第0087話 ザックレイ、錐刀を以て泰山を堕つ
「……だから! 早くフィル様のところへ案内しなさいと言っているんです!
フィル様が
「お、落ち着いて下さい……」
シオン神聖国のニシズネ町から救出してつれてきた奴隷だった者たち。
彼女等が
執務室で待っているザックレイのもとへ、
「あなた
トンッ! トンッ!
「統括神官様! 失礼します! 入ってもよろしいでしょうか!?」
勢いに乗って、さらに統括神官のシーモアを
「は、はいっ! どうぞ!」
統括神官、シーモアの声には『 助かった 』というような
執務室の中へ入ると目をうるうるさせているシーモアが、祈るかのように胸の前で両手を組み、安堵の表情を浮かべながら俺を
一方、ザックレイの方は、まくし立てようとしていたところに水をさされてしまい『チェッ!』と舌打ちでもしそうな表情を浮かべてこちらをにらみつけている。
ザックレイが座るソファーの後ろには、ボニーを殺した犯人で現在は俺たちの二重スパイである男、ジェンマが直立不動の姿勢をとって
ジェンマはうまく大使と同行できたようだな。 ふふふ。 予定通りだ。
前回、このザックレイと
今回はその反省から、入室と同時に受信専用の念話回線をヤツとつなげておいた。
受信専用の念話回線とは、こちらの声は相手には伝わらず、ザックレイの心の声はこちらに
『チッ! なんだ、この小僧は!?
せっかくいい調子でこの女を
ん? さっきからこっちをチラチラ見ながら、シーモアの
「おい、シーモア。いいか。
統括神官、シーモアは、言われたように驚いたような顔をしながら
「今から『フィルは自殺じゃ……』と、ヤツに聞こえるように言うから、お前さんはヤツの顔を見て『えっ!?』と驚いたような声を上げろ」
シーモアは
「……フィルは自殺じゃ……」
「えっ!?」
シーモアは言われた通りにワッドランド大使、ザックレイを驚きの
『フィルは自殺じゃ……って、もしかして自殺じゃないことがバレたのか?
いやいや! そのことを知っているボニーも死んだはずだ。バレるはずがない!
それじゃぁ、小僧はいったいなんて言ったんだ??? 気になるな』
ザックレイは心の中でつぶやいた。
計算通りだ!
こっちの事が気になってしようがないようだな。ふっふっふっ!
「よし
「はい……はい……」
シーモアは相づちを打つのを利用して同意する。
「……ボニーが
「えっ!? ボニーがですかっ! ああ、よかった!」
シーモアはそう言うと、
『なに!? ぼ、ボニーは
いや待てよ、あの女の妹はこちらの手中にある。 たとえ命を取り留めたとしてもしゃべるはずがないはずだ。 大丈夫だ。 事は
とは言いつつも、ザックレイの
もう一押しってところかな? フィルを自殺に見せかけて殺そうと思った理由を、心の中でつぶやかせるにはさてどうすればいいか……?
ザックレイの顔をチラチラ見ながらシーモアの耳元でささやく……
「いいか、シーモア。 俺が『よし』と言ったら『せ、戦争の
「はい……ええ……はい……」
シーモアには、ザックレイに関係した
「……よし」
「……せっ! 戦争の大義名分ですかっ!……」
俺は『うわっ! なんで声を上げるの! ザックレイに聞かれちまったよっ!』とでも言いたげな
自分の
さらに
『戦争の大義名分にする事まで知っているというのか!?
まさか
ニラモリア国との開戦に
やはりボニーが生きていて情報を
……いやそれはありえないな。 たとえボニーが生きていたとしても、あの女には詳しいことはなにも教えてないからな。しゃべりようがないはずだ。
妹の命も
となると……ははぁ~ん、そうか!
そうだよ。その通りだ。 さすがは
だがもう遅いぜ。 心の中でつぶやいた時点でアウトだぜ! はっはっはっ!
「統括神官! 客である私の前でひそひそ話とは失礼でしょうが!
いったいどういうつもりなんですか!?」
統括神官シーモアはあたふたしながら
「す、すみません……」
それを
「これは大変失礼致しました、ザックレイ殿。 私はこの統括神官シーモアの部下のシンと申します。
そう言ってからニヤリと笑いながら頭を軽く下げた。
「な、なんだその顔は! 心から
ザックレイはさらに
「大使はご存じですかな!?」
「……な、なにをだ?」
「神国神都東部にあるダンジョンで、シオン神聖国の
まあ正しくは、魔物
ザックレイの顔色が明らかに青くなった。 顔からは血の気が引いている。
『ま、マズいぞ! 計画が狂ってきたぞ……。
シオン神聖国は魔物
うまくこの場を
シオン神聖国と
もう一押ししておくか?
「その神に捕らえられたシオン神聖国の聖女とやらが、神の力でなにもかも
ザックレイは
『まさかシオン神聖国の聖女が計画をしゃべっちまったのか!? ま、マズい!
な、なんとかこの場を
「ひでぇことをしやがるなぁ。 第14皇女で母親が
フィルを"イジメ殺されたって"ことにして、このニラモリアへ攻め込むための大義名分を立てて……シオン神聖国と示し合わせてこの国を滅ぼそうとしたんだろう?
本当のことをシザルが知ったらどうするだろうなぁ?」
「な、なにを言っているんだ! 私がフィル様を殺したとでも言うのか?
シオン神聖国なんて行ったこともないし、その国の者と会ったことすらないぞ!
言いがかりはやめてくれ! そんなことを言い張るのなら……
だ、だったら証拠を見せてみろ! そんなものはどこにもないだろうがな。
あははははははっ!」
ニヤリと笑ってやった!
ザックレイはそれを見て身体をビクッとさせた後、固まって
俺が次になにを言い出すのかを必死に予想しているようだ。
『ボニーは死んだし……
証拠になるようなものはなにも残されていないはずだ。
いくらシオン神聖国の聖女がフィルの暗殺計画があると言っても、証拠がなければ
ザックレイの顔に血の気が戻る……
自信に満ちた表情へと変わり、ニヤニヤと笑い出した!
「おい! ジェンマ! コイツが……この大使が指示したんだよな?
フィルを
ソファーに座るザックレイのすぐ後ろに立っている護衛の男に話しかけた……
そう! フィルの侍女、ボニーを誤って刺し殺してしまったアサシンのジェンマに証言させようとしているのだ! これはザックレイにも予想外であろう……
(→第083話参照。)
その言葉を聞いたザックレイは、必死に表情を変えないようにしているが、顔色はどんどん悪くなっていく……
『な、なぜジェンマの名前を知っているんだ!? い、いや、大丈夫だ! コイツは
こ、これははったりだ! そうに決まっている。 落ち着け……落ち着くんだ』
「はい、シン様。 この男がそのように
『ひょえぇぇぇぇぇーーっ!? う、うそだろうっ!?
ほ、誇り高きアサシンが、簡単に口を割ったぁーーっ!? ええーーっ!?』
ザックレイは
一応ここにコイツが本物とすり替えさせた"
「あははははははっ! 信じられねぇって表情だなぁ? ザックレイさんよ」
「じぇ、ジェンマ! で、デタラメを言うではない! じょ、冗談が過ぎるぞ」
「ジェンマ。首もとをザックレイによ~く見せてやれ!」
「はい。シン様」
そう言うとジェンマは首もとをザックレイに見せる……
首には管理助手でも
「な、なんだと!? れ、隷従の首輪なのか?」
さすがに大使だ。
「どうだ? ジェンマが今言ったことはすべてが本当だって事だ。 もう
「……ぐ……ぐぐ……………ぐ、ぐわぁあっはっはっはっ!
それがいったいなんだというのだ? そんなものを
ジェンマの首に
つまり、お前がジェンマにニセの証言をさせている可能性が……いや間違いなく、私をおとしめようとしてそうしているに違いないのだ! 私は
うわぁ~、そう来たかぁ……さすがに一国の大使だけあるなぁ。
大使だけに……たいし たもんだ! なんちゃって。ははは。
フィルが
それを見てザックレイは明らかに驚きビクッとした。
「よし! じゃぁお前さんの言っていることが本当かどうか証明してもらおうか?
これをお前さんに
言っておくが精神支配に耐性があっても関係なく奴隷にできる強力な
俺の質問に、なんでも正直に答えろと命令して……フィルの殺害を指示してねぇか聞いてやるから。 どうだ? やましいことは一切してねぇってんならこれを
ザックレイは再び
ヤツの服の
「なんで……なんでお前がそんなものを持っているんだ!? シオン神聖国の教皇のもとに数個残っているだけだって話だったのに! ……はっ!」
「あれれぇ?
「そ、そういう
今、そういった強力な隷従の首輪を持っているのはシオン神聖国の教皇だけだし、それを新たに作れるとしたら神様……だ・け・だ……!!??」
俺は
「気が付いたようだなぁ? そうだ。 俺だよ、作ったのは俺! 俺がその神だよ。
やい、ザックレイ! てめぇ、よくも俺が嫁にしようと思っていたフィルを殺してくれたなぁ? 覚悟はできてるんだろうなぁ?」
「ま、待って下さい! 本当のことを言います! そうですっ! フィル様を自殺に見せかけて殺させたのは私です!」
ついに
「じゃあ、死んで
「ま! 待って下さいってっ! わ、私も命じられただけなんですっ!
ど、同盟を
おいおい、まだ言い
「ってことだが……そうなのか? ジェンマ?」
「あはははは。上様、お
そんな詳しいことを知るわけがないじゃないですか?」
ザックレイは笑いながら言った。ホント、
「てめぇ、気付いてねぇのか? 本当にヤツの種族に気付いてねぇってのか?」
「え? なにをですか? あいつはサル族では名の通ったアサシンですが?」
「てめぇは意外と
「はい。そうです。私は人族です」
「どこの国の
「はい。私はシオン神聖国の
ワッドランド大使のザックレイの部下となり、彼を監視する使命を教皇様から与えられています」
ザックレイは『えっ!? うそっ!?』というような表情をしている。
「そういうことだ。 つまり、二重スパイだ……というか、俺のスパイでもあるから三重スパイってところかな? ははは」
ザックレイは
「え? てめぇほどの
なんだよぉ~、ちょっとがっかりだぜ。 俺の買いかぶりだったのかよぉ」
サル族と人族はよく似ているからなぁ……しょうがないのかもなぁ。
サル族にはシッポがあって、ほんの少し耳が大きめかなぁ?……くらいの身体的な差しかないからなぁ。
俺が気付いたのもほぼ
え? なんで気付いたか……ってか? ヤツから攻撃を受けて気付いたんだよ。
(→第083話参照。)
知っての通り、最初ヤツはダガーナイフで攻撃してきたんだが……
それが通用しないと分かると今度は『ファイヤーボール』を
あれが決め手だ!
サル族と人族の身体的な特徴の差は上で
決定的ともいえる違いがある。 それはサル族には魔力を持っている者がほとんどいないし、持っていてもごく少量であるという点だ。
(→第070話参照。)
まぁ、身体能力は人族よりも優れているんだが……その代わりなのか、魔法が使えないということだ。
だから、ボニーを殺したジェンマが俺たちに"ファイヤーボール"を放ったときに、コイツはサル族じゃないってことに気付いたんだ……というか、
まぁ、ちゃんと最初にステータスを確認すれば一発で分かることなんだが、どうもまだステータスをすぐ確認するって習慣が身についていなくってなぁ……
違和感を覚え、ステータスを見て『コイツは人族だ!』ってことが分かったから、大使の
奴隷化したジェンマ本人に直接聞いてみたら実は本当にそうだった! というのが真相なんだけどねぇ~。
「それで……本当のところはどうなんだ、ジェンマ。 シオン神聖国がフィルを殺すように命令したのか?」
『頼む! 頼む! そう言ってくれ! ジェンマ! 教皇シミュニオンの命令だと言ってくれ!』
ザックレイのヤツ……そんな願いが通じるわけないのに。
「いいえ。 教皇様からは戦争の
教皇様からフィル様を殺すようにとは一度も言われたことはありません。
すべてがワッドランド大使、ザックレイの計画によるものです」
『くそっ! 本当のことを言いやがってっ! こ、困ったぞ……どうしよう!?』
「おい、ザックレイ。
ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ! 痛ぁっ! 痛っ! いたたたたた……
「修復! からのぉ~、
"見えざる神の手" で、そ~っと、ものすごく加減して "
「うう……ん……んん……はっ!? はぁはぁはぁ……ど、どうかご
「よう、気が付いたかぁ? どうだ? 本当はてめぇが、フィルを自殺に見せかけて殺すように指示したんだろう?」
「そ、そうです。その通りです。ど、どうかお
「ならぬ!
てめぇだけは絶対に勘弁ならねぇっ! ぶっ殺す!」
「ひぃぃぃぃぃっ! ど、どどどど、どうかお
『な、なんとかしなくては! 殺される! 殺される! 殺される!
と、とにかくフィル様に謝らせてくれと言って、この場から移動する途中でスキを見てなんとか逃げだそう……』
みんな聞こえているんだがなぁ……
まぁ、なんか面白そうだからもう少しコイツの
「うう……。わ、私が悪ぅございました。 きょ、極刑は受けます!
ですが上様! 最期にどうかフィル様のご遺体にお
やれやれ……
「よかろう。 許す! フィルの寝室までついて
たっぷりと生き地獄を味わわせることになるからな? いいな?」
「は、はいっ! も、もちろんでございますとも!」
『くそっ! こっちの
◇◇◇◇◇◇◇
グィッ!
「ザックレイっ! お前はっ! どの面下げてフィル様のところへ来やがった!」
ガッ! うぐっ! ズッガァーーンッ! メシッ! ぐはっ!
フィルたちの遺体が
声を
ザックレイは
窓に激突して、肺の中のすべての息を
「この野郎! フィル様の
「やめろ! ぶっ殺すのはまだ早い!」
ザハルが、ザックレイをぶん殴った勢いのまま、ヤツに
「上様! なぜお止めになるんですかっ!? この
「コイツがフィルにひと
「そんなことはフィル様は喜びませんよっ! こんなヤツの顔なんか、たとえ死んでいてもフィル様は見たくないはずです! 今すぐコイツの首をはねるべきです!」
『ん? 窓の外には木が
はぁ~。ホント、
全部聞こえているぞ! って言ってやりたくてウズウズするなぁ!
でも
「ザハル。そう言ってやるな。
「しかし……」
「ほらっ! ザックレイ! とっとと
「ありがとうございます」
ザックレイはニヤリと笑う。
ザックレイは口元や鼻から流れる血を服の
フィルが入った"棺桶"の中をのぞき込んだかと思うと、両手を棺桶の中へと
「ザックレイ! 貴様! なにをする!
ザハルが
「あははははははっ! フィル様の遺体は私の手の中……」
ゴキッグキッ! ……ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!
ザックレイは大笑いしながらフィルの遺体を
……のだが、軽いものだと思っていたフィルの身体が、ヤツが想像していた以上に重かったために腰を痛めて、その激痛のために絶叫したのであった! バカだ!
そう。ご
ボニーの遺体と同様、フィルの遺体も、彼女そっくりの外見を持つゴーレムとすり替えてあったのだ!
フィルたちそっくりのゴーレムは、この惑星で
どうだろう? フィルたちの体重のおおよそ十倍といったところか……
そんなものを軽いと思って勢いよく持ち上げようとすると……やっちまう!
そうだとも! 腰をやっちまう! 腰を痛めてしまうに決まっている!
「うぎゃぎゃぁぁぁぁぁぁぁーーっ!」
あまりの腰の痛みに
さっきまで小さかった彼女の口は耳のあたりまで
そのままザックレイに食いつくのでは?と思えるような恐ろしい笑い顔を浮かべてヤツに
ザックレイは必死に
「うっ……ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!
次の瞬間である! ボニーの棺桶の中から
その様子はまるでザックレイの背中におんぶしてくれとせがむかのようだっ!
ゴキキッ! ボキッ! ぎゃあああぁぁぁぁぁぁーーっ!
ザックレイはボニー型ゴーレムから逃げようと前に出ようとしたのだが……
ボニー型ゴーレムの体重もかなり……重いっ!
ザックレイの身体は腰のあたりというか、腹のあたりというべきかで、エビ
その様子を見ていたザハルとその妻子は、口をあんぐりと開けて……
目の前で繰り広げられた光景は
「修復! からのぉ~
ザックレイの身体を元に戻し
「ううう……う……ん? ん!! ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!」
ったく! 面倒くせえヤツだ!
「あ、あのう上様? こちらの方々は……フィル様とボニーでは……
ありません・よ・ね?」
「ああ。違うぜ。 あの子たちの身代わりを
「あ~、びっくりしたぁ! 一瞬フィル様たちが
「ははは。そうか。 お前さんたちにも
「は・は・は……それで……本物のフィル様のご遺体は?」
フィル型ゴーレムが
その時である!
「わっ!」
「うひゃほぉぉぉーーいっ! ……ふぃ、フィル様? フィル様っ!
ううう……フィル様ぁ~~~!!!」
本物のフィルがザハルの後ろに転移で現れて『わっ!』と声をかけて
そのまま背後からザハルに
神国神殿で朝から待機してもらっていたフィルとボニーに、念話でここに転移して来るようにと伝えたのでやって来たのである。
彼女たちの方からここへ"
ザハルはフィル型ゴーレムの
背後からのフィルの
聞き覚えのある声。 その主を確認するために後ろを振り返った彼はそこに本物のフィルがいることを確認すると、彼女をギュッと
その様子を不気味な笑顔でじっと見ていたフィル型ゴーレムも、なにを思ったのかザハルの背後から背中に抱きついていった。
彼女も二人の再会を喜んでいるようである。
なんとも
「かみちゃまぁーーっ!」
ぽすんっ!
フィルたち
「コニーちゃんも来てくれたんだね?」
「うん。 おねえちゃんについてきたのよ。 うふふ」
その姉であるボニーの方は、ボニーが
「よかった……」
コニーが無事で、元気な姿を見た三重スパイのジェンマがつぶやいた。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいるようだ。
「あのね、あのね。かみちゃまぁ。 ゴーレムちゃん、だいじょうぶかなぁ?」
どうやらコニーの
「うん。大丈夫だよ。 ゴーレムちゃんは今頃、コニーちゃんに
「あーよかったぁ! わたしねぇ、しんぱいだったんだ。
あのおじちゃんたちね、
「そっかぁ、すっごく
きっと
「うん!」
実際この時、ワッドランド大使
その幼女型ゴーレム……つまりコニー型ゴーレムには、なにか
ヤツらが
その代わりというのか、当初の予定通りというのか、当然なんだが、ヤツらの魂はまとめて "
◇◇◇◇◇◇◆
ザックレイの
フィルが、他の兄弟たちから
◇◇◇◇◇◆◇
今日より数週間後に
場所はニラモリア中央神殿内の統括神官シーモアの
ここでフィル暗殺事件他、一連の事件についての調査報告をザハルから聞いているところである。
「ザハル。よかったなぁ、亡命の件はおとがめなしになったんだって?」
「はい。お陰様で。ありがとうございます」
「それどころか
「はい。
「ああ、がんばってくれよ。 まあ、お前さんが大使なら安心だよ」
「ありがとうございます」
「あ、そうだ! ジェンマの件だが引き続き大使であるお前さんの部下として面倒を見てやってくれ」
「え? あのボニーを殺したヤツですか?」
「ああ、そうだ。 ヤツは使える男だし、実は気のいいヤツなんだぜ。
ヤツには今後はシオン神聖国との二重スパイを
「なるほど。そういうことならご協力致します」
「おう。よろしく頼むぜ!」
「はい」
ザハルからの報告によると……
今回の一連の事件はすべてザックレイとその
ニラモリア国を
ニラモリア国との戦争責任をすべて皇帝シザルに"おっかぶせて"殺し、自分がその
単なる権力の
そして、今回ヤツらが立てた計略の概略は……
まずザックレイはニラモリア国の
ザハルを指揮官としてシオン神聖国の魔道士たちの力を借りて関を攻めさせる。
関を落とすことができたらそのまま首都へ向かって進軍して占領。
失敗したときにはニラモリアの人々のワッドランドに対する
その国民感情を利用して、あたかもフィルがイジメにより自殺に追い込まれたかのように
ニラモリア国への
今回は関への攻撃が失敗したために、この後者のプランとなったというわけだ。
一方のシオン神聖国は、ニラモリア国への侵攻時に一番
その
まあ、敵の計画通りに
こっちには俺もいるし、優秀なハニーたちもいるし……
衛星兵器だってある。 それに、ミニヨンやゴーレムたちもいる。
たとえヤツらの計画がバッチリうまくいったとしても、な~んにも心配はいらないのだ! 半日以内にヤツらを
「しかし、上様。 今回の件では
「なに? 俺に
どうやら、ぶっ殺されてぇらしいな?」
「い、いえ。 そういうわけではなくて、全部ザックレイが影でこそこそやったことなのに……あまりにも
「てめぇらはアホか!?」
「へっ?」
ここは日本ではない!
お
そんなクソ野郎が多くて、そんなことが許されてしまうような日本みたいな……
そんな "
お
お偉いさん自身が起こした
そのために高い
「部下がやらかした
「ですが陛下はなにも……」
「知っていた、知らなかったはその組織外から見たら全く関係ねぇだろうが!?
すべてはそっちの内部の問題だ! そうだろう? 違うか?
そんなことは、てめぇたちだけで考えればいいことじゃねぇのか?
俺には全く関係ねぇ話だぜ。
言っておくぞ! 今後も、もしこのような
俺は
それがこの世界でのルールだ!
「は、はい。 しょ、承知しました。 き、
ザハルは
ちょっと
「ああ。皇帝にもそう言っておけよ! 妙な言いがかりをつけてくるなら……
今度は屋根だけじゃすまさねぇってこともなっ! いいな!?」
「は、はいっ!」
まあ、
でも、それがイヤだったら、トップの座から
この世界では
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