第4話

「──!!」

「───!」

「─!?」


 仲良く3体で現れたコウモリは、恐ろしい事に3体共俺と同じぐらいの大きさをしていた。未だ自分の体の大きさを掴みあぐねているので体感的な物でしか無いのだが……それでも先程俺が殺してしまったコウモリよりは大きかった。


「───!!」


 帰ってくれないかなぁと一抹の望みを込めながら鳴くも、それに対する返答は更に大きな声での威嚇のみ。彼等?彼女等が何を狙っているのかは分からないが、俺の安全な住居をそんなに安々と手渡す訳にはいかない。周囲を見渡せば骨は何処にでも有るが、どう考えても移動中に事故か戦闘かで命を落とすのは目に見えていた。俺よりも大きなコウモリが普通に飛んでいたり、変な形をしたコウモリがすごい速度で移動していたりするのだ。


「──!!」

「──!!」


 向こうからしてみればそんな俺の抵抗が想定外だったのか、再び鳴き声を上げたが譲る気は到底無いので再び鳴き返す。諦めて帰ってくれれば良いのだけれど……そんな俺の願いも虚しく、一匹が俺へと突っ込んできた事で戦闘が開始した。


「───!」


 先頭にいた一匹は俺の数センチ前で飛び跳ねると、そのちょっと鋭い牙を突き立てながら顔面から血の沼に突っ込み……血を舐め始めた。ちょっと何をやっているのか分からないが、俺を無視して血を舐め始めたのだ。そんなの……問答無用で首元に牙を突き立てる。


「─!?!?」


〘レベルが上がりました〙

〘SP:15を獲得しました〙

〘レベルが上がりました〙

〘SP:15を獲得しました〙


「──!!?」

「───!!!」


 何を言っているのか分からないが、驚きで口を開いて呆けている2体を見ると何か悪い事をした様な気分になってしまうが、そもそもこの血は譲る気すら存在しない。この血を飲みきってしまったら次はネズミ、先程殺したコウモリ、という順に食べる事にはなるだろうが……食べないで済むのに越した事は無いのだ。分けている余裕など存在しなかった。


「──!!」


 帰れ!という意思を込めて思いっきり鳴き、圧迫感を与えるべく前へと前進しながら身体を大きく見せる。それに対して震え立つ様に鳴き声を上げた2体を見て方法を間違えたかと思ったが、彼等は俺の願いどおりに帰っていき……空から降ってきたコウモリに首根っこから食われた。


「……」


 想像以上に空を飛んでいるコウモリが危険だった為言葉を失ってしまったが……もう充分な時間が経った筈なのに、未だに起こしてくれる人がいないのは酷すぎる。何故かこの夢痛覚も味覚も嗅覚も存在しているのだし……すぐにでもこのよく分からない世界が現実だと言われても納得してしまいそうなレベルだった。

 この夢を見る前に見た夢では飛行したいとか……ん?んんん?

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