なら公爵家と王家は非常に近い血筋だからだ。


「はい、もちろんあります。親戚同士、もしくは近い血縁関係同士で婚姻を繰り返していた場合に先天的疾患所謂病気を持ったまま生まれてくる場合や、体に異常がある場合や情緒不安定な子供が産まれてくる可能性が非常に高くなります。それに寿命にも影響があります。

 そして一番重要な点はこの国は巨大な山脈に囲まれていることです。それはつまり流通だけでなく人の出入りも制限されるという事です。そのような状態であるからこそ近親婚姻がより一層加速されたのでしょう」


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