第10話
「お父様、王城はどういう所なんでしょう?」
とても抽象的な聞き方になってしまったが……。
「ティア、お前は余計な事は考えなくていい」
うーん。どうしようか?お父様とはまるで会話のキャッチボールが出来ないんだが……。
結局、王城に着くまで俺はお父様からお城の情報を得る事は出来なかった。
俺が乗った馬車は緩やかに減速をしていき止った。
お父様は、俺と逆方向のドアを開けて馬車の外に出たので俺も後を追って外へ出たが馬車の入口が思ったより高かった事もあり転びそうになったがお父様が支えてくれた。
「気を付けなさい」
お父様は、それだけ言うと俺の手を握り締めて歩きだした。歩幅が違いすぎてどうしても早歩きになってしまう。息を切らせながら精一杯歩いていると顔を上げた時に偶然、お父様と顔を合わせた。お父様は眉間に皺を寄せながら溜息をつくと俺の歩幅に合わせるように歩き始めた。溜息をつくくらいならおぶって行けばいいのにと思う。
しばらく歩くと普段、長時間歩いて無い影響からなのか踵が痛くなってくるが、弱みを見せるわけにもいかずに必死についていくと、お父様は足を止めた。顔を上げて見ると二人の鎧を着た男性が立っていた。
「グルガード王に会いにきた。バルザック・フォン・シュトロハイムが来たと伝えてくれ」
「はい、しばらくお待ちください」
お父様の言葉に、騎士はすぐに廊下を走っていき2分程で戻ってきた。
「グルガード国王陛下がお待ちです。すぐに案内致します」
「必要ない。執務室でいいな?」
「はい!」
お父様は騎士の言葉に頷くと私の手を握ったまま歩き出した。少し休んだとは言えヒールを履いたままだと痛みがまったく取れない。早くどこかに座って休みたい……。
しばらく歩くと、また騎士が立っていたがどうやらそこが目的に執務室らしく扉があった。お父様と騎士達は数度言葉を交わすと俺の手を引いてお父様は扉を開けて部屋の中に入った。
部屋の中は王城の執務室とは思えないほど簡素な物で3人の男が俺達を待っていた。一人は俺の婚約者を決めた男。もう一人は見た事がない……どちらかが国王陛下なのだろう。
「シュトロハイム卿、待っていたぞ!ずいぶんと大きくなったものだな?」
俺の婚約者を決めた男は何か言ってるが2年も会っていないのだ。子供の成長は、とても速いのだ。
「ウラヌス卿とハデス卿まで来られるとは思いませんでした」
「白色魔宝石を作れる子供なのだ。国防上、魔法のウラヌス家と軍部のハデス家は必要であろう?」
そんなに白色魔宝石と言うのはすごい物なのか?お父様は依然かなり喜んでいたが、相当貴重な物なのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます