ロックに今日も
太陽が出るカンカン照りの真夏日、
水辺エリア、特設のアイドルステージに
5人のペンギンアイドルが並んでいた。
そして彼女らの視線の先には、
彼女らを待つファンが立ち並んでいた。
各々が思い思いの声援を投げかけ、
あるものは喜び、あるものは失神し
あるものはその一体感を楽しんでいる。
そうして会場のボルテージが最高潮に達した
ある時に、イワトビペンギンがマイクを上げ、1歩前に出る。
そうしたら観客達は察して静まるから、
いきり立ってこう言ってみせるのだ。
「よォみんな!
今日もロックに生きてるかい?
オレは超ロックで最高の気分だぜ!」
その一言を皮切りにライブが始まる。
この時のライブの1曲目は、
「Rockin`Hoppin`Jumpin`」!!
巨大セルリアンからの一件から幾分か経ち、PIP改めプリンセスを新たに加えた新生ペンギンアイドルユニット、PPPも軌道に乗ってきた。それはファンも彼女らも理解していた。
「どうせやるなら、ロックにキメろ
Are you ready?」
イワビーが持ち歌を華麗に歌い上げ、
その後ろで4人がライブを飾り付ける。
既存より練り上げられ、洗練されたパフォーマンス、歌、ダンス、声、そのどれもがオーディエンスを満足させるには十分過ぎるクオリティであった。
万雷の拍手に見送られ、PPPは会場を後にする
1歩引けばそこはバックヤード、そこで彼女らは初めて、アイドルからひとりのアニマルガールになるのだ。
「いや〜疲れた疲れたァ!」
そういい、いの一番に腰を下ろしたのはイワトビペンギンのイワビーであった。
「今回はイワビーさんメインのライブでしたもんね」
「ひとりをメインに立てる新しいライブの形式か…センパイに言われて試して見たが、大成功だったな」
「イワビーさん、今日はお疲れ様でした!
ジェーンさんに、コウテイさんも!」
そう言い、ボランティアのマーゲイがドリンクとジャパまんを持って駆け込んで来た。
各々がお気に入りの味のジャパまんを手に取り、齧る、これがまた美味しいのだ。
アムアムとジャパまんを頬張っていると
プリンセスが言った。
「イワビー、最近調子いいわね、
何かいいことでもあった?」
「ンァ?」
ゴクリ、
と嚥下し、ジャパまんを飲み込むと
「特別な事なんかねぇよ、いつもと一緒さ」
と返した。
「そう?最近ダンスのキレも上がったし、声も良くなったから何かあったと思ったけど」
「ふ〜ん?もし何かあるとしたらそれは
PPPになってレベルアップしたって事だろうよ、俺だけじゃ無い、皆がさ、
マーゲイ、ジャパまんもう一個貰うぜ」
そう言い、2つ目のジャパまんを手に取った。
「…そういう事なら、イワビーに負けてられないわね、皆!休憩が終わったら早速次に向けて練習よ!」
「チョットマッテクレヨイマクッテルンダカラサア」
イワビーは口ふがふが言いながら抗議した。
間
「ふい〜美味かったァ」
イワビーはそう言い、膨らんだ腹を撫でた。
「よし!お待たせ!じゃあ…やるか!」
「ええ!」
「ああ!」
「お〜」
「はい!」
「よ〜し!皆!
ロックに行くぜ!!」
そう言って、ラジカセを置き、曲を流す、
各々がめいめいと、歌い、踊り、生きる。
ああ、今日も
とびきりロックに生きている。
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