第七十七話 絵画


 その絵画には、画家の狂気が籠められているという。


 その絵は赤一色に三人の黒い人影が描かれていて、それは画家自身の精神を顕している言われていた。


 ある資産家がその絵を購入したが、夜な夜な黒い人影に首を絞められるという……。


 また、ある時は飼っていた鳥が酷い有り様で死んでいたそうだ。


 資産家は、家族に類が及ぶ前に絵を手離した。


 その後、絵を購入したのは若手の芸術家。だが、その芸術家は事故で腕を酷く損傷し二度と筆を持てなくなった。


 その後も転々と渡り歩いた絵画は漏れ無く持ち主に不幸をもたらした。



 今、その絵画は公共の美術館に保管されているが展示されることは無いだろう。


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