第2話

 冥界ね、つまり俺達は死んだという事になるわけだが……全員が別々の年齢で死んで一纏めに纏められたと言う事だろうか?それにしては学年全員が居ないのは不思議でならないんだが、その変はどうなんだろうか?無駄に話をして注目されるのも嫌だしな……会話は昔の同級生のクラスメイトに任せておこう。


「冥界の入口?私達は死んだんですか?」

 長谷川さんは冷静に話を続けているが、現実感がないのだろう。俺も無いし仕方ない。


 ―――そうだ。君達はバスが落下した事で乗客乗員は全員死んだ、つまりここにいるのはその事故で死んだ人間のみとなる。


 男の言葉に俺は初めて違和感を覚えた。バスの事故と言う点、俺の記憶にはそんな記憶はない。高校時代に旅行でバスを使い修学旅行をして普通に帰ってきた記憶しかない。それに乗客乗員は全部死んだと言っていたがバスの運転手も引率の高校の先生も見当たらない。別途、説明をしてるなら分かるが全員ここに居ると言っていた。きな臭くなってきたな。


「そ……そんな」

「お母さん……」

「いやああああ」

 などなど聞こえてくるが、すぐに取り乱す様子から見て彼らの年齢はそんなに高いとは思えない。ふむ、少し情報がほしいな……どうするか?クラスメイトを確認していき白髪の男の視線が向いてないクラスの中でも物静かな部類の安藤に話をすることにした。クラスメイトが混乱してる内に茫然としていた安藤に近づき小声で


「安藤、少しいいか?」

安藤にしか聞こえない程、小さな声で話しかけた。


「―――草薙君?え、どうして?」

 何度か話しかけた事で彼女は、ようやく俺が小さく話しかけてきた事に気が付いてくれた。彼女も俺に合わせて小声で話してくれるから白髪の男にも長谷川委員長にも俺の行動がバレてる様子は見受けられない。それよりも……どうして安藤は俺に話しかけられてどうしてと疑問を呈したのだろうか。


「何かおかしいのか?それと声は小さめに頼む、あまり今のクラスメイトを刺激したくない」

 一番の理由はこっちの行動を他の人間にあまり知られたくないからだが。


「う……うん。だって草薙君、バスに乗って無かったよね?」

 何を言ってるのだろうか。俺は修学旅行のバスには乗っていた。


「だって草薙君、一週間前から学校来てなかったから修学旅行には参加してないよね?」

 なるほど、どうやら俺と安藤さんの間では時間が異なるだけで無く起きてる物事が違うようだ。というより俺が旅行バスに乗ってないという事は、まったく違うパラレルワールドに来てしまったという事なのだろうか?つまり俺だけ世界軸がずれてる?謎だな……。


「いや、途中から参加してたんだ」

 俺は適用に話を作る。


「そうなんだ。でも私、もっと生きたかった。お母さん……」

 素直に俺の嘘を信じてくれた事である程度、情報は集める事は出来た。さて後の問題はこのあとだな……。


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