第0093話 デコピン勇者! 新たなる伝説!
ユリコたちがファイヤーボールを
ここは宇宙ステーション内の会議室である。
「シオン。シュフィーアってババアに
「はい。
取り返したい気持ちもあるのですが、なんか
「なるほど。それで、提案なんだがなぁ……
どうだろう? 前の身体と全く同じ容姿に少々のスペックアップを
シオンが驚きの表情を見せている。
そんなことをしてもらってもいいのだろうか?とでも思ったのか、他の助手たちの顔色をうかがうかのような
「あ、もちろんお前さんが望めば……の話なんだがな。どうだろうかな?
以前のお前さんの身体に関するデータが、ここの管理システム内のデータベースに残っているんでな。
「私だけが特別にそんなことをしていただいては、みなさんに申し訳ないです」
「いや。 俺の
全然
他のハニーたちの顔を見ながら……
「他のハニーたちもきっと、この提案はよろこんで
そう思うんだが……どうだろうか? ハニーたち?」
"もちろんですともっ!
「シオン。あなたさえ
シオリのその言葉に、シオンを
「シオリさん……みんな……ううう……ありがとうございます」
「お!? それじゃぁ?」
「はい。ダーリンのご
「そうか! よかったぜ!
実は
ふぅ~、
みんなは苦笑している。 いや、みんなではない!?
シオリだけは
どうやら彼女にはすべてお
あの教皇シミュニオンこと、シュフィーアってババアのことだから!
シオンの身体をどんなことに使っているか分かったもんじゃない!
あのババアがシオンの身体を大切にしているようには、俺には全く思えない!
きっと
あの
もう
そんな
シオンには
シオンは心から喜んでくれているのだろうか心配だ。
「シオン。新しい身体は迷惑じゃねぇのか? 正直に言ってくれていいんだぜ?」
「嬉しいです! 私は今、本当に幸せだと感じています! ああ、なんか涙が……」
シオンはさめざめと泣く……
どうやら本当に喜んでくれているようだ。
「この会議が終わったら、
「はい。 よろしくお願いします!」
ん? さゆりがなんかニコニコしながらこっちを見ているな? なんだ?
あ、目が合った!
「ねぇねぇ、ダーリン!
「ああ。そうなるかな……いや! 本物のシオンの新しい身体の方が中身の魂がいいから、ずっとかわいくなるはずだぜ! でも、さゆり、なんでそんなことを?」
ん? なぜかシオンが
「うふふ。 本物のシオンさんが乗り込んでいってさぁ、教皇に……
『お前は私に
って、やり
「ははは! そいつはいいな!
コロセウムのような場所にシオン教徒をいっぱい集めて、その場で『奇跡を起こす対決』をする……ってのも面白そうだな!?」
「あわわわわわ……そ、そんな対決を、わ、私がするんですか?」
シオンがうろたえている?
「どうだい? これ、すっげぇ面白そうじゃねぇか?
あ、もちろん、その時には俺はお前さんの
もう絶対にお前さんだけをひとりにはしねぇから安心おし!
絶対に! お前さんを守るからな!」
「え? …… は、はいっ!」
シオンはなんだか嬉しそうだ。
「あらららら……そ、その時は私も一緒に行っていいかな?」
「ああ。いいぜ、さゆり! なんといってもお前さんの
さゆりは "にかぁ~" と嬉しそうに、
他の管理助手たちは『いいなぁ~』とでも言いたげな表情を浮かべている。
そんな時であった! シンに
ん? なんだ? お? またマルルカからの念話だな?
うまく
「あ、みんなちょっとごめん! またマルルカから念話が入ったようだ!
"はいっ!"
『どうした、マルルカ?
『はい。
それで、お
先ほど申しました方法で、
『なに? ってことは、
『はい。恐らくは……
それでその女性には"誰に
『なるほど、かわいそうになぁ。
奴隷にされてから
『はい。……ということで、彼女の
『ああ。分かった。 ターゲットを確認した!
今から
その神子を支配しているヤツが多分、近くにいるはずだからな!
『はい。分かりました。 勇者様とマイミィにも伝えます。
それではよろしくお願いします』
『おう!
それじゃぁ、神である
……
『あっ!
『おう! またなんかあったら、何時でもいいから念話していいからな?』
『はい。 それでは失礼します!』
さて、この後、
さっき俺が見せしめにクソ野郎をぶっ殺しておいたからなぁ。
ユリコたちに
まぁ、
俺の
俺の
この直後に、ユリコたちは
◇◇◇◇◇◇◇
えーっ!? 予想だにしていなかっただなんて……シン、ダメじゃん!
ファイヤーボール、
ユリコたちはいったいどうなったんだ!? シンの助けは期待できない!
大丈夫なのかっ!?
◇◇◇◇◇◇◆
「クックックッ! くぁあーーっはっはっはっはっ!」
「あーーははははは…… はぁ!? な、なにっ!? そ、そんなバカなっ!?」
ふぅ~、よかった! ユリコたち、そして、神殿関係者たちを
そう!
「な、なんだ!? あの
彼等だ!
各人に2体ずつ
ちょうど空間に正六角形を
各ミニヨンがシールドを展開し、ちょうど"六角形の巨大な
その "
「うわぁ~! ダーリン! ありがとう!」「ありがとう! あ・な・た!」
「し、シン! ありがとう! 助かったわ!」
マルルカ、マイミィ、ユリコは天を
は・は・は……残念でした。 彼は聞いてないんだけどねぇ……
シンは、こうなることを全く予想していなかったので、すでに念話回線は切られてしまっている。 彼女たちの言葉は残念ながらシンには届いていない。
まぁ、確かにまさかの場合を想定してシンが、ミニヨンたちに彼女たちを守らせていたことには違いないんだが……
今回はシンが直接命令して彼女たちを助けたわけではない!
感謝するならミニヨンにして欲しいところだ!
ミニヨンたちの
あ、
シオン神聖国のニシズネ町で、ヨゼダン
(→第0086話参照。)
ユリコはファイヤーボールを放った、本当の
「あなたが盗賊に情報を流していた内通者だったのね!? …… リーダー!」
そう!
リーダーの
ユリコは、
それがなんなのかがようやく分かった。
これだけの美人なのに、盗賊たちが
盗賊たちはこんな美人がいるのに、なぜか
盗賊たちは、商隊の女性たちを
(→第0091話終盤参照。)
それで女性冒険者リーダーが現れた際に引っかかりを覚えたというわけだ。
『ふぅ。なんか心に引っかかっていて、もやもやしてたんだけど……
これでスッキリしたわ!』
この冒険者リーダーが
「あなたバカじゃないの? さっきのダーリンの "
大人しく
死にたいってこと?
マイミィがあきれながら
「う、うるさい! うるさい!
大人しく
あんたたちを殺せば、ジャギャンを殺した神への
「ジャギャン? だれそれ?」
「さっき神に殺されたあたしの仲間よ! 目の前で殺されるのを見たでしょ!?」
ジャギャンとはさっきシンが
ヤツもどうやら盗賊の仲間だったようだ。
「え? シンが殺したあの男も盗賊の仲間だったの!?」
「うわぁ~。そうだったの!? ダーリンはちゃんと分かってたんですね!?
あの時は
「あれれぇ~? ユリコさんもマルルカさんも分からなかったんですかぁ?
あらあら! ダメですねぇ~、お二人とも愛情と信仰心が足りませんよぉ~。
ちゃんとダーリンには盗賊だと分かってたに決まってますよぉ~。
ふっふっふーーっ! ダーリンを心から愛し、
ユリコもマルルカも
い、いや……マイミィさん。
たとえ
「う、うるさいっ! なにをごちゃごちゃと!? 死ねぇーーっ!」
「勇者様! あぶないっ!」
ガッ!
盗賊と内通していた女、マージェラが、
マルルカの警告も
ユリコはマージェラの剣を
商隊の者たち、冒険者たち、そして、神殿関係者たち……
誰もが次の瞬間には、ユリコの首がはねられて地面に転がると予想した!
バッキィィィィィーーン!
「えっ!?」 ぺち! 「ぐわはっ! …… 」
ズガン! ズガン! …… ズガガガガッ! ズサッ!
だがっ! ユリコの首をはねるものだとばかり思っていたマージェラの剣が、音を立てて
ユリコが展開していた
マージェラの剣が折れたと思った
マージェラは
地面で二回バウンドをした後、顔で地面を
マージェラは意識を失ってしまった。
草原には まるで
マルルカとマイミィは『まっ、当然よねぇ』といった感じの
他の者たちはみんな、目が飛び出さんばかり、アゴが外れんばかりの驚きの表情を見せて
「お、おい。 デコピン一発でランクAのマージェラを
「あ、ああ……。 はっ!? か、彼女が例のあれじゃねぇのか? ほら……」
「ああ! デコピン一発で各地の悪者どもを
「そうだよ、デコピン勇者……デコピン勇者だよ!」
「でもよぉ? そいつは男だって話じゃなかったかぁ?
すっげぇ美人をふたり
「3人ともすっげぇ美人だが……勇者は別にカウントすれば、ほら、あの美人二人を
「ああ、それに、あのマルルカって
冒険者たちが自分のことを話しているらしいと分かったユリコが……
「ち、違うわよ! わ、私は『デコピン勇者』なんかじゃないっ! 人違いよ!」
全力で否定した。
そうだよねぇ~、誰もがイヤだよねぇ~、そんな二つ名をつけられるのは……
「間違いねぇよ! いつも『デコピン勇者』って、呼ばれるのを全力で否定するって確か回ってきた
「ああ! そうだった! 俺も読んだぜそれ! やっぱりこの
「ち、違うって言ってるでしょ! そんな
この日から、
シンは後でその話を聞き、一瞬ホッとしたかのような表情を浮かべ……
これで自分は『デコピン勇者』と呼ばれなくなると、たいそう喜んだらしい。
◇◇◇◇◇◆◇
盗賊の仲間だったマージェラは、その後マルルカに治療されて、隷従の首輪を
マージェラは
盗賊の仲間、マージェラの奴隷にされていた魔物使いである神子は、幸いなことに
商品の "
そのことを知ったユリコは、涙を流しながら心の底から喜んでいたという……
『……そうか。 それじゃぁ、そのシーティアって子は中央神殿に戻ってもらって、
『はい。私たち3人もそうした方がいいだろうと話していました』
マルルカがシンに
『それでどうするんだ、マルルカ?
お前さんたちはまだ旅を続けるつもりなんだろう?
なんなら俺がその子を
『いえ。3人で相談して、私たちが転移で連れて行こうということになりました。
というのも、ほら、私たちが盗賊から助けた男性がいますでしょ?』
『あ、ああ……そういえば男が
『はい! あの方は
それで、商隊に
ですから、その時、一緒にシーティアも連れて行こうかと思っています』
『なるほど、そういうことか。 分かった。それじゃぁ、頼むな』
『はい!』
『またなんかあったらすぐに連絡してな? 遠慮はいらねぇからな?』
『はい! ありがとうございます。 それでは、失礼します!』
こうしてユリコたちは、シーティアと、盗賊に
『うふふ! これで神都へ戻る
後はなんとかして……なんか理由を見つけてシンのもとに戻らなきゃね!』
そうなるといいのだが……
◇◇◇◇◇◆◆
一方、宇宙ステーションの会議室では……
「よし! それじゃぁ、シオンが新しい身体に
"はいっ!"
「で、そのままシオン教を乗っ取って
"はいっ!"
どうだろうかなぁ……シオンが新しい身体に慣れるには、最低でも10日はかかるものとみておいた方がよさそうだよな。
俺自身、新しい身体になってからもう10日以上経っているが……なんか、未だにシックリこない時があるもんなぁ。
女性の身体はデリケートだろうから……ひょっとするとシオンの場合、慣れるまで1ヶ月以上かかるかも知れないな。
「それまでの間は、
ガンガン
"はいっ!"
「さてと……それじゃぁ、今度は各種族の現状を聞いていこうかな?
それでいいかい? これまでのことでなにか疑問とかはねぇかな?」
みんなはお互いに顔を見合わせながら首を左右に振っている。
「上様。みんな疑問はないようですので、まず私からひとつお知らせしておきたいのですがよろしいでしょうか?」
「ああ、シオリ。 どうぞ……っとその前に、あのさぁ、やっぱり『ダーリン』って呼んでくんねぇだろうかなぁ?
ここではなんというか、フラットに話し合いてぇからさぁ。ダメかなぁ?」
「わ、分かりました。ダーリン。では、よろしいでしょうか?」
「お、おう! 頼む」
シオリの話の内容は、シオン神聖国が、ニラモリア国との国境付近に展開していた
これでシオン神聖国のニラモリア国
獣人族担当のシノは、シオリと
この場でシオリからその事実が報告されたのを聞いて、ようやく、心から
ワッドランド帝国の"駐ニラモリア国大使の部下"である二重スパイ、ジェンマが、ダンジョンからの魔物
その後、各種族の担当者から順に、各種族の現状についての報告がなされた……
◇◇◇◇◆◇◇
「それじゃぁ、ガザマンさん。
神都まで転移しますからね。勇者様の腕をつかんで下さいね」
「ちょ、ちょっとマルルカ! な、なんで私の腕なのよ!?
あなたの腕でもいいじゃないの!?」
「私とマイミィはダメですよぉ。だって……うふっ! 私たちは人妻ですもの!
ダーリン以外の
「そうですよ。そんな
「ふ、
「え? なんですって? 私だって? え? え? なになに? なんですか?」
マイミィがニヤニヤしながらしつこく
「んぐっ! な、な、なんでもないわよ!
と、とにかく! シン以外の男の人に触れられたくないわ!
私だって絶対にイヤよ!」
その後ユリコは
急に表情がパッと明るくなった。 なにやら思いついたようだ。
「ガザマンさん。むこうを向いて下さる?
あなたに触れられるのはイヤだから、私があなたに触れることにするわ!
えーと、確かキャットスーツが触れていればいいのよね、マルルカ?」
「はい。ダーリンはそう言ってました」
「じゃ、じゃぁ、これでいいわね?」
ユリコはガザマンの背中に、自分の背中を向けて立ち……
キャットスーツが
「さ、さぁ! これでいいわよね!?
この体勢なら、たとえシンに見られたとしても、
さぁ、それではシーティアさん! あなたは私の左腕につかまってね!」
「は、はいっ!」
シーティアはユリコの指示に
ガザマンは『女心ってのは複雑なんだなぁ』と"しみじみ"思った。
一方、その女心が分かるはずの女性陣、マルルカ、マイミィ、シーティアは……
『うわぁ~、ユリコさんは、やっぱりめんどくさい人だよぉ。
この人の考えがな~んかよく分からなくなることがたまにあるのよねぇ……』
3人とも同じようなことを考えたのだった。
「それじゃぁ、みんな! 神都へ転移しましょう! ……転移!」
こうして、ユリコ、マルルカ、マイミィ、ガザマン、シーティアは……
神都エフデルファイの中央神殿へと転移していったのだった。
◇◇◇◇◆◇◆
ユリコたちは奴隷にされていた、魔物使い能力を持つ神殿神子、シーティアを神都中央神殿にいた "シンの
盗賊から助けた男、"ガザマン"が強く望んだことから、彼が妻のもとへと帰るのに
「私のような者に
3年もの間
「そんなに
「そうですよ。勇者様の
「それに……どんな奥さんか知りたいですし……」
「「「ねーーっ!」」」
ユリコ、マルルカ、マイミィは、ガザマンの妻もだが……
きっと感動的なシーンとなるであろう、ガザマンと妻との3年ぶりの再会の場面が見たくて見たくて"ウズウズ"しているようだ。
「は・は・は……と、とにかく、すみません。
あっ! あの角を曲がった先に、私たちが住んでいるアパートがあります!」
心なしか、ガザマンの
4人は、そこを
「そ、そんなぁ……」
ガザマンは
彼は真っ青な顔をしながら
「……な・い……アパートが……ない……」
ガザマンは、かつては建物が建っていたであろうと思われる空き地をながめながら
かつてはアパートの
真っ黒な、焼かれたようになっている、レンガ造りの "
どうやらガザマンたち夫婦が
「ちょっと、ガザマンさん! 気をしっかり持って! しっかりして下さい!」
「そうですっ! どうもここで
「勇者様とマイミィが言うとおりですよ! さあ、何があったのか、近所の人たちに聞いてみますよ! さぁっ!」
かつて、ニラモリア国を救った英雄、ガザマン……彼の
はてさて、ガザマンの
どうか
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