第15話
「クラウス様」
俺はクラウス様へ声をかける。
泣いていたせいだろうか?目が真っ赤だ。俺は生成した白色魔宝石をクラウス様へ差し出し受け取ってもらう。
「これは?」
クラウス様が気になって俺を見てくるが……。
「おまじないです。その石を持ったまま魔術を使ってみてください。きっと上手くいくはずです」
俺の言葉にしばらく理解が追いついていないようだったクラウス様が頷き魔術を行使しようとするとクラウス様の体が白く光り始めた。それと同時に子犬の傷が一瞬で治り血の跡まで消えていた。クラウス様は驚いて俺を見てきたがその場で力尽きたように倒れてしまった。
それから庭園どころか城内はすごい騒ぎになって、俺はお父様に怒られて国王陛下様やハデス卿やウラヌス卿は呆れた顔をしていた。
すぐに俺はシュトロハイム家に馬車で戻される事になって家でも勝手に白色魔宝石を渡さないようにときつく怒られた。別に未来の国王陛下なんだから魔力量が増えてもいいと思うんだがここまで怒られるとは予想外だった。
リースノット王国に転生してから多くの事があった。主な内容は白色魔宝石の作成がメインだったけど
3歳から始まった英才教育の賜物で淑女として貴族としてのマナーや話し方を家庭教師に徹底的に仕込まれた、。歩き方も辞書先生を頭の上に載せて練習しテーブルマナーもがんばったし帝王学やら植物学に他国の言語と風習に社交界のダンスとありとあらゆる物を詰め込まれた。
そんな苦労も後少し……。12歳からは冒険者に登録出来て働ける年齢らしく、俺は家を出て働きたいと思っていた。
物語の主人公のように冒険者ギルドに登録してダンジョンに潜って稼いで家を買う予定を妄想したりしてみる。
「お嬢様、バルザック様が来られお呼びになられています」
部屋に入ってきた執事でありセバスチャンはそう俺に告げた。
「え?……あっ、はい。分かりましたわ」
いつもは自分で俺に会いにくる父親が呼び出し?
まさか俺が家を出る事を勘付かれたか?きちんと良い子にしていたはずなのだが……。
アプリコット先生の授業中だった事もあり淑女風の会釈をした後、レッスンを受けていた部屋から廊下へ出ると父親が待ってるはずの書斎に向かった。
そして書斎の扉前に立つと数度ノックをする。
「ユウティーシアです」
名前だけを告げる。
「入れ」
部屋の主から許可が下りたのを確認すると扉を開けて書斎室に足を踏み入れた。
そこには父親であるバルザック・フォン・シュトロハイムが俺を睨みつけるように座っていた。父親の横には見た事が無い俺よりも身長が高い金髪の青年が立っていた。青年は、俺を見たあとに大きく目を見開くとこちらに近づいて来ようとしたが父親であり現公爵であるバルザックが青年の腕を掴んで引き留めた。
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