第7話
「お嬢様を見たか?」
「いえ、お部屋には?」
「アプリコット女史よりティア様の姿が見えないと……」
なるほど、どうやら俺を探しての喧騒らしいが俺はそう簡単に捕まるようなドジを踏むような人間ではない。ハハハハッ!と心の中で笑っていたら、視界がかなり高い位置に移動してる事に気が付いた。
「ティア、勝手にお部屋から出たら駄目よ?」
速攻、母親に捕まり部屋に連れ戻されてしまった。
アプリコット先生のお仕事は多岐に渡る。貴族の作法やマナーに歩き方、そして食事の仕方だ。毎回、お嬢様!スプーンとフォークの使い方がとか音を立てて飲まないとか……とても細かいのだ。それでも毎日繰り返していくと反復の学習の成果でそこそこ出来るようになる。怒られる回数も減り部屋から脱獄して捕まるまでの時間も伸びとても充実したライフを送る事が出来た。
そんなある日、たくさんの本が置かれてる部屋をとうとう見つけたのだった。作りから言ってたぶん執務室だと思う、俺は執務室内を歩きながら本棚の表紙を見て物色していく。
すると冒険者ギルドと表紙に書かれた本を発見した。すぐに読んでみたいが執務室とか入ったら駄目とか言われてたような気がしたので、本だけ失敬して誰にも見つからないように自分の部屋に戻った。
部屋に戻り本の内容に目を通していくと、1ページ目には心躍る歌い文句が記されていた。
冒険者とは冒険者ギルドに登録して富、名声、力、を得る職業でありダンジョンと言う未知なる場所を探検する仕事だと書かれていた。
ふむ。これは……冒険者いいかもしれない。
次に開いたページには、冒険者になる為には魔力が必要と書かれていて魔力の練り方が書かれていた。たしか俺のMPは1のはずだったけど冒険者を目指すなら試してみるのもいいかもしれない。本には、何でもいいから鉱石を手に持って魔力を流せみたいな事が書いてあったけど俺の手元には少し前に拾ってきた小石しかない。冒険者ギルドの手引書に寄れば手に持った鉱石に周囲のマナが集まるイメージと書いてある。
マナと言うのはよく分からないが、とにかくアニメのように大気中の魔力を集めるような感じでいいのだろうか?まずは試してみる事にしよう。目をつぶって魔力が収束していくイメージを頭の中で描いていく。すると体がポカポカしてきた。
「ティア!」
唐突に部屋の扉が開け放たれ母親が息を切らして中に入ってきたのを見て俺の意識は途切れた。目を覚ますと母親が俺の手を握っており心配そうに見てきていたが父親の姿は見受けられなかった。
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