第0089話 マザーを瞬殺せし者の正体
「私は『セヴォ・ブナイン』っていうの。 惑星ソラリスのコロニー……
えーとねぇ、 超銀河団 局部銀河群 レム銀河系 タルコフスキー恒星系 第三惑星『ソラリス』の
もうこの身体なんだから、今さら
スペースコロニーだって?
「
5年間の
ん? 機械生命体の集合体? ボーグかっ!? スター○レック!?
「ひょ、ひょっとして、その機械生命体の宇宙船ってのはキューブ型とかスフィア型じゃねぇのか?」
「うん。 そうよ。 よく知ってるわね?
「い、いや。 ねぇけど……ちょっとな」
やっぱり、ス○ートレックに出てくるボーグそっくりじゃないかっ!?
「つらかったんだよぉ。意識はあるのに身体の自由が
セヴォ・ブナインはここで
よっぽどつらかったんだろうなぁ。
しかし、聞けば聞くほど……ボーグそっくりだよな。
「つらかっただろう……逃げ出せてよかったな。ホント」
「うん……」
100年? 200年?……彼女がいた世界の『時間』の定義が気になる。
「そういえば、お前さんたち
彼女は
「え? あ、そっかぁ! 100年と言っても、それがシンさんたちのそれとは違うかも知れないものね?
えーとねぇ。 基本単位の『秒』というのがね、55個の
2つの "
バージョン違いの"同じ宇宙開発キット"を使って創造された宇宙だから、恐らくは
多分、地球で言うところの "セシウム133
この世界の、そして、地球の
ひょっとしたら、地球とこの惑星ディラックがそうであるように、彼女が
もしそうだったとしたら、ちょっと信じられないくらいの
「ああ、分かるぜ。 それ以上の説明は不要だ。 驚いたことにこの惑星での『秒』の定義と全く同じだぜ」
「へぇ~、ほんと! それは
「ああ。そうだな。 時間の "直感的なイメージ" が共有できるのはありがてぇな。
あとなぁ、こっちの宇宙での物理法則は、空間の
バージョン違いの"同じ宇宙開発キット"で創造された宇宙のことだから、同じとは思うが一応聞いておく。 これらの仮定が成り立たない空間に彼女がいたとすると、彼女が身につけている科学の知識がこの世界では役に立たない可能性が高いからだ。
「
「ああ。簡単に言うと、
宇宙空間のどの方向でも、同じように成り立つってのが "
この宇宙では、それを
セヴォが "
彼女がこの世界で生きていくための "
彼女はいぶかしげな顔というか、あきれているかのような顔というか……
『なにをワケの分からないことを言っているんだろ?』というような、そんな変な顔をしながら、こちらを見ている。
「シンさん、さっきからちょっと気になっているんだけど。 妙なことを言うのね?
まるで私が別の宇宙からやって来たみたいなことを言っちゃって……笑える~。
もちろん、あなたと同じ宇宙なんだから『私の宇宙』だって、同じに決まっているじゃない? それらの仮定の上で理論構築可能よ? 変なシンさん。うふふふふ」
あぁ、そうか!? 彼女はまだ "
「そうか。
お前さんは、
「えっ!? うそっ……」
セヴォは
「う、宇宙間転移!? べ、別の宇宙に私はやって来ちゃったってことぉ?」
「ああ。そうだよ。 ここは俺たちがアファインと呼んでいる第10911宇宙空間だ。
残念ながら、お前さんがどの宇宙空間からここにやって来たのかが分からねぇからなぁ、お前さんをもとの宇宙に戻してやることはできねぇんだが……
お前さんとこの『神』というか、『惑星管理者』にお前さんがいた宇宙の番号とか
またまた……
『へっ? なにをワケの分からないことを言っているんだろう?』
というような顔をしながら、セヴォは俺の顔を見つめていたが……
「はぁあっ!? 神っ!? あははははははっ!
ふっ! そんなもんいるわけないじゃんっ! やだなぁ、シンさん!
私をからかっているのよね?」
あらら。 彼女は高度な科学技術力を有するヒューマノイド種族なんだから、神の存在を否定するのはしかたないのかも知れないわなぁ。
そこには、俺が管理している惑星 "ディラック" の様子が映し出されている。
「え? ここは宇宙船の中なの? ん? それとも……ステーション?」
「今俺たちがいるのは宇宙ステーションの中だ」
「
「実は俺もあの惑星の管理者だ。『神』とはそういう意味だ。 この惑星に存在する全生命体を創造し、管理している存在っていう意味での『神』だな。
ヒューマノイドが存在する惑星なら、普通は『神』、つまり『管理者』が
セヴォは固まっている? いや、何か考え込んでいるかのようだな?
話を続ける……
「まあ、俺みたいに
多分、お前さんとこの『神』は、
「
「それで、質問の答えなんだけど、神に……その管理者には会ったことがないんで、私がいた宇宙がいったい何番なのか、なんていう名前なのかは知らないわ」
「そうか。 それが分かりゃ、もとの宇宙へ送り返してやれるんだがなぁ……」
「んーーーーーーっ。 もういいよ。帰してくれることを考えなくてもね。
サイボーグ化されてから、少なくとも100年は絶対に
それに別の宇宙空間へ転移させるとしたら、ものすごいエネルギーが必要になるんでしょう? 助けてもらったあなたたちに、そんなことまではさせられないしね」
なんとなく悲しげな表情を浮かべたが、すぐに "にかっ" と笑い……
「私はこの宇宙で、シンさんとの子供をいっぱい
は・は・は……。
◇◇◇◇◇◇◇
「それで、どうやって
「それがねぇ……
そいつが、突然転移して来た"
ま、どっちでもいいかっ!?
で、その瞬間にね、
自分の身体を思うように動かせるようになったんだよ。
でねでね! みんなで逃げよう! ってことになったのよぉ……まあ当然よね?」
「そうだな。逃げるには
「でもねぇ、タイミングは非常に悪かったんだよねぇ~、ホントついてないわ」
「タイミング?」
「そうなのよ。 ある惑星の
ね? 最悪のタイミングだったでしょぉ?
結果はさぁ、
「なるほど……それであんなボロボロにされちまっていたのか?
でも、あの身体じゃぁ、
誰かが助けてくれたのか?」
「ええ、そうなの……私が乗っていた
セヴォの表情が
「艦長……艦長は、私なんか
「亡くなったのか?」
「多分ね……私が乗ったポッドが発射された直後に、
彼女の表情はとても暗い……ここに来て初めて見せる表情だ。
そうか。
なるほどな。
これでなんとなく "もやもや" していたことが、すべてハッキリしたぜ。
「ところで、ちょっと聞きてぇんだが……
スタートレッ○に出てくる"ボーグ"そっくりだったので、そうじゃないかと思ったのである。
「え? よく知っているわね? そうだよ。
あ、もちろん、行動情報の全部が全部を共有していたら頭がパンクしちゃうから、
シンさん、
「いや、それはちょっと分からねぇんだ」
自分のことをまだ『我々』と言っているな……
同化されていた期間が長かったからなぁ。 集合体としての意識がまだまだ強いんだろうな。 まあ、その内にその感覚も
彼女の顔が人を食ったような表情に変わった。……なんだ?
「えーーっ!? 分かんないのぉ~っ? 神を名乗っているのにぃ~?
あはっ! 笑えるぅ~っ! あははははははっ!」
かーーっ! 頭にくるぅ~~っ!
なにか言い返してやろうと思っていると、俺以上に怒りを覚えた"シズ"がセヴォに食ってかかる……
「あ、あなた! ダーリンを
「シズ。 俺のために怒ってくれてありがとうな。 うれしいぜ。
でも、いいんだよ。 許してやってくれ」
人が怒っているのを見るとなんか冷静になっちまうんだよね、不思議なことに。
「ごめん、ごめん! 私の悪いクセなのぉ。 思ったことをすぐに口に出しちゃうのよねぇ~、ごめんね、シンさん、それにシズさん」
「思っただけでも重罪です! そんなことを考えるようなあなたに、ダーリンが振り向いてくれるとでも思っているのですか?」
セヴォは、シズの言葉が
「んぐっ! あたたぁ~、痛いところを突いてくるわね!? こりゃまいったわ。
あははっ! でも、私、あきらめないからね! 神ってのは心がすっごく広いのよ!
この程度のことで私を怒ったりしないわよねぇ? シンさん。うふふ」
「あ、あなたねぇっ! あなたって人はもう……」
さすがにシズも
うっ……こ、こいつ、なかなか言いやがる! これじゃ文句は言えないな……
大した子だ……あれ? 100歳以上なんだよな? 子ってのは
ん? そうか! セヴォは100年以上生きているんだな?
そりゃぁ、俺たちじゃ
「あ……ああ。 も、もちろん怒ってねぇよ。 あは・あはは……。
色々事情があってなぁ。今、他の惑星の管理者たちとは連絡が取れねぇんだよ。
今はこの惑星ディラックのことぐれぇしか俺には分かんねぇ、残念ながらな。
だから、ボーグが存在するかどうかをハッキリとは答えられねぇんだ」
あ! 思わず『ボーグ』って言ってしまった……
「ボーグ? 機械生命体の集合体のこと? この宇宙に存在するかどうか、はっきりしないのよね? 分からない生命体なのに名前はあるの? 変なのぉ~」
「いや、そのう、実はなぁ、ちょっと前まで
俺の大好きなドラマだったんでよく見てたんだよ。 だからつい口からその名前が出ちまった…って、わけだ」
「ふ~ん、なんかよくわかんないけど……そうなのぉ。
じゃぁさぁ、呼びやすいからさぁ、私たちもボーグって呼ぼう!
機械生命体の集合体なんてのは長ったらしくって言いにくいからさ。 ね?」
「あ、ああ。そうだな」
「うん。じゃ、決まりっ! これからはボーグっていうことでね!」
「そういえば、ボーグってのは強えのか?」
「信じられないくらい、バカみたいにめちゃくちゃ強いよ。
私が乗っていた
となると、それほどの強敵の親玉とも言える『マザー』を、一瞬で殺せるヤツってのが気になるなぁ。 ボーグを一瞬で "ほふる" ことができるような強敵かぁ……
まあ、こっちの宇宙には転移して来ないとは思うんだが、万が一のことも考えて、マザーを瞬殺したヤツが、いったいどんな攻撃をしたのかを分析しておいた方がいいような気がするな。
セヴォの魂の履歴を確認しておくか。
そうだ! 俺が知らない攻撃手段でも、管理助手のハニーたちなら分かるかも知れないから、彼女たちにも一緒に見てもらおう!
「あのさあ、悪ぃけど、お前さんの魂をのぞかせてもらってもいいか?
そのめちゃくちゃ強え『マザー』を一瞬で殺したヤツが気になってなぁ……
どうだ?」
「いいよぉ。どうぞどうぞ。 って、魂!? 魂って本当にあるの!?」
「ああ、お前さんたち生命体は、基本的に魂と肉体とで構成されている。
だからお前さんはこうして、こっちの世界の肉体に転生できたんだぜ。
お前さんの魂を、前の肉体から切り離して、今の身体にくっつけたってわけだ」
「な、なるほどね~。そっかぁ、そんなことができるんだから、やっぱりシンさんは神様なんだね? いやぁ~驚いたよぉ~」
「じゃぁ、ちょっと魂に記録されている
「うん、どうぞ」
『ハニーたち、聞こえるか? 俺だ。ちょっと時間をとってもらってもいいかな?
今から、今回助け出した女性の魂の履歴に記録された映像を流すから、それを見て欲しいんだが?
強敵を一瞬でほふることができるような、特異な存在が映ると思うから、その攻撃方法を見て分析してもらいてぇんだよ。 どうだろう?』
『はい。承知しました。 みんなも、よろこんで協力すると言っています』
シオリが
『そうか! 助かるぜ!
じゃぁ、そっちのスクリーンにも
『"はいっ!"』
「な、なにこれ!? 私が体験したことがそのまま映像になっている!?」
「ああ。お前さんが経験してきたことがそのまま記録されているんだぜ。
えーと……ここに来る前だからぁ、このあたりかな?
おっと、これはボーグから解放された直後みたいだから、もう少しだけ前だな?」
「うん、この少し前だよ。 でも、ホントびっくりしたよぉ。 私たち生命体の魂にはこんな情報が記録されているんだね? こんな情報を取り出せるなんて……
シンさんが神様だってことを
でもまさか、ホントに神様が存在してたとはねぇ……びっくりだよ!」
「あ、でも今まで通りに接してくれていいからな。 妙な気は使うなよ?」
「うん、分かったよ。 心配しなくても私は
「い、いや。それは
「え!? 結構! いいってことね? やったぁ!」
「ち、違うっ! それはお
「あらあら、分かっているわよ! 奥さんの前だから、すなおにOKだって言えないのよね? うふふ、かわいいっ!」
ああ……ダメだ、こりゃ。
そういえば、
きっぱり『必要ありません』と答えないとだめだったんだっけな。
こりゃやられたな。しまった。 『お前さんを妻にするつもりはありません』ってちゃんとハッキリ言うべきだったぜ! ふぅ~。
「おっと、ここだな!」
「あ、そうそう! これよこれ!
これがマザーとの接続が切れる直前に送られてきたイメージ!
あっ! あの女よ!」
ん!? マザーを
『ダーリン! 大変! あの女よ!』
突然、さゆりが
『うっ! さ、さゆり! す、すごいパワーの念話だなぁ、いったいどうした?』
『今転移して来た人間の女! あれが私の前任者、ユウガヲなの!
地球の元日本担当者よ! ダーリンの記憶を
『えっ!? なんだって!?』
(→第0036話参照。)
映像を巻き戻して、女の顔がハッキリ見える状態で映像を止めた。
『間違いないわ! この女よ! この女がダーリンとユリコさんに
『それがなぁ、さっき助けた女性、セヴォがいた宇宙なんだが……
残念ながら、どこの宇宙なのかはちょっと分からねぇんだよ』
『そっかぁ……
どこなのか、わからないなんてさぁ。
でもどうしてあんなことをしたのかなぁ?
『そうだよなぁ。 目的がいまいち分からねぇだけに、ちょっと
『自分がめちゃくちゃなことをしたくせに、彼女、ダーリンを
まさか!? あの機械生命体の集合体を乗っ取って、この世界に攻めてくるつもりじゃないの!?』
『可能性としてはあるよな。 こりゃ用心しておかねぇといけねぇなぁ……
『うん、分かった! みんなに説明しておくね』
「……ねぇ、シンさん。シンさんってばぁ?」
「ん? ああ、ごめんごめん。 俺が
「念話?」
あれ? 女の正体よりも念話の方が気になるのか? ちょっと意外だな。
まあ、そうかもな。 女の正体を聞いたからといって『ふぅ~ん、そうなんだ』で終わるのが落ちだもんな。 彼女はそれを理解しているからなんだろうな、きっと。
彼女の話しぶりからはとても想像がつかないが、"宇宙艦の機関主任"にまでなれるくらいの優秀なエンジニアなんだから、思考は
『ああ。 今こうしてお前さんの心に直接語りかけているんだが、これが念話というものだ』
「うわっ! す、すごいね! こんなこともできるのね!? さすがは神!」
「まあな。 ちなみにだが、俺の嫁たちは全員これが使えるんだぜ? これが使えるのが俺の嫁になるための最低条件だ。 お前さんは使えるか?」
「が、がんばって……シンさんのためにもがんばってマスターするよ!
ねぇねぇ、どうやってそれを
ダメか……そんなに俺のことが好きなのか?
「悪ぃ、お前さんにあきらめてもらおうと思ってとっさに嘘をついた。
逆なんだ。 俺が嫁と認めた女性たちには念話能力を与えるようにしている。
だから、使えるのが嫁の最低条件ってのは嘘だ。 すまん。
念話は、生まれたときから使えるヤツはもちろんいるんだが、修行でどうこうなるようなもんじゃねぇんだよ。
「な~んだ。そっかぁ。よかったぁ~! どうしようかと思ったよぉ~。
『念話』能力は、シンさんに好きになってもらえればもれなくついてくるのね?
嫁になるにはシンさんの愛情を勝ち取ればいいのよね?
ふぅ~、よかったよぉ~」
ネチネチと
この子、結構いいかも? って、いかん! いかん!
「あ、ああ。まぁな。 念話は、俺がお前さんを嫁にしてぇと思うようになったら、俺の力で使えるようにしてやるよ。 そうなったら……だけどな」
「私、がんばるよ! あ、『念話』が使えるようになりたいからじゃないよ。
あなたを "モノ" にしたいからがんばるのよ!
だって、人生でこんなに好きになった男は初めてなんだもん! うふふ!
だからあきらめないわ! あなたには絶対に私を好きになってもらうの!」
うわぁ~、またまたパッシブスキル"魅了"の
あれ? な、なんかこういったやり取りが苦痛に感じなくなってきているぞ??
ひょっとして……
「押して! 押して! 押しまくって! 押し倒してでも "モノ" にするわっ!
覚悟してね! うふふふふ!」
「だ、だからぁ! 俺はグイグイ来られるのはイヤだって言ってんだろうが!」
ま、まいった。先が思いやられるぜ……とほほ。
◇◇◇◇◇◇◆
ボーグのマザーを
なんといってもユウガヲは、地球の元日本担当管理助手だったんだからなぁ。
たとえ宇宙が異なっていても管理される側の生命体が管理助手に
しかし、レプリケーターの機能を使ってマザーを一瞬で消滅させちまうとはなぁ。
なかなかやりやがるな! ユウガヲって女は!
別の宇宙の話といえども、同意を得ないで同化するようなヤツら、ボーグはどうも許せないんだよなぁ……
敵なんだけど、ユウガヲにはマザーをぶっ殺してくれた礼を言いたいくらいだ。
俺には関係のない宇宙の話なんだが……。
ユウガヲは、結果的にだが、マザーを倒したことで、セヴォを含む同化されていた者たちを解放したことになる。
そのことに関して"
まぁ、だからといって絶対に許さねぇけどな!
ユウガヲを見つけたら、絶対に
しかし、バージョンが違うとはいえ、同じ開発キットを使って創造された宇宙にボーグのようなヤツらが存在していたとはなぁ……
この宇宙にも存在するかも知れないってことなんだよな?
もしも、この世界にも、ヤツらのような存在がいて、この惑星ディラックを
惑星ディラックだけじゃなく、宇宙に対する監視も強化しないとな!
「ねぇねぇ、シンさんってばぁ! また念話中?」
「いや違う。ちょっと考え事をしてただけだ。で、なんだ?」
「あのさぁ、技術者として、すっごくこのステーションに興味があるんだけどぉ~、この中を見せてもらってもいいかなぁ?」
「悪ぃが、それは許可できねぇな。 この宇宙ステーションは本来ならお前さんたち創造された生命体を入れちゃいけねぇ場所なんだよ。
救助のために、やむを
「そっかぁ。残念だけど、仕方ないよね。とほほだよぉ」
「悪ぃな。お前さんを後で、あのディラックに連れて行って、
「えーっ! こんな何もない部屋で待てって? で、どれくらい待てばいいの?」
「今から会議があるんでな。そうだなぁ……3時間くらいかな?」
「無理無理無理! なんにもやることがなくて、ヒマすぎて死んじゃうよぉ~」
ふぅ~。困ったなぁ。何か彼女のヒマつぶしになるようなものは……
そうだ!
『シェリー。聞こえるか?』
『あ、はい! ダーリン! 嬉しいです! なんでしょうか?』
『今から3時間ほど時間が取れねぇかなぁ? またひとり神術の訓練をしてもらいてぇ女性がいるんだけど……
『ま、また嫁が増えたんですか!?』
『ち、違う違う! ボロボロになっていた女性を助けただけだ。 嫁じゃねぇけど、今度俺の計画を手伝ってもらうつもりなんだよ。 だから、加護しようと思ってな』
『そうでしたか。なるほど。訓練の件、
私の
それでは、ダンジョンで"新しく仲間になったハニーたち"にも参加してもらったらどうでしょうか? 彼女たちにはもう少し訓練が必要かと思いますし……』
『おお、それはいいな! だが、ハニー、お前さんの負担にはならねぇか?』
『はい! 大丈夫です! お任せ下さい!』
『ありがとうな。助かるぜ。 なんといっても指導力はお前さんが一番だからなぁ。頼りにしているぜ、ハニー!』
『はい! そう言ってもらえると嬉しいです! がんばりますっ!』
『おおぉ! 頼もしいなぁ! あ、
『はい。分かりました。お待ちしています。 練習はいつもの砂漠地帯ですか?』
『そうだな。あそこがいいな。 後で俺が送っていくから、悪ぃけど、訓練する他の者たちにも声を掛けて、マンション1階ホールに集まってもらってくれ』
『はい。承知しました。では、後ほど!』
『ああ。よろしくな』
セヴォには俺が念話をしていることが分かったのだろう、
「セヴォ。あのな。 俺は今からお前さんを
そうすると……」
加護によってどうなるかを詳しく説明していく……
すると、話を聞いていく内に、彼女の目はキラキラと輝きだした!
「うわぁ~。私魔法使いになれるの!? 夢みたい!」
「ま、まあ、そんなようなもんだが、魔法よりも上級の神術使いだけどな。
その練習をひまつぶし…って、言っちゃぁなんだがなぁ、会議が終わるまでの間、練習をしてもらおうかと思っているんだが……それでいいか?」
「もちろん! きゃーーうれしいっ! 最高! 神術使い! かっこいいわ!
この世界だーいすきっ! ワクワクするわっ!」
「は・は・は……そ、そんなにうれしいのか? よかったぜ。
それじゃぁ、今から早速加護するからな、さっき説明したようにそのベッドに横になってくれ!」
セヴォは、ベッドの上に
「わ、私、初めてなの……や、やさしくしてね」
な、なんか
ん? でも……なんかそれほど
◇◇◇◇◇◆◇
セヴォは、加護して俺の庇護下に置き、ハニー装備一式も与えた後……
彼女を連れて、神都にあるマンション1階ホールへと行き、そこでシェリーたちと合流し、みんなを "
「それじゃぁ、ハニー。後はよろしく頼むな。
いつものように、"野営用テント" の中の風呂にはお湯を張っておいた。
で、そこのドリンクディスペンサーには冷たい飲み物を各種用意してあるからな、みんなで自由に飲んでくれ」
「はい。分かりました。
彼女たちの訓練はシェリーに任せておけば安心で間違いない。
ホント頼りになるハニーだぜ!
◇◇◇◇◇◆◆
「お待たせ。 それじゃぁ、今度こそ会議を始めよう!」
「"はいっ!"」
セヴォの神術訓練指導をシェリーに
管理助手のハニーたちはすでに全員が会議室に集まっている。 俺の到着をずっと待っていてくれたようだ。
「それじゃぁ、第一の議題から始めようか。 シオン、説明してくれ!」
いよいよ、俺が地球へと旅立つ前に、シオンに対して出した
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