第4話 仕方のない子
「ねぇねぇ美衣子。」
「何?」
「美衣子には本命がいる訳じゃない?それで、宗次郎には、浮気しても良いよって言ったんだよね?」
「まぁ…そうね。」
「それって私でも良いんでしょ?」
「えぇ?それは…別にいいけど…」
本当に頭おかしい。何のための結婚なんだろうね。
事情はまぁ、察してるけどさ、私も宗次郎とエッチするのは好きだけど、正直狂ってるとしか言えないよね。
だからこそ、私も親友の旦那とヤラせてとか平気で言える訳なんだけど。
それ以外はとても良い子で、親友としては申し分ない。
だから、美衣子の彼氏と離れさせる為にも、私は宗次郎に協力した。
宗次郎は美衣子の身体目当てだと言ってる。
普通に考えたら下衆以外の何物でもないその考えも、この時ばかりは真面に思えるのだから不思議なものだ。
何せ、宗次郎はセックスに妥協はしない。
付き合っている時は、他の人とはしないのも、不特定多数を相手にすると病気の恐れなど、リスクが増すし、一人を開発する方が楽しいらしい。
さて、こんなセックスと顔だけは最高の宗次郎だけど、欠点がある。
宗次郎と結婚が出来ないのは、子供が作れない身体だから。
私は結婚したら子供が欲しいから、泣く泣く宗次郎を諦めなければならないし、そろそろ結婚もしたいと、ちょうど良い機会だと思い宗次郎に協力した。
美衣子の彼氏は、クズの見本みたいな御人で、自分の為に美衣子に結婚を勧め、今なお縛っているという偉人だ。
偶然宗次郎のターゲットが美衣子に向かった為、宗次郎は他の人とは関係を断つし、ある意味一途ではあるから、それが身体目当てであっても、美衣子の彼氏より余程マシだと判断した。。
私が宗次郎とエッチ出来るのも、美衣子が全く宗次郎とエッチしないから、差し向ける為の取引で抱いてもらってる。
それももう終わりそうなんだよね〜。
「何回くらいエッチしたの?」
「え?ソウくんと?」
「うん。もう結婚して半年じゃない?」
「五回かな?…ねぇ碧、貴女本当にソウくんとのエッチが好きなの?」
「五回かぁ〜。そっかぁ〜。」
「ちょっと碧?」
「ん?宗次郎とのエッチ?大好きだけど?私あの人以上に上手い人いないと思うよ?」
以前浮気した相手は、ヤリチンで有名な人らしく、知り合いにも何人か関係を持った人がいて、お上手だと評判だった。
私は遥たかみを知っていたから、しょぼいとしか思わなかったけど。
「そっかぁ。碧はゆったりとした癒し系のセックスが好きなんだね?」
バカだな。
知らないから仕方ないけどね。
セフレになってから聞いたけど、五回も馴らされる人は、付き合った人だけらしい。
好きならその五回に耐えれるから、ゆっくりと自分好みに変えて行くそうだ。
まったくぅ、なんて事してくれたんだ。
でもその副次効果みたいなもので、他の人する時も、それ迄よりは良くなるみたい。
それでも宗次郎と比べるべくもないんだけど。
「そのうち分かるよ。はぁ〜。」
「何で溜息ついてるの?でもね、正直もうソウくんとは別れることを考えているんだよね。」
早くない?まだ半年だよ?
そんなに彼氏がいいんだ。仕方のない子だな。
「なんかね、ソウくんは一生懸命なの。ソウくんの事は嫌いじゃないし、私なんかに縛り付けておくのは可哀想な気がする。」
あははははは…うるせえ。
好きにすればいい。
彼氏と別れさせたかったから、宗次郎が知ってる事も言ってないし、何より、旦那に隠れてってシチュエーションに酔ってるみたいだから、敢えて言う必要もないし。
「じゃあさ、最後にもう一回くらいさせてあげな?どうせあんたも彼氏もそれで興奮するんでしょ?宗次郎にだって、それくらいの権利あるんじゃない?言ってたよ?(身体を)愛してるって。」
「うーん、分かった。そうだよね。最後に一回くらい。想像でもお世話になってるし…」
「想像?」
「あぁ、なんでもない!そうだ、今からちょっと着いてきてくれる?」
そうして美衣子に連れてこられたのは、役所だった。
緑色の書類を貰い、書き方を教えて貰って、スラスラと記入していく。
まぁ、いいか。
別れるんなら、また堂々と宗次郎に会える訳だし。
ただなぁ〜、本当に別れるのかなぁ?
その日の晩に、全てを宗次郎に話すそうだ。
まぁ宗次郎の事だから、慰謝料とかは請求しないだろうし、そもそも知ってるし。最後に一回くらいさせてあげな?って言った私を褒めてくれるかもしれない。その時は一日中ご馳走になろう。
でも、私も25歳。
当然同級生の宗次郎も美衣子も同じだけど、結婚してないのは私だけ。
言い寄ってくる男はそれなりにいるけど、身体目当てなのは分かるし、身体目当てと言うくらいなら、宗次郎くらいのスペックを求めてもいいじゃない?
先ずは彼氏かなぁ。
あ、そうだ。童貞を宗次郎に弟子入りさせてみたらどうだろう?
なんて事を考えている私もクズだなぁ。
クズ、クズ、クズばかり。
真面な恋愛出来るんだろうか。
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