第6話

「分かってくれてるならいい」

 父親の言葉に満足したからなのかオジサンは部屋から出て行ってしまった。そしてこの日、俺は生まれてたった3年で本人の意思確認も無いまま婚約者と王妃になる事が決まってしまったのだった。


 婚約者が決まった翌日から俺のヌルゲーライフは一遍した。なんと俺に家庭教師がついた……これが学生の時代の俺なら今、目の前にいる美人さんに色々な意味で目移りして勉強にならないと思ったが不思議とそんな気持ちがまったく浮かばなかった。


 勉強の内容は、主に小学校低学年で習うような物でありその中にはこの世界の暦も含まれていた。まあ……3歳の俺がそんなにサクッと何でも覚えられたら逆に問題児扱いされかねないので程々にペースを抑えつつ、この世界の成り立ちを勉強していく。


 この世界の暦は基本的には地球と同じで一日24時間で1か月が30日、一年で360日の計算だという事。地球のように閏年とかの調整とかは入れておらず若干違う所が困る点だ。


「せんせー。ステータス見るのはなんですか?」

 この舌ったらずを強調した喋り方と演技に家庭教師のアプリコット先生はデレデレになって教えてくれる。


「ステータスを測るのは真実の眼と呼ばれる石版です。一度しか使えませんが全てのステータスと名前を表示する事ができます」

 なるほど、その割には草薙雄哉の名前が表示されてなかったが、たぶんこの世界には適用されていないだろうな。


「せんせー。わたしたちのほしはたいよーのまわりをまわっているのですか?」


「回ってませんよ?太陽が私達の大地を中心として回っているのです」

 ふむ、天動説が信じられてる世界なのか。これは文明レベルがかなり低いな、もしかしたら天文学がそんなに発展していないのかも知れない。勉強の時間は小学校低学年の内容ばかりで睡魔と闘いつつ懸命に頑張っていたが良く寝ていた。その都度、起こされてあくびをしながら勉強をがんばった。


 3歳までは、俺はまともに歩けなかった事もありリハビリぽい事をしてきちんと歩けるまで一年くらいかかった。人類は、とうとう偉大なる一歩を今踏み出したのだった。

そして歩けるようになると部屋に篭りきりばかりでは引き籠りを再発してしまうので、アプリコット先生がいないお昼少し前に部屋から出て家を探索する事にした。


 王家に嫁ぐ家だけあってかなり広い。よく考えれば婚約を決めたあのオジサンはかなり偉い人なのかも知れない。今頃、気が付くなんて俺ってば幼児化したことで頭の中まで退化してないだろうな?家の中は2階建になっているようで吹き抜けから1階のホールを見る事が出来る。

俺は使用人にバレないように本がいっぱいある部屋を探す旅を再開するが本が置いてあるような部屋が中々見当たらない。その内、屋敷の中が騒々しくなっていく。


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