第0091話 やっぱり湧いて出た!
ユリコたちが今いる場所は
人が
勇者ユリコ、マルルカ、マイミィは
男の顔は
右足の
男が倒れているすぐ
あの傷では恐らく右目を失っているだろう。
「……に…げろ。 ……わな……だ……。 ……にげ…る……んだ……」
男は口から血を
「うっ!
そう言うとユリコは男のもとへと
「しっかりして下さい! 今すぐ
ユリコがそう言った直後に、男の身体が一瞬
ユリコが
「ん!? あ、足が……俺の足が!? み、右目も!? ああ……」
「さあ、もう大丈夫ですよ。 でもこんなところで
「勇者様!」「ユリコさん!」
男がユリコの質問に答えようとした時!
周囲に広がっている森の中からむさい男どもが数十人!
わらわらと、まるで
どうだろうかな……おおよそ50人といったところか!?
「ゲッヘヘヘヘヘッ! たまんねぇなぁ! こんな場所でまさか
ユリコたちは完全に
……と言いたいところだが、それは彼女たちが普通の女性だったならの話だ!
「神都からニラモリアへと向かう商隊がもうすぐここにやって来るって話だったが、その前にこんな "おいしい
ガハハハハッ! ガァーーッハハハハハハッ!!」
「ぐへへっ! ああ、
おい、野郎ども! 急いで女どもをとっ
「こりゃおったまげた! "
お、お
「なんだとぉ? しゃぁねぇな、男はぶっ殺して、女のひとりをロープでふん
「へいっ! ゲヘヘ、頭。
「ああ、それもそうだな! ガハハッ!
だがいいか! 絶対に傷をつけるんじゃねぇぞ!
俺たちでたっぷりと楽しんだ
ガーハッハッハッハッ! ガーッハハハハハッ!」
『『『クソ野郎どもの思考パターンってみ~んな同じっ!
ユリコたち3人は、
「へへへ。分かっておりやすって! く~っ、たまらんでやんす!
こんな
ああ、神様に感謝しやす! へへへへへっ!」
クソ野郎は、言葉の最後に天を
なんともバカで、
だが、このクソ野郎にとっては幸いなことに、どうやらその感謝の言葉はシンには届かなかったようだ!? もしも届いていたら……どうなるかは言うまでもない!
まあ、このクソ野郎どもが
シンにやられるか、ユリコたちにやられるか…だけの違いだろう……。
◇◇◇◇◇◇◇
「マルルカ! その人を守って! マイミィ! 後ろを頼みます!」
「「はいっ!」」
「俺が戦う! その剣を貸してくれ! お嬢さんたちは俺が守る!」
「ダメです! 剣を貸すなんて絶対にいや!
私の大切な人からの贈り物ですから人には
それに心配ご無用! 私たちだけで大丈夫!
ここは私たちに
ユリコが
「だ、だがこの数を3人だけで相手にするのは無理だ! 俺にも戦わせてくれ!」
「傷が
「じゃ、邪魔っ!? ……」
ユリコたちが助けた男はそう言うと
「ユリコさん、森林火災が発生するといけないので、火属性神術は禁止ですね?」
「そうね、マイミィ。 火属性はやめておきましょう!」
「おうおう! ねえちゃんたちよぉ、なにをごちゃごちゃ言ってやがるんだ?
ガハハハハッ! これだけの数の男を相手に
悪ぃことは言わねぇ、おとなしく
俺たちが気持ちいいこといっぱいしてやるからよぉ~?
ぐふっぐふふ……ぐははっ! ぐあぁーーははははっ!」
そう言うとクソ野郎のボスらしき男が、
彼女たちを
まぁ~、絶対に起こりえない展開なんだがな……。
「
……ダブルトルネードからの
ユリコが
うぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!
ユリコが
ユリコは二つの竜巻の間の気圧が
そして、
そう、日本では、
それも、とびっきり
まぁ、地球で発生する
ユリコが放った、強力で強烈な2つの竜巻が生み出した気圧差は、どうやら身体を
竜巻が
ユリコの
「ユリコさん! な、なんですか!? その神術は?」
「マイミィ! それは後で! 今はいいから敵に集中して!
相手が
「は、はいっ! じゃ、じゃぁ、私は……ウインドカッター×100!」
シュシュシュシュシュ…………シュンッ!
ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ……ぎゃあああぁぁぁぁぁっ! うがっ!
ユリコの攻撃を見て
悪漢どもは、なす
50人は
それも、ユリコとマイミィがそれぞれ放った、たった
なんともまぁ……チート
俺が戦うと言って、ユリコの剣を
アゴが外れんばかりに、大きな口を開けて
その場で
「勇者様! マイミィ! 誰か
盗賊のアジトが分からなくなっちゃっいましたよ?
なんでデコピンでやっつけないんですかぁ!?
バラバラ死体の山をどうするんですか!? 後片付けが大変ですよ!?」
「だ、だってぇ……か、数が多かったんだもん! デコピンじゃ
「そ、そうよ! マイミィの言う通りよ! 時間がかかるじゃない!?
それに……極薄シールド越しとはいえ、あんなむさい男どもには、指一本触れたくないじゃない!? そう言ってるけど、マルルカはできるの!?」
「そうそう! ユリコさんの言う通りよ! 聖女様は
「うっ! ……む、無理ですぅ……」
「「でしょぉ~? ふっふっふっ!」」
「で、ユリコさん! なんなんですか? あの攻撃は?
ダーリンからあんなのを特別に教えてもらっていたんですか? ずるいですぅ」
「ち、違うわよ。私のオリジナルよ。 今さっき思いついたの。
昔見たテレビ
テレビ漫画!?
ユリコが地球の日本の……古き昭和の時代の人間だということがこのことだけでも分かるな。
しかし、
すごい
「てれびまんが? すずのすけ? なんですか、それは?」
「あ、いやぁ、そのう……前世の話だから、説明できないから忘れて、マイミィ」
「勇者様が新しく考えたんですかっ!? す、すごい! さ、さすがですね!
……それで名前はもう付けましたか?」
「いえ、マルルカ、まだよ。 そうね……名前はやっぱり『
「な、なんか、かっこいい! 敵が多いときに便利な攻撃神術ですね!」
「ねぇねぇ! ユリコさん! お願い。 私たちにも『真空斬り』のやり方を教えて下さいよぉ!」
マルルカもマイミィも目を輝かせてユリコにグイグイと
『うっ。どうも昔から教えるのは苦手なのよね~。 こまったなぁ……
そうだ! シンもあのテレビ漫画が好きだったから、『真空斬り』って言うだけでやり方が分かっちゃうわよね、きっと。 うふふ! シンに
「し、シンなら多分やり方が分かると思うから、後で彼に教えてもらって!」
「え? 勇者様オリジナルなのに、ダーリンにも分かるんですか!?」
マルルカとマイミィはユリコに
「そ、そりゃそうでしょう? か、彼はなんといっても神様なんだし……
ヒントにしたテレビ漫画は彼も好きだったから……うん、きっと大丈夫!」
「ユリコさん、面倒くさいからダーリンに押しつけたって顔をしていますよ?」
勇者ユリコは一瞬ギクッとする……
なんとか
「そ、そそ、そんなことはないわよ!
し、シンの方がきっと上手に教えられると思っただけよ! ホント、それだけよ!
さ、さあ! アンデッド化しないように死体を燃やすわよ! 手伝って!」
マルルカも、マイミィも……二人ともどうも
◇◇◇◇◇◇◆
「ふぅ。やっと終わったわね。 も、もうこんなのはこりごりだわ。
森に火が移らないように神経を使ったから、ずっごく
あまりにも
互いに修復神術をかけ合いながら、たった今、なんとか死体の山の焼却が終わったところである。
3人の中でも特にマルルカの顔は青い。 真っ青な顔をしている。
マルルカは泣きながらつぶやいた……
「も、もういやですぅ~、こ、こんな
「まぁ、まだ若いお嬢ちゃんたちには、ち~とばかし"キツい"わなぁ……
兵士として戦場に
ユリコたちが助けた男が口を開いた。
かつてこの男は兵士だったようだ。 右目と右足は戦場で失ったのだろうか……
「ホント、キツかったよぉ~。 いつもはねぇ~、ダーリンがチャッチャと焼却してくれていたから……こんなに大変だとは思ってもみなかったわ……」
「ん? ダーリン? マイミィさんは結婚しているのかい?」
「ふっふっふぅーーんっ! そうよっ! それもね……聞いて驚かないでね!
こう見えて、私たちは神様の
「わ、私はまだ違うわよ! マルルカとマイミィだけねっ! 間違えないでね!」
「まぁまぁ~、ユリコさぁん、ユリコさんも后みたいなもんじゃないですかぁ~?
『まだ違うわよ』って言ってるし~、すぐにでも后になりたいんでしょう?」
「勇者様。いい加減認めましょうよぉ~。 ハーレムのひとつやふたついいじゃないですかぁ? 気にし過ぎですよぉ~」
「な、ななな、なにを言っているの!? はぁん? し、シンのハーレムなんかに、絶対に入りたくないわよっ! ホントにもう……」
ふと見ると、ユリコたちが助けた男は3人の前でひれ
「な、なんですか!? いきなり……」
「申し訳ありません。
「そ、そんなことはやめて下さいよぉ~」
「そうですよ。どうかおやめ下さい。顔を上げて下さい。
ダーリンの后といっても私たちはごく普通の人間なんですから……」
ふっ…、ごく普通の人間ねぇ……おっと、失礼!
「そうです。普通にしててもらった方がこちらも気が楽ですから……
それよりも自己紹介がまだでしたね?
私はユリコ。 この子はマルルカ、そしてこの子はマイミィですが、あなたは?」
ユリコはあえてそれをせず、男の名前を聞いた。
「あ、申し訳ありません! お礼も、自己紹介もまだでしたね。
改めまして……助けてくれてありがとうございます!
俺はガザマンという者です……」
ガザマンは、ぽつりぽつりと自分のことを話し出す……
ガザマンは、3年ほど前にシオン神聖国がニラモリア国へ
彼等の活躍で、その時のシオン神聖国の野望は
その戦いの
彼は、ニラモリア国を救った英雄のひとりとして、ニラモリアとシオン神聖国との国境近くのニラモリア側、ある町の神殿で
彼は目覚めてから、おおよそ1年半もの間、苦しくてつらい機能回復訓練を続け、人に頼らず日常生活が送れるようになるため、必死に努力したという。
その努力は
歩く際には
彼は目覚めてからはずっと神都にひとり残してきた妻のことが気になっていた。
早く故郷に帰り、愛する妻の顔を見たい……その
彼は神都エフデルファイに向かう商隊があると聞けば、商人に妻への手紙を
これまで妻からの返信は
"
そして今から半月前。 世話になったニラモリアの人々と別れを告げ、故郷へ……
愛する妻が待っている神都エフデルファイへ、商隊の馬車に
「……それで、
商人たちも、
ガザマンは
彼等が盗賊どもに襲われたのは、今から数日前のことだったらしい。
盗賊が彼だけを生かしたのは、神都側からやって来る
商隊の到着までの数日間、ハンディキャップを負っている彼なら、それまでの
「その数日間は盗賊のアジトにいたんですか?」
「いえ、ユリコさん。 彼等は足がつかないよう、
この森の奥、南の方に
そこに、昨夜まではそのテントを張って、今日この日を待っていました」
「盗賊が盗んできた物が、今もそこにはあるの? 金銀財宝とか……」
「残念ながら、今朝、闇商人たちのキャラバンがやって来て、盗賊たちが
ですから、マイミィさんが
それどころか、これからやって来る商隊を襲ったらすぐにでも逃げ出せるように、その場所にはもうテントすら張られていません」
「それで……盗賊に
ユリコは
「はい。私は見ていません。 いなかったと思います。
ヤツらは、これから襲おうとしていた商隊に同行している"
「え? 商隊に神殿神子たちが同行? なんでなんだろう?」
「どうも、このあたりに
「なるほど。
でも……、シンにとって大切な神殿神子たちを
「はい。勇者様。 私たちが
「マルルカさん、ユリコさん。 盗賊って商隊がやって来ることも、神子さんたちが同行することも知っていたんですよね?
ひょっとしたら……商隊の中に盗賊と "
「「「 ! 」」」
「ねえ、ガザマンさん。盗賊たちのところへは誰か使いの者が来てたりした?」
「いいえ、誰も見かけませんでしたが……
いやまてよ。 そういえば、
ひょっとすると、あれが商隊内部の
「それはきっと"ガーゴイル"と呼ばれる魔物ですよ! このあたりには生息してないはずですから、きっと魔物使いによって招喚されたんだと思います」
『ガーゴイル? 地球では
それに
ユリコはなぜか、ここはファンタジー世界だから不思議じゃないとワケも分からず
「魔物使いのマイミィが言うんだから、その魔物は"ガーゴイル"ってのに間違いなさそうね? きっとそれが内通者と盗賊との連絡係をしていたに違いないわ」
「そうなると勇者様。 内通者はその魔物を招喚した魔物使いということになりそうですよね? そうだとしたら、神眼を使えばステータスの内容から内通者が誰なのか分かりそうですね!?」
「そうね、マルルカ。可能だと思うわ。
でも……神子さんたちもいるからね、魔物使いは何人もいるかも知れないわ。
そうなると、この情報だけでは内通者を
ところで、マイミィ。 ちょっと聞きたいんだけど……
あなたなら誰かに支配されている魔物を
「はい。できます! 任せて下さい!
ダーリンの
むっふぅ~!」
マイミィは "ドヤ顔" をしている。
「それじゃぁ、内通者がいると仮定して、そいつをあぶり出すのに、こういう作戦はどうかしら? ごにょごにょごにょ……」
ユリコ、マルルカ、マイミィ、そして、ガザマンは、ひそひそと計画を話し合っている。
神都エフデルファイ方面の林道の入り口付近で
どうやら問題の商隊と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます