メッシーアッシーな日②-2-1
居間の四分の一ほどの和室スペースに布団を敷き少女を寝かせた。
少女の出血は止まったと思うが失った血はそのままだ。お帰りいただくにも貧血で道中倒れられては助けた意味がなくなってしまう。
そう思って私は貧血に良いごはんを用意した。
【鉄分接種献立】
あさりとレンズ豆の味噌スープ
鉄分カルシウム補給ラム肉サラダ
ひじきご飯
小松菜×バナナ×豆乳×きな粉ジュース
食器をお盆にのせ、お盆を移動台にのせ、廊下を移動。
扉を開けると、そこには少女が布団をはねのけ上体を起こしている姿が。
少女と目が合う。
「オーク!?」
開口一番に悲鳴を上げる少女。
まぁそうだよ。
まぁそうだよな。
知ってた。まさに予想通りの反応。
体重百九十キロ身長百九十センチという正方形ステータス。
禿げ散らかした頭を持つ小汚い中年男性。
プラス鬱病持ち。
オークね。
はいはいオークオーク。
ガオーとか言っちゃおうかなマジで。
「待ってください。私は人間です。あなたに危害を加える気はありません。あなたの傷を治療しただけです」
身構えていた少女は警戒を解かないままじっとこちらを睨みつけている。
なんていうかあれだ。野良猫だなこれ。全く信用してない感じだ。
女はいつもこうだよ。相手の外見だけですべてを判断しやがるんだ。不細工をケダモノ判定し身の危険を勝手に感じやがるんだ。
くそが。
助けるんじゃなかったよ。くそが。
はぁ。
はぁまじはぁ。
でもいいさ。私が醜いから悪いんだもんな。
勝手に助けてごめんな。
ごめんなさい。
ごはんまで用意しちまったよ。くそが。
私は身をこわばらせている少女の元へお盆を持って近づく。
当然少女は後ずさる。
私はお盆を布団の側に置き告げる。
「お腹がすいていませんか? もしよければ召し上がってください。勿論毒など入っていません。あなたを助けたのは私です、あなたを今更害する理由はありません。まぁ、お疑いなら手を付けなくても結構ですが」
少女は何も言わない。ただ自分の身を庇うように抱きしめ警戒MAX姿勢。
クソガキが。
お前なんか犯さねーよ! 自意識過剰さんかよ! いたよいた! お前みたいな奴前の職場にもいたよ! 見えない強姦魔を私に重ね見るようにしてたやつ! 勝手に被害者ぶってろ糞ビッチが!
「その扉を出て右手側正面の扉を出れば外ですので、お帰りになるならどうぞご自由に。では私は失礼いたしますね」
あぁもうやだ!
自称一般人とかほざく糞ビッチ族に関わるのはこりごりだ。
オークでごめんなさいね。マジで勘弁してください。助けちゃってすみませんでした。やっぱやめとけばよかったんだ! もう二度と助けねーよはぁまじはぁ。
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