俺達は
ある日のことである、マーゲイは新作のアイデアを得ようとオデッセイに足を運んでいた。たまたま居合わせた博士助手の案内のまま図書館に寄り、アイデアを得られそうな本を1冊手にとって初めのページを捲ってみた。その初めの三文字が
「俺達は」
その羅列を見た瞬間に次の映画のテーマが決まってしまった。
特別意味を感じさせるワードという訳では無いのだがどうにも印象的で脳裏にこびりついてしまった、マーゲイは不思議と運命を感じ、テーマはこれにしよう!となった次第なのである。
いつもは可愛らしい女子を追い回している手前こういうのも新鮮でいい、とマーゲイは一人で納得していた。
さて、ことはひょっこり起こるはばったり
俺と言うなら誰なのかと思考を巡らせていた周りの女の子をチラリチラリと流れるように視姦していた時である、
「おいお前、何をしている」
とハシビロコウに声をかけられた、声色から察するにあまり良い要件は期待できそうにない、
「先程からマーゲイがこちらを舐めまわすように見てくると通報があってー」
走って逃げ出しても良かったのだが、フレンズひしめくオデッセイで大立ち回りを繰り広げるのも迷惑な話である。とマーゲイは自戒した。しかし、
「とにかく、俺と一緒に来てもらおう」
「俺」などとハシビロコウが言ってしまったものだからマーゲイはやる気爆発、先程の自戒もかなぐり捨ててハシビロコウに擦り寄った。
「今貴方「俺」って言ったわよね!」
「あ?ああ…それがどうした?」
「どうしたもこうしたも無いわ!ちょっと来て!」
連行しているのか連行されているのか、連れ去られるハシビロコウはどこか釈然としない気持ちであった。
「突然で悪いけどハシビロコウ、どうして自分の事「俺」って言うのか教えてくれない?」
「……何?」
「だから!どうして自分の事を俺って呼ぶのか教えて欲しいの!」
「待て待て、話が見えんぞ」
間
「話の題材か…最初からこう言えば良かったものを」
「ちょっと熱くなりすぎたみたい」
ハシビロコウも話の内容を理解出来たようで眉が少し下がっていた。
「だがなマーゲイ「俺達」とは沢山いる時の言い方だろう、俺は1人しか居ないぞ」
マーゲイに電撃走る。
言われてみればその通りなのだが存外言われるまで気づかないのは先走ったクリエイターの悪い癖とも言える。
「それもそうね…失礼したわ!」
「お、おい待て!話は終わってないぞ!」
と言ってマーゲイはその場を離れ、ちゃっかりとハシビロコウから逃げ出した。しかしそう都合よく「俺達」はいるものかと辺りを見回したその時である。
「俺達は!
でっかいもの大好き!L♡Lベアーズ!」
耳で捉えた音を本能のままに追いかける、
マーゲイの取材はまだまだ続く。
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