第3話



 血の池の所為で溺れ死にかける事数十分。

ようやく無くなってきた麻痺効果に悪態をつきながら俺は血を啜っていた。血は栄養素が豊富だとよく言うしネズミの死骸を食べるよりはマシだった為、消去法で飲んでいるのだが、これが思っていたよりも美味しい。


「__!」


 滑らかな舌触りに、チョコレートを思い出すような甘い味。ずっと飲み続けると少し酔った気分になるのだが……それは麻痺効果の草を再び口に含む事で何とかする。流石に動けなくなるのは嫌なので口に含むだけなのだが、これがいい感じのお色直しになるのだ。


「──!!」

「──!!」


 ふっふっふ、この血は誰にもやらん。此方を威嚇する様に血を求めてきたコウモリもいたが、俺のほうが身体がでかいのだ。俺の威嚇の方が威圧感が有るに決まっている。


 夢、だよな……?

未だ覚めないこの夢にそろそろ疑問を覚えながらも、抗えない魅力により再び血を舐め始める。現実の方で舐める様な行動を取っていたら恥ずか死ぬのは間違いないのだが。


「──!──?」


 目の前に現れた、俺よりも一回り小さそうなコウモリ。多分俺の進化前と同じ種族なのだろうが……俺を襲おうってか?それは流石にむぼ……痛ッ、ちょ、ま!?


「──!!」

「──!!」


 傍目から見るとどう映るのだろうか?俺が小さなコウモリに組み伏せられている?……いや、違うぞ!俺は今身体の動かし方がいまいち分からないというハンデを抱えているんだ。小さなコウモリの動きを……イテッ。


〘レベルが上がりました〙

〘SP:15を獲得しました〙

〘称号:【同族殺し】を獲得しました〙

〘一部消費SPが緩和しました〙

〘一部消費SPが強化しました〙


「──……」


 えぇぇ……、首筋を噛まれたのか想像以上に痛かった為振りほどいたら鳴った通知音。おずおずと身体をそちらへと向けてみれば、そこまで傷ついている様子もないのに動かないコウモリがいた。


「……」


 少し申し訳ない気持ちになりながらも……本を生み出してステータスを確認する。


名前:無し(霧島 幸久)

ミニマムレッサーバット:2/10

HP:97/123

MP:87/102

SP:82/164

【STR 8】

【VIT 6】

【INT 7】

【MND 6】

【AGI 11】

【END 10】

【DEX 9】

《スキル》

【飛行Ⅱ】【滑空Ⅰ】【夜目Ⅰ】【牙強化Ⅰ】【剛力Ⅰ】【耐久Ⅰ】【知恵Ⅰ】【忍耐Ⅰ】【瞬発Ⅰ】【持久Ⅰ】

《称号》

【記憶保有者】【同族殺し】


 INTの上がり具合からして、身体能力を底上げしてくれるスキル達は、レベルアップ時までは底上げしてくれないみたいだ。まあそれでも5というのは大きい。今なら群れを相手にしても……


「「「──!!!」」」


 いや、嘘つきましたすみません。許してくれたりは……あ、しませんか。はい。

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