第14話

「ユウティーシアには、白色魔宝石のみ作らせる方向にして魔術関連の書物に関しては一切触れさせない方向でいきます。これだけの魔力量を保持してる状態で魔術が使えればどれだけの大惨事が起きるか想像も出来ません。それに夫婦喧嘩になった際に魔術など使われたらクラウス様も困るでしょう」

 お父様の説明に3人とも頷いているのが見える。それって俺には魔術を教えない方向で決まったって事か?それって……。


「たしかに白色魔宝石さえあれば国民の魔力量の増加も出来ますし、白色魔宝石を持たせた状態で魔術を使わせれば最大魔力値が上がりますからね」

 ウラヌス卿は語りながら俺を見ていたが……。


「ここにユウティーシア嬢がいますが、大事な国家機密を聞かれても大丈夫なのでしょうか?」

 ウラヌス卿がすごく真っ当な事を言ってるが確かにと俺も思った。


「5歳の子供に分かる訳があるまい、シュトロハイム卿から聞いているが白色魔宝石を300個近く部屋の机の中に隠してたらしいからな」


「300個とは!?やはり唯の綺麗な石と思って増やしていたのですね。宝石が好きな女性が多いようにユウティーシア嬢も女の子なのですね」

 国王陛下とウラヌス卿が共に納得したように頷きあってるがそれは違う、作ると眠くなるから子供のうちは本当に睡魔との戦いなのだ。だから少しでも起きてられるようにと纏めて作っておいただけなのだ。


「シュトロハイム卿、これからの軍議には幼子には退屈だろう。近衛兵と女官に城内の庭園でも案内させよう」

 国王陛下はすぐに女官2名と近衛兵2名を呼び出し、俺を執務室から追い出した。


「ユウティーシア様、今日の庭園はすごく綺麗なのですよ?」

「ユウティーシア様は殿下とご婚約していらっしゃるのですよね?」

 などと二人の女官が案内された庭園で、何度も話しかけてくるがうっとおしくてたまらない。これが貴族の令嬢の普通の生活だとしたらやばいな。


「あれは……?」

 庭園内をウンザリとしながら歩いていると、金髪の少年が一人、庭園内に設置されたベンチに座っているのを見かけた。何をしてるのか気になって近づいていくと、少年は血まみれの子犬を抱いていて「僕にもっと魔力があれば助けられるのに」と呟いていた。

 たしか俺の作る白色魔宝石は最大魔力値を引き上げるような事をさっき執務室で言ってた気がする。


「クラウス様、お体が汚れております」

 俺についてきた女官がクラウスに近づき子犬を見て顔を真っ青にしていたのを俺は見ていたが、それより気になったのがこの少年が俺の未来の旦那様らしい体の線は細いが顔は将来とてもイケメンになりそうな素質を持ってる気がする。まぁ王族なら渡してもいいだろう。俺は近くに落ちていた小石を拾いストールで隠しながら白色魔宝石を生成する。


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