032:レベル1桁パーティー
「いらっしゃい。私はギルドの受付を任されているメリンダと申します」
「初めまして、私は各地を回っている駆け出し商人のなぎさと申します。検閲で滞在許可をギルドで取るよう指示されて来ました」
なんでも第1印象が肝心。丁寧にメリンダへ返答して検閲官に渡された仮滞在許可証を渡した。
「この国での不法滞在は重罪です。発見された場合は罰金刑に処されますのでご注意ください。払えなければ奴隷落ちになりますのでご注意ください」
さらっと怖い事を…… それにしても奴隷とは。この国は奴隷制度なんてあるのか……
「仮滞在許可証費用として金貨2枚。滞在費用は1人10日間で金貨1枚になります」
仮滞在許可証は無料ではなかった…… ここで払えなかったらどうなるんだろう。
ん? 待てよ。検閲官はバックの中を見た時に銀貨しかない事を知っていた。ということは、払えないのを知っていて嵌められた?!
「払えなかったらどうなるんですか?」
「払えなければ国外追放です。お金を作ってから来てください。しかし、仮滞在許可証代の支払い義務はあるので、金貨2枚分は稼いでもらいます。そこの女性ふたりであればすぐ返せると思いますよ」
こ、怖すぎる…… なんだこの国……
「3人とも20日分。仮滞在許可証代と合わせて金貨8枚でお願いします」
更新を忘れてトラブルになる危険を考えると、多めに払った方が安心だろう。
「それでは皆様、ランクプレートを作りますので、こちらに来て下さい。この国は、貢献度を重要視しますので、国に滞在する者は、例え奴隷であってもランクプレートを作らなければなりません。あなた方のような非戦闘職の商人もランクが上げられるように素材の納品や生産スキルを使った依頼なども揃えていますので頑張って下さい」
「帝国ランクがミスリル以上になれば、この国で優遇措置が受けられますので目指してくださいね」
帝国ランク…… ランクは各国ごとに分かれているようだ。各国間のランクは、紹介や功績によって共有することも出来るが、よほどの功績か成果を必要とするので極めて稀なことらしい。
メリンダに連れられ、ランクプレート作成装置であるミミスボックスの前に立たされた。
キクで見たミミアボックスに似ているが魔法陣の発している光が違っている。
「それでは、両手を魔法陣に乗せて下さい。貢献度や功績に応じてあなた方のランク情報がランクプレートに書き込まれます」
「あなた方は、位の高い入国許可証をお持ちでしたので、この国の公爵様の領地以外であれば、ある程度は自由に行き来できるようになります」
しゅい──ん
ミミスボックスにより各人のレベルや賞罰がランクプレートに記録されていく。
計測結果は以下の通りになった。
『イワヤ ナギサ LV.1 帝国ランク:ストーン
賞罰:帝国シルバー許可証』
『リリス・シフォン・サッキー LV.5 帝国ランク:ストーン
賞罰:帝国シルバー許可証』
『ユニ・ツンデ・コーン LV.2 帝国ランク:ストーン
賞罰:帝国シルバー許可証』
ガッハッハ ワッハッハ ドゥワッハッハ
ガッハッハ ワッハッハ ドゥワッハッハ
ガッハッハ ワッハッハ ドゥワッハッハ
冒険者たちから盛大な笑い声が響き渡った。
「あんちゃんよー。お前さんは男のくせに嬢ちゃんに護ってもらってるのか。しかも成人でレベル1は無いよなー」
「この帝国は強さを求める国だぞ。田舎に帰った方が良かったんじゃないのか」
様々な罵詈雑言が飛び交いまくっていた。
「なにを言っておる。なぎさは強いのじゃ」
ユニが一歩前に出て怒りを露にしながら大声で言い返した。
「ユニ。怒ってくれてありがとう」
ユニを制止し、リリスに預けて一歩前に出た。
「皆様、大変失礼しました。私が弱いのは事実です。この国では皆様に迷惑をかけないように注意しますのでこの辺りで勘弁してください」
メリンダからランクプレートを受け取り、ギルドを後にした。
「それにしても腹が立つのじゃ」
「まあユニは能力を発動していない時はこんなものじゃが、リリスとなぎさはおかしいのじゃ…… もしかして……」
ユニは地上で生活していた時間が長いので良く知っていた。
レベル計測装置が開発された時、レベル50までしか表示できない問題があったが、それを超える人間がいないのでそのまま作られた。それを超えるレベルの場合は何らかの表示エラーが発生しているのかもしれない。 それはそれでありがたい。
ユニコーン族は身体強化が優秀な分、力を抑えている時のレベルが極端に上がりにくい。通常の状態で1から5程度が普通である。通常レベルは身体強化後のレベルとは関係なく、上昇値は才に依存しユニは突出している。
僕のレベルは、リリスとユニにLv1から表示上の変化がない理由を教えておいた。
スカイブ帝国に到着して、国の住み心地を見極める数日間は目立たないように、ギルドの依頼を受けずに、素材狩りをして売却してお金を貯め、酒場で情報を収集をした。
酒場では、僕のレベルが大きな噂となり、みんなに顔が知られていた。そのおかげで、色々な人々から面白いように情報収集が出来た。
野次を飛ばしていた冒険者たちも悪いやつらではなく、飲み物や食べ物を奢ってくれた。また、帝国のことや開催されるトーナメントについても細かく教えてくれた。
メリンダには、力が無い者は高いお金を出して安全な宿に泊まるように勧められた。 紹介された『アルファルド』の部屋を確保した。
酒場で得られた情報をまとめると、この国は区画ごとに役割が分けられており、王城、貴族区画、平民区画、商業区画、工業区画、農業区画、コロシアム、平民区画、奴隷区画。その他…… 貴族用や平民用などかなり細かく分かれているようである。
コロシアムでは定期的にトーナメントが行われており、1パーティー4名で参加できる。優勝した者は賞金と、優勝者専用の迷宮攻略に参加する資格が得られるそうだ。
優勝者専用迷宮への攻略は任意だが、功績に応じた爵位や褒美が与えらる。特に最下層にある国の秘宝を持ち帰った者は、王族との結婚を許され、勲章や褒章が与えられる。 更に強者としての名誉を求めてトーナメントに参加する者が続出している。
ここまで豪華な褒美と引き換える秘宝とはどんなに凄いものなのだろう……
噂では、秘宝に一番近づいているチームは『勇者パーティー』と呼ばれる4人で、圧倒的強さで優勝し、迷宮も最下層に限りなく近い位置まで攻略が進んでいるという噂だ。
トーナメントには興味が無いが、この国の日常を知るためにリリスやユニを連れて観戦に行くことにした。 それとベオカで噂になっていた、勇者パーティーとはどんな人たちなのかにも興味があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます