博識な都会の鼠さん

ももんがのももちゃんが、都会のビルの屋上に舞い降りると、鼠さんに出会いました。都会の鼠さんです。


山鼠のヤマネくんと違い、どこか都会的です。


「君は何者かね?そして、何故飛べる?」


ももちゃんは自慢げに


「ももんがは飛べるのです」


「そんな訳があるか!リスが飛べる訳ないだろう!

空を飛べるのは鳥のみ、常識だぞ!

人間だって道具を使わなくては飛べないのだぞ!」


博識そうな都会の鼠さんは、言いました。


「でも・・・」

「飛べるリスなど存在し無い」

「じゃあわたしは?」

「君はこの世界に存在しない生き物だ」

「えー!」



        ☆彡



と、ももんがのももちゃんは、都会で出会った鼠さんの事を、山小屋に住む山鼠のヤマネくんに話しました。


 「わたしは存在しないの?」


ももちゃんの表情はとても深刻でした。

ももちゃんの問いに、山鼠のヤマネくんは悩みました。


都会の鼠さんは、めっちゃ賢いと言う噂を聞いたことがあります。


そして、山鼠のヤマネくんはすぐに回答を見つけさせるほど、賢くはありませんでした。


ももんがのももちゃんは存在しなのか?

確かに空を飛ぶ生き物と言えば鳥。

山鼠のヤマネくんにとっても、ももんがは不思議な存在でした。

そもそも存在って何だろう?


ヤマネくんは一晩中考えました。そして、いつの間にか深い眠りに落ちてしまいました。


山小屋の外で鳥の囀(さえずる)声が聞こえました。どうやら朝のようです。


ふと気づくといつも側にいるはずの、ももんがのももちゃんがいません。


まさか本当に存在し無かったって事?

ももんがのももちゃんとは、ぼくの憧れを夢想しただけだったの?

あんな可愛い生き物が空を飛ぶなんて、常識的に考えると・・・ありえない、うん。


「ふぅ」


山鼠のヤマネくんは天井を見上げ嘆きました。すると


「とぉー」

と何かが舞い降りました。ももんがのももちゃんです。

ももちゃんの顔は昨夜と違い晴れ晴れとしていました。


そう、ももんがのももちゃんは存在するのです。

ヤマネくんが強く実感する程、ももちゃんは存在感に溢れていました。


「良かった」ヤマネくんは秘かに思いました。







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