冒険の日 ⑤-2-3

「おやかたぁ、このなまらめんこいのもっと欲しいんだけどどうと?」


「あ、はいわかりました。ポッキモン買い占めておきますね」


「マスターぁ、鉱山っぽい山は見つけたけどぉ、ちょっと遠いよぉ?」


「あー、本当ですね。でも鉱物は現地調達しないと購入では賄えないんですよねぇ。なので現地に行きます。中継所を作ってここまで運べるようにしますよ」


「マスター遠出するのか? ならば私がそーこーしゃを運転しよう。前回ので操作は覚えたぞ。任せておけ」


「マキちゃん、大丈夫ですか? 長距離運転はキツイんで代わっていただけるなら助かりますけど……」


「無論だ。私は騎士だぞ。乗り物なら全てに適性がある」


「はぁ。左様ですか。ではお願いします」


【オペレーション三匹の子豚末っ子謹製レンガハウス建立計画】の第一歩は家の周りに壁を建てることである。


そのために庭の敷地にイーコマースアプリサバンナで購入した【DIYのお父さんを応援! 簡単レンガ式たたら製鉄炉キット】を設置した。


ただ材料の鉱石類はかなりの数になるためサバンナでの購入では賄いきれない。そのため各地にドローンを飛ばし、鉱山をエリーちゃんに探してもらっていたのだ。


「じゃあオイは、おやかたが石を持ってくるまで木やら炭やらやっておくと」


工事責任者は着任したばかりの人形ドールトウカローサちゃん。作業員であるポッキモンシリーズの人形型ボットらを仕切ってその采配を振るう。


「わかりましたローサちゃん。宜しくお願いしますね。ミレイちゃんも留守番をお願いします」


「ん。りょ」


私が不在の間、家の警備を担当するのはローサちゃんと一緒に起動した人形ドールタニキリミレイちゃんだ。


「まかせるし」「らくしょうだし」「そのかのうせいはひていできないな」「ドンだけぇー」「そろり、そろり」


そして彼女の周りで羽ばたきながらざわついている色違いのティンカーベルらは、ピクシー人形型警備偵察ボットの五徳ピク民(仁、義、智、礼、信)である。


「コスギ殿! 私も同行させてほしいのであります!」


「あ、いえ大丈夫です」


「そんなコスギ殿! 私は腕には少々自信があるのです、きっと役に立って見せるでありますよ?! 信じて欲しいのであります!」


「信じないわけではありませんが、留守番をしていたほうがいいのではないかと」


「確かにコスギ殿ほどの手練れに護衛など必要ないとは正論でありますが、露払いは必要だと考える次第であります! コスギ殿が手ずから雑兵を始末するなど威厳に関わる問題でありますから!」


「いえ、害獣駆除は訓練を兼ねてもいるので心配には及びませんよ」


「なっ?! コスギ殿!?」


なっ?! じゃねーんだ。お前は信用できないからつれていかねーんだよ。この場ではっきり言ってやろうか邪魔だから大人しくしてろって。とは咄嗟に脳裏に浮かんだセリフであったが私は自重した。真実は時に人を傷つけるだけで何も生み出さないという真理を私は知っている、大人だから。思ったことをそのまま口にするのは子供の行いである。


「なるほど王の威厳か。一理ある。マスター。この竜魔を番犬代わりに連れて行くのも手だと思うぞ」


「へ?」


その時、置き去りにする気MAXだった私に思いがけない提案をしたのはマキちゃんだった。


「その竜魔の魔法や体術による戦闘能力は高い。このあたりの魔物を遥かに凌駕しているといえる域だ。私たちと違い言葉が使えるのもこの先で何かの役に立つかもしれない」


そう。今マキちゃんが言ったように、彼女たちの言葉はどうも周りには理解されないらしい。


マキちゃんの指摘で違和感に気付かされたんだよね。某ディズ〇ニーアニメみたいな仕上がりで気が付きにくかったんだけど、ほんの少し違和感はあったのよ。でも相手が女だったので無視してた。


今までの登場人物、めっちゃ口とか動いているのだけどあった違和感――口パクズレ。

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