第4話

「お生まれになりました!」

 俺は、ぼんやりとした意識の中で……その言葉だけを聞いて意識を失った。


 それからは半分寝ているような起きてるような状態が続き、意識がはっきりしたのはかなり経ってからだと思う。その日はずいぶんと頭がすっきりとしていて、いつもボンヤリとしか見ていなかった部屋の様子がはっきりと分かる。部屋の壁は薄いピンクの柄に白い花が絵が垂れていた。大きなタンスのような物やクローゼット、それにたくさんのぬいぐるみと大きな姿見まるで女の子の部屋のようだった。


 とにかく、今の最優先課題としては現状確認だな。まず手足を見ていくが、短く小さいことから自分の体が赤ん坊状態から少し成長したくらいだと思う。とりあえずは、部屋の隅に姿見がある事だし姿見で自分の体をきちんと確認すれば、何歳くらいなのか分かるだろう。ただ……ずっと赤ん坊の頃から食っちゃ寝してた俺の体はハイハイと歩くという作業をしてこなかった影響からなのかベットの上から降りようとして高くて降りられなかった。そんな時に部屋のドアを開けて入ってきた人がいたのでそちらに視線を向けると20歳後半の女性がドアを開けて俺を見て


「お嬢様が目を覚まされました!」

と大きな声で叫んだのを見て俺はびっくりして尻もちをついた。女性の声を聞きつけたのか現れたのは2人の美男美女のセットだった。男性は20代半ばの黒髪、黒目のイケメンで服装も上質な物を着ている。女性は赤い瞳に白銀の髪を背中に伸ばしてる美女。二人とも俺を険しい表情で見ていたが


「目を覚ましたか、分かった」

 俺を一目だけ見てイケメンは部屋から出て行ってしまう。俺はつい男性の動きを眼で追ってしまうが


「ティアは、お父さんに構ってもらいたいの?」

 白銀の髪をした女性は俺を抱きかかえて話しかけてくるが、何と答えていいものか……。子供って何歳から喋るものなんだっけか?どう対応していいか迷っていると俺を発見した女性が


「ユウティーシアお嬢様は、高熱で3年近くずっと眠っていらっしゃたのです。すぐにお言葉を話すのは難しいと治療魔法師の方も仰ってました」

 そう話しかけていた事で大体の事情は把握できた。つまり俺は生まれてから3年近くずっと寝ていてしかも女として生まれかわったと?……ん?女として生まれ変わった!?俺を抱いてる女性に分かるように姿見の方へ指を差して姿見を使わせろと訴えかける。


「あら?姿見が気になるのね。やっぱり小さくても女の子なのね」

 女性の言葉に俺の男心がガリガリ削られていくが、まずは現況確認が必要だ。俺を抱きかかえたまま姿見前に移動した女性は、姿見に俺の姿が映るようにしてくれた。まだ幼くてあれだが男としてはあり得ない円らな黒い瞳と愛らしい顔に、ふわふわな黒い髪……どこからどう見ても美幼女がそこには映っていた。


 とてもショックであった。どのくらいショックかと言うと


「お嬢様が気を失われました!、あなたーティア―がー」

 というくらいショックだった。

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