第0092話 内通者
惑星ディラック
その中のある会議室で行われている管理者会議に
まぁ、会議といっても "しゃっちょこばった" もんじゃなくて お
俺が日本人だった頃に
「それでは、第二の議題に移ろうと思う」
「第二の議題とは……新しい国を創る話でしたね? でも、なぜ?」
「シオリ、お前さんも、そして、みんなも知っての通りなんだが……
なんだかんだ色々あって、今、ハニーたち全員をエフデルファイの神殿に、人族の中央神殿に集めているような状況になっちまっているだろう?」
全員が
「で、その状況ってのが、どうやら人族以外のヒューマノイド種族の神殿関係者たちには面白くねぇみたいで……
俺が人族を
エルフ族担当助手のシホが複雑な表情をしながら口を開く……
「はい。そうです。 それに、ただ
他の管理助手たちは驚きの表情を浮かべている。
「なるほど。ヤツらはそんな動きをしているのか? 困ったもんだなぁ」
「はい……」
「ということでだな。
で、それは俺たちがどっかの国に集まっているのが原因になっているわけだ」
シオリを含む全管理助手が『うん、うん』と
「そこでだ! それじゃぁってことでな……
どこの国にも属さず、
「なるほど。そうすればどこも
でもいったい、その新しい国をどこに
「シオリ。お前さんなら
「
「おお! さすがはシオリだな! そうだ! プレトザギスだ!
あそこなら、新しい国を
実は、会議が始まる前は『オミタ』もその
「え? プレトザギスって……いつも攻撃神術の練習をしてるところ?」
「ああ、さゆり。その通りだ。あの砂漠地帯だ」
「えーーっ!? あんなところぉ? …… とてもじゃないけど、人は
いったいどうするつもりなの?」
マップを空中に表示させる……
「ほら。プレトザギスの北には海があるだろう?」
「うん。 あっ! そっかぁっ!」
「ああ、多分、お前さんが今思いついたのと同じだと思うが……
そこから海水を取り込んで "
プレトザギスという
もぉ~、どう転んでも、砂漠地帯にしか
ここを
「なるほど。技術的には問題無いですね……
しかし、
彼女が担当している魔族の国、"ハオインガック"はプレトザギスの
「おっ! さすがはシズだな。その通りだ。 もちろん、その点も考えてるぜ。
実は今、
「シミュレーションですか?」
「ああ、シズ。
だからな、お前さんが
「そうでしたか。
『
「いや。シズ、謝ることなんてねぇよ。これからも思ったことは、なんでもどんどん言ってくれ。 俺はその方が嬉しいからな、頼むぜ?
「はい」
「あー。みんなには事前に相談しなくて
まぁ、管理システムの演算リソースは"1%"ほど使うだけだってんで、俺の
でな。それがあと5日ほどで出来上がるらしいんだが……」
シオンの方を向いて、彼女の目を見つめる。
シオンは俺と視線が合うと微笑み、ポッと
「それで、シオン。 お前さんに、その新しい国の管理担当者になってもらいてぇと思っているんだが……どうだろう? 引き受けてくんねぇだろうか?」
「え!? わ、私がですか!? 私なんかでいいんでしょうか!?」
「ああ。復帰早々で悪ぃんだけどな、頼むよ。 どうだろう?」
「はいっ!
「おおっ! そうか! そうか! ありがとう! 助かるぜ!」
かつてのシオンのポジション、人族の管理担当には現在、"地球"から転移して来たさゆりが
シオンが管理助手に復帰したからといってすぐにさゆりを
どこも担当しない状態では、シオンも
「それで……シオン。 さっき助けた女性な。 あの子は俺たちほどじゃねぇんだが、そこそこ科学技術が進んだ惑星のヒューマノイド種族なんだよ。
しかも
「はぁ。そう・なん・で・すかぁ……それで……?」
「でな、あの子にお前さんの仕事を手伝ってもらおうかと思っているんだよ」
「え? 私の手伝い?」
「ああ、そうだ。お前さんの
で、後で紹介するから、ちょっとその
シオンがちょっと不安そうな顔をした。
セヴォ・ブナインの、あの俺にグイグイ
(→第0088話、第0089話参照。)
「ああ……もちろん、直接会って話をしてみて『 こりゃ馬が合わねぇな 』ってことだったら、
まぁ、まずは
結論は会ってみてからでいいからさ。 どうだろう?」
「はい。
無理矢理チームを組ませることだけはしたくないと思っている。
いずれにせよ、会って話をしてみないと分からないだろう……と思う。
「新しい国が、国家としてある程度
もちろん、お前さんに国を
シオンは "にこっ" と笑った。
「まぁ、管理助手で、ハニーでもあるお前さんたちも、他のハニーたちも
「はいっ! なんかわくわくしますね! 私たちの国!」
他の管理助手たちも
俺は全員に視線を送りながら……
「それでだが……
みんなも、その時までに、どんな国にしてぇとかのアイディアを色々と考えといてくれるとありがてぇんだが……どうだろう? みんな頼めるかな?」
"はいっ! 承知しました!"
◇◇◇◇◇◇◇
「では、第三の議題『
シオンの話を聞いて分かったように、シオン教を
これはちょっと、
「はい。シオンが先ほど語ったように、かつての上様も、その『八百万の神計画』を
つまり、上様が理想としていた宗教団体に
……あるいは、この世界から
シオリはキッチリしているからなぁ……
俺のことを『ダーリン』とは呼ばず、『
フラットな議論をするためにも『 ダーリン 』って、呼んでもらった方がいいんだけどなぁ。
「そうですね。 私もシオリさんに賛成です! 今のシオン教は
絶対にこのまま "のさばらせて" は いけません!」
めずらしいことに、獣人族担当のシノの
「私たちが
うちの子たちの
シノはわなわなと
「そんなヤツらは絶対に! 絶対に許せません!
今回はダーリンの
このままでは、また
いっそ、この世からヤツらをすべて消し去ってやりたいです!」
シノは
「うちの子たちも
この世界のトラブルの多くに、シオン教徒が
たとえ
私は、
「そうですね。エルフ担当のシホの言うとおりだと私も思います。
シオンの、これまでの努力を
我らの
ダークエルフ族担当のシタンが発言した。力のこもった
「おいおい、ちょっと待った!
話の流れで、どうやら第四の議題の方に入っちまったようだし……
それじゃぁ『
"はいっ!"
「じゃぁ、今からはシオンの身体の
"はいっ!"
ちょうどその時である!
『ダーリン! お
『ん? マルルカかい? ハニー、どうした?』
マルルカから念話が入った。 どうも
『実は
『なに!?
『い、いえいえいえ! 大丈夫です! 盗賊は
『ふぅ~、よかったぁ。 ものすごく
『それで、その盗賊たちが襲おうとしていた
『なるほど。 それで、俺にどうして欲しいんだい?』
『はい。盗賊たちの死は
マップがないものですから、
『おお。
『はいっ! そうです!』
『なかなかやるなぁ、お前さん! えーと、ちょっと待ってなぁ……』
マップでマルルカのいる場所を確認する……
お! ユリコとマイミィも一緒だな! ん? 男の反応!? 誰だ!?
気になるなぁ……。 おっと、その前に
『えーとなぁ。今お前さんたちがいる場所、北の方に
そうだなぁ……おおよそ2kmくらい進むと大きな道に出るはずだから……』
『ダーリン、ありがとう! うふ、愛してる! じゃぁねっ!』
『お、おい!
ああ……
一緒にいた男のことが……き、気になるぅ~!
◇◇◇◇◇◇◆
「ダーリンに聞きました! ほら! こっちの道です。 この
「いいなぁ~、マルルカさん。 私たちもダーリンとお話ししたかったなぁ~。
ねぇ、ユリコさん? そう思うでしょ?」
「わ、わわ、私は……そ、そんな気はサラサラなかったわ! ほ、本当よ!」
『『やっぱりめんどうくさいわ~、この人……』』
マルルカもマイミィも同じことを考えた。
「あっ! ほらっ! 商隊が来たわよ!
マイミィ、
さぁ、みんな!
ユリコが指示を出す。
ユリコたちが
どうやらその女性は冒険者風の者たちのリーダーのようだ。 すごい美人である。
彼女は
「なんだい、あんたたちは?」
「私たちは神の
街道のこの先で、盗賊の
このまま進むと危険です! どうか私たちの指示に
こっちの
「
あなたたちが盗賊じゃないって
「証拠なんてものはありません。でも、本当に……本当に私たちは神の后なんです。どうか信じて下さい!」
「分かったわ。 信じることに……」
"信じることにする"と言おうとしたリーダーと
「おっと、
おい、お
「いいえ。 この男の人は、この商隊を止めるために、盗賊によって道に
「リーダーは私よ! それがどうかした?」
ユリコが前に出て言った。
男はイヤらしい、
「クックックッ! お前さんがリーダーか……
じゃぁ、念のためにお前さんには、一時的に俺の奴隷になってもらおうか?」
「なっ……バカなっ! 私たちは神の后だと言ったよね? あなた死にたいの?」
マイミィが
ユリコはブラックドラゴンに精神支配された時のことを思い出したのか……
顔色は真っ青だ! 目には涙が! 身体もガタガタと
『クックックッ! 3人ともすっげぇ美人だなぁ~。 こりゃついてるぜ!
信じて
男は
心の中で思っている嫌らしいことが、表情に
『まずは、リーダーだというこの女を奴隷にして……クックックッ!
この女をおもちゃにされたくなかったら、お前らも隷従の首輪を
そうすりゃぁ、この俺に
3人ともそのまま俺の性奴隷にして……クックックッ! たまらんなぁ!』
「お前さんは黙っていろ! 俺はそこのリーダーに言っているんだ!
盗賊じゃねぇとは言ってるがなぁ……口ではなんとでも言えるからなぁ?
なにもやましいところがねぇってんなら……、信じて欲しいってんなら、大人しくこの
その時である!
カリカリカリカリカリカリカリ……ズッガァーーンッ!
ぎゃあぁっ! ……ズサッ!
ユリコたちを
マルルカから念話を受けてからというもの、シンはユリコたちのことが気になり、ずっと様子をうかがっていたようだ!
大切なハニーたちが
だから、クソ野郎の
『おい! てめぇらっ! 調子ぶっこいてんじゃねぇぞ!
はぁあっ!? 俺の大事な
てめぇら、全員、どうやら俺にぶっ殺されてぇようだなぁ!?』
「も、申し訳ございません! まさか本当に神様のお
我がパーティーメンバーが、た、大変失礼しました!
う、
冒険者パーティーの、リーダーらしき女性は
ユリコたちの方を "チラチラ" と見ながら、天に向かって大声で
『よし!
だがな! 今
俺の妻たちを
シンがそう念話で
どうやらシンは、
『
……ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!
男はあまりの
だがっ! その
『
ボムッ! ブシャッ!
ひぃぃぃぃぃっ! きゃぁぁぁぁぁぁぁーーっ!
うわぁっ! …………ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……
シンは相当
男の魂の色が、"赤黒かった" のもあってか、
男が
あたりには、
見ると、
人々は目の前で
『てめぇら! ごちゃごちゃ言ってねぇで、俺の嫁たちに
いいな!? 俺はちゃんと上から見ているからな!
くれぐれもおかしなまねはすんじゃねぇぞ!?
分かったら嫁の話をちゃんと聞け! それじゃぁな!』
そう言うとシンは念話を切った。
人々は、神がいかに恐ろしい存在であるかを……、
そして、神がいかに
ちなみに……このことは
その言葉は、多くの女性を
「あーあ。だから言ったじゃない? 私たちは神の后だって。バカな男よね」
「みなさん。ダーリンの言葉が聞こえたでしょう? もうお分かりだと思いますが、今マイミィが言ったように、私たちは本当に神の后です!
ですから、どうか私たちのことを信じて
この先では本当に盗賊が待っているのです! このまま進むと
だからこっちの道を北に進んで、この
さぁ! 急いで下さい!」
マイミィとマルルカがそう話すと、
ユリコは青い顔をしてまだ震えている。 ブラックドラゴンに奴隷にされたつらい記憶、恐怖は思った以上に、ユリコの心に深い
(→第0077話参照。)
「……ユリコさん、ユリコさん! 大丈夫ですか?
私たちは神殿関係者の馬車に乗ることになりましたよ。さぁ、
「えっ? ああ、マルルカ。分かったわ……」
◇◇◇◇◇◆◇
盗賊の
『チッ! くっそう! まさか神の
こりゃまずいな……計画は中止だな?
お
北の街道に出たら、なにか理由をつけてすぐに
しかし、もったいないなぁ!
内通者がどうやって
「みなさん!
あそこの
この先が安全かどうかを私たちが見てきますので!」
神の后、マルルカがそう言ったのを聞いて、
『お! ついているな!?
休憩に入ると内通者は『
ユリコと、ユリコたちが助けた男、ガザマンの二人が商隊と
その機会をずっと待っていた者がいたとは
そう! その待っていた者とはマイミィだ! この世界最高の
『ユリコさん! 魔物使いが誰だか分かりましたよ! でも驚かないで下さいね?
それがなんと!
あ、
『マイミィ、ありがとう! 順調ね!
でも、なんていうことなの! まさか
『はい……暗い表情をするダーリンの顔が目に浮かぶようです。
あ! 魔物使いの女がそっちに戻っていきますので、私も後を追います!
それでは後ほど!』
『うん。 気をつけてね!』
『はい!』
『マルルカ。 マイミィが魔物使いを特定したわよ。 だからすぐに戻ってきて!』
『分かりました!
事件が解決したら、もとの道に戻らなくてもこのまま先に進んでいけそうです』
『そう。それはよかったわ、ありがとう。
それじゃぁ、
『はいっ!』
ひとりの神殿神子の後を追うようにしてマイミィが森から戻ってきた。
ほどなくしてマルルカも戻った。
ユリコは神殿関係者たちに声を
「神殿関係者のみなさん! シンからの伝言があります!
すみませんが、こちらに来ていただけませんか!」
神殿神子が2名。 彼女たちの
商隊の者たちと護衛の冒険者たちも
マルルカとマイミィもユリコの横にやって来て……
マイミィがユリコに耳打ちする。
「あの女性です。 あの神子が魔物使いです。 彼女は、ガーゴイルを招喚して手紙のような物を持たせて飛び立たせていました。 どうします?
ユリコはその神子の様子が変なことに気が付いた。
彼女の首には、神子には
彼女は、目には涙をいっぱい
ユリコにはその表情には、
「待って。 彼女おかしいわよ。 彼女は
「「え?」」
3人は神眼を使う……奴隷だ!
魔物使いの能力を持っている目の前の
「マルルカ。 シンに頼んで彼女を奴隷から解放してもらって」
「分かりました。……でも、勇者様がご自分で頼めばいいのに……」
「なんか言った?」
「い、いえ! すぐに頼んでみます!」
『……ということで、彼女の奴隷契約を
マルルカが、再び会議中のシンに念話をつなげて事情を説明し、奴隷契約の
『ああ。分かった。 ターゲットを確認した! 今から奴隷契約を破棄するが……
周囲の警戒を
『はい。分かりました。
勇者様とマイミィにも伝えます。 それではよろしくお願いします』
『おう!
よし! それじゃぁ、神である
シンが念話でそのように唱えると……
神子の首もとを
「うわぁーーーん!」
奴隷にされていた神殿神子は、大声をあげて泣き出したのだ!
「さあ、シンが……神様が奴隷契約を破棄してくれたからもう大丈夫よ!
だからもう泣かないで。 あなたを奴隷にしていたのは誰か教えて?」
「はい……私を奴隷にしたのは……」
「「あぶない!!」」
ゴォォォォォォォーーッ!
神子が、奴隷だったときの主人の名を
彼女と
マルルカとマイミィが、いちはやくそれに気付き……
神子とユリコの前に
だが! 奴隷だった神子は彼女たち3人が
その他の神殿関係者たちは全くの
ファイヤーボールの威力と大きさからして、このままでは無事にすまないだろう!
きゃぁぁぁぁぁぁぁーーっ! うわぁーーっ! ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!
ドッゴォォォォォォーーンッ!
ファイヤーボールは当たった! 大きな音を立てて
"はっ!? …… !"
その様子を見ていた商隊の者たち、護衛の者たちは
ただひとりを
そいつは
「クックックッ! くぁあーーっはっはっはっはっ!」
誰だ! いったいファイヤーボールは誰が
……な~んてね。 まぁ、きっと無事に違いないんだけどねぇ~。
え? なんでかって?
だってさぁ、あのシンが彼女たちの
ふっふっふっ! きっと見ているに
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