第0086話 御使い様

 3人の幼女たちの母親の蘇生そせいおこないに向かうちょっと前に時間はさかのぼる……


「シオン。ちょっといいか?」

「なんでしょうか? ダーリン」


 俺に声を掛けられたシオンは嬉しそうに微笑みながらほおめる。


「あのな。これから昨夜助けた幼女たちの母親を生き返らせに行くんだが……」

「はい。ニシズネ町でしたね、確か?」


「ああそうだ。それで知っての通りそこはシオン神聖国にあるからな……

 大変申し訳ねぇんだが、お前さんの威光いこうをちょっと借りてぇと思ってな」

「私の威光で・す・か?」


 シオンは俺の真意しんいはかりかねているようだ。


「お前さんが教皇きょうこうシミュニオンの奴隷どれいにされていたときの名前なんぞ、使いたくもねぇだろうし、それどころか思い出したくもねぇだろうとは思うんだが……

 神のおつげを受けたお前さんの……聖女せいじょシュフィーアのめいで俺たちが"ニシズネ"にやって来たことにしようと思ってるんだが……ダメだろうか?

 お前さんが不愉快ふゆかいに思うんだったら別の設定を考えるんだが……」


「いえ。不愉快ではありませんし、それで私はかまいませんが……」


「そうか! ありがとう! 助かる! でもホント、ごめんな。

 名乗なのりたくも、聞きたくもねぇつらい名前だろうと思う。 本当に申し訳ない」


「いえいえ。ダーリン、どうかあやまらないで下さい。

 私は今とても幸せなので大丈夫です。 もう過去のことはれましたから」


 俺に気を使って無理していなければいいのだが……


「ハニー。 ひょっとしたら『聖女シュフィーア』役を演じてもらうかも知んねぇんだぞ? 本当に嫌だったらこの設定はやめるから、正直に言ってくれよ?」


「ダーリン。本当に大丈夫です。 ずっとおしたいしておりましたダーリンとこうして女夫めおとになれたんですもの……

 幸せの絶頂ぜっちょうにいる今の私には過去のつらい思い出なんて ほんの瑣末さまつなことでしかありません。 これは本心ですからご心配にはおよびません」


 どうやら本当にそう思ってくれているようだな。よかった。


「ところで、"神のおつげ"をさずかった私、聖女シュフィーアの命令でダーリンたちがニシズネにおもむいたということにされるとのことですが……

 それはいったいどんな "おつげ" なんでしょうか?」


「ああ。 神が殺された御使みつかいである幼女たちの母親を復活させることにしたから、復活する彼女をむかえに行くように……というおつげがあったことにするつもりだ。

 それで俺たちが、3人の子供と一緒いっしょに幼女たちの母親をむかえに来た……というていでいこうと思っているんだよ。 まあ、敵に見つかった時は……の話なんだがな」


 『女神は』ではないが、『神である俺は』復活させることにしたんだからまんざらデタラメでもない。


 シオン神聖国しんせいこくたみを、わざと・・・勘違かんちがいさせてあざむくようではあるんだが。


「敵と対峙たいじした際に、できることなら ちからづくで切り抜けることはおけになりたいということなんですね。 分かりました。

 私も、『聖女シュフィーア』の名と権威けんいも、どうぞ存分ぞんぶんにお使い下さいませ」


「助かる。悪ぃが、場合によってはお前さんに直接おましいただくことになるかも知んねぇから……

 申し訳ねぇんだがお前さんはこっちでそれにそなえて待機たいきしててくんねぇかな?」


うけたまわりました。いつでもお呼び下さい。 喜んでさんじます。うふふ」


「ああ、その時は頼むな。

 そうだ! 念のためにずっと念話回線ねんわかいせんをつなげておくことにするぜ。

 お前さんが状況じょうきょう把握はあくできるように、こっちの状況をそっちに送り続けることにしようと思うが……それでもいいか?」


「はい。もちろんです。 ダーリンのご活躍かつやく……楽しみです! うふふふふ」


 シオンはとても嬉しそうに笑っている。


「でもそういうことなら……私も同行した方がよろしいのではないですか?」


「いや。 本当はそうしてもらえると嬉しいし、俺も心強いんだが……

 でも、できることなら、誰にも気付かれずにこっそりと用事だけをませて帰ってきてぇんだよなぁ。 なんといっても、シオン神聖国ではお前さんは超がつくほどの有名人だからなぁ。 どうしても目立っちまうだろう?

 だから、まことに残念だがこっちで待機していて欲しいんだよ」


「確かにあの国には『聖女シュフィーア』を知らない者はおりませんからね……」


 シオンはちょっと残念そうだ。


「そういえばシオン。 ニシズネの領主、ヨゼダン・エグザス男爵ってヤツと面識めんしきはあるのか?」


「はい、あります。 直接言葉をわしたことはありませんが、毎年首都で開かれる領主会議で会っていますので、会えば先方は私だと分かると思いますが……」


「そうか……それなら、ヨゼダンってヤツがの言い出しやがったら、シオンに来てもらえば一発でことがおさまりそうだな?」


「さあそれはどうでしょうか……素直すなおに言うことを聞いてくれるかどうか……」


「まあ……言うことを聞かねぇんなら『神の名』において成敗せいばいするまでだがな。

 『女神の名』じゃねぇけどな。 ははは」


 シオンもなんとなくちからなく笑っている。 少々あきれぎみなのか?


 あの国で『神』=『女神シオン』だろうからな。 『神の名において……』ということで色々とやっても相手が勝手に誤認ごにんするだろうけど……


 俺はうそは言っていないことになるよな? って、詭弁きべんだなぁ、これは……ふぅ。


「それじゃあ、そういうことでよろしく頼むな!」

「はい。承知しました。 お気をつけて行ってらっしゃいませ」

「ああ。ありがとう。 それじゃぁ、行ってくるぜ!」



 ◇◇◇◇◇◇◇



 時と場所を元に戻す……

 ここはシオン神聖国ニシズネの町。 3人の幼女たちの母親、テランを蘇生そせいさせた直後である。


「誰だ! お前たちは!? そこで一体何をしているんだ!」


 チッ! 気付かれちまったか! 面倒めんどうくさいなぁ……

 ヨゼダン・エグザス男爵……か。コイツがテランを奴隷にしていたクソ野郎か。


「よう! ヨゼダン・エグザス男爵か! 久しぶりだなぁ!

 この前の領主会議以来だよな!?」


 ヨゼダンは『誰だったっけ?』というような顔をしながらかたまっているようだ。


「おい! なんだよぉ~ヨゼダン。 この俺の顔を忘れちまったのかよ?

 ほら! 聖女シュフィーア様の部下のシンだよ、シン! 覚えていねぇのかよ?

 ホント失礼なヤツだなぁ……」


 ヨゼダンの顔にあせりの色が表れる……


「お…おお! シン様! そ、そんな格好をされているから誰かと思いましたぞ!

 いやぁ~、久しぶりですなぁ。お元気そうで何よりです。 聖女様もお変わりなくお元気で?」


 やっぱりそうくるよな。 素直に知らないとは言わないよなぁ? くっくっく。

 実際には会ったこともねぇってのに……笑いをこらえるのに苦労するぜ!


「ああ。お元気だ。今はアウロルミア神国のダンジョンでがんばっておられるぞ。

 守秘義務しゅひぎむがあってくわしくは話せねぇんだが……教皇きょうこう様からめいじられた特別任務とくべつにんむ遂行すいこう中だぜ」


「そ、そうですか。 それでシン様。 今日はどういったご用件でここに?」


「お前さんに迷惑めいわくがかからねぇように、こっそりとようませて帰るつもりだったんだが……しょうがねぇな。 誰にも言うんじゃねぇぞ!」


 ヨゼダンの部下たちをにらみながら……


「いいか……お前たちも命がしかったら他言たごん無用むようだぜ! いいな!」


 全員がコクコクとすばやく、そして大きく何度もうなずいている。


「実はな。あるじ、聖女シュフィーア様に神様からおつげがあってな……」

「ほう? それで?」


 俺の後ろのほったて小屋の方を見ながら続ける……


「なんかここで亡くなったきつね族の女性が実は御使みつかさまだったらしくてなぁ……

 くなっていたことに気付いた神様がな、その女性を復活させるからむかえに行けとシュフィーア様におっしゃったらしいんだよ」


「え? め、女神様の御使みつかさまがこんなところに?

 確かにここでは先日、テランという名のきつね族の女性が亡くなってはいますが、まさか!? テランが御使い様なんですか!?」


「ああ。彼女が産んだ3人の幼女を奴隷商人から助け出して、彼女が死んだ小屋まで連れて来るのが復活させるための最良さいりょうの方法らしくてな……」


「え? こ、子供たちですか?」


「ああ、そうだ。 彼女が産んだらしいんだけどなぁ……

 3人ともここにいてくれりゃ、楽なのによぉ~! どこかのバカが、いい金になるからって、子供たちを奴隷商人にぱらっちまったんだとよ。

 どこのどいつだか知らねぇが、まったくよぉ! 余計よけい手間てまを増やしやがって! 許せねぇだろ!? 見つけたらぶっ殺してやるぜ!

 あ、お前さん領主りょうしゅだろ? 誰だか知らねぇか!?」


 目の前にいるヨゼダンが幼女たち3人を売っ払って手間を増やした張本人ちょうほんにんだ。

 ヨゼダンの顔は青ざめ、脂汗あぶらあせを流している。 俺は必死に笑いをこらえる……


「さ、さあ……いったい誰なんでしょうかねぇ? ははは……」


 俺は衛兵えいへいたちの方を見ながら……


「お前たちも犯人が誰だか知らねぇのか?」


 衛兵たちはヨゼダンの顔色をうかがいながら、高速で首を左右に振っている。


「そ、それでまたなんで子供たちを連れてくるのが最良なんですか?」


「それがな。 おつげでは……

 子供たちへの未練みれんちきれずに、死んだ場所の近くを彷徨さまよっている"テラン様"の魂がな。 なんでも子供たちを連れてくると、この世にもどりたがるんだとよ。

 母の愛はふけぇってことなんだろうなぁ」


「な、なるほど……」


「子供たちの魂に引き寄せられてこの小屋の近くに魂がやって来るのを見計みはからって、神様はテラン様を復活させるおつもりなんだとよ」


 まあ、適当てきとうつくった話だが……なんとなくつじつまは合っているだろう。

 さてと、ねんのためにテランたちには何も言わないように言っておくかな。


『テラン。よみがえったばっかりだから、なにがなんだか分からねぇと思うが……

 俺は神だ。 子供たちが不憫ふびんだったんでお前さんを復活させたんだ。

 今からこのヨゼダンって野郎を言いくるめて、お前さんをここから助け出すつもりだから……

 とにかく子供たちをしっかりいて、何も話さずにいてくれねぇかな?』


『あなた様は上様なんですかっ! わ、分かりました。 言われた通りにします』


『ピコナ、ナノン、アトナ。おかあちゃんとしっかり抱き合っていてくれるかな?

 何もしゃべらねぇでおかあちゃんに抱きついてて欲しいんだよ。できるかな?』


『うん! かみちゃま! できるぅ~!』

『できるぅ~! おかあちゃんとぎゅっとしてるぅ~!』

『だまってるぅ~!』


『みんないい子だね。 お願いね』

『『『うん! わかったぁ~!』』』



「そういうわけで、実際にここに子供たちを連れてきたんだが、なんと!」

「はい!?」


 小屋の中がヨゼダンに見えるように移動する。


「どうだ! おつげ通りだ! テラン様が復活されたんだよ! 見てみろ!」


 "おおーーーーーっ!"

 ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……


「き、奇跡だ! 女神様の奇跡だ!」


「あの女は本当にテランって女なのか?」

「あ、ああ。 た、確かに先日せんじつ死んだ奴隷のテランだ! 間違いねぇ! 俺も死体の片付かたづけを手伝ってたからな。 間違いなくここに子供と住んでいたテランだ!」


「おい! テラン様は御使みつかさまだぞ! てはダメだろうが!

 言葉には気をつけろ!」


「あ……ああ……そ、そうだな」「そうだよな。バチが当たっちまうな……」


 ヨゼダンは、目が飛び出さんばかりに、そして、アゴが外れんばかりに大きな口を開けて驚いている。


「お、おい……でも確かテラン様をなぶり殺しにしたのは殿とのじゃなかったか?

 それに御使い様をずっと性奴隷にしていたんだぞ?」


「あ…ああ。そうだよな。性的虐待ぎゃくたいを加えた、なぶり殺したんだもんな。

 だ、大丈夫なのか? 女神様の逆鱗げきりんれるんじゃねぇのか?」


「でもテラン様って、もともとはニラモリア国の邪神殿神子みこだったんだよなぁ?

 そんな者を女神様が御使みつかいに選ぶんだろうか? ちょっと変じゃねぇか?」


「そ、そういえばそうだよな。 越境えっきょうして奴隷狩どれいがりをしてさらってきたって……

 殿との武勇伝ぶゆうでんだったんじゃないか? その時の戦利品せんりひんだったはずだぜ?」


「でもなぁ。 聖女シュフィーア様が受けたおつげ通り、死んだテラン様は復活されたんだぞ? それこそ、そんな言いがかりをつけるようなことを言ってると、天罰てんばつが下されるぞ! 女神様とシュフィーア様の言葉をうたがうってことだからな!」


「そうだよな……」


「しっ! お前たち口をつつしめ! シン様の耳に入ったらそれこそ大事おおごとだぞ!」


 ヨゼダンの衛兵たちが口々につぶやいていた内容を聞き取って分かったのは……


 テランはこの国に奴隷として生まれ育ったのではなかったのだ。


 許せんことに、6年ほど前にヨゼダンたちが越境してニラモリア国内で奴隷狩りをおこない、無理矢理さらってきた女性たちのうちのひとりだったのだ!


 か弱い女性を無理矢理さらってきて、なにが武勇伝ぶゆうでんだ! クソゲス野郎が!


 その女性たちは当時、みな、ニラモリア国の国境近くのあった町の神殿しんでん神子みことしてつとめており、町の周辺に点在てんざいする村々むらむら巡回治療じゅんかいちりょうしているところを ヨゼダンたちに襲われてしまったらしいのだ!


 今回の件も犠牲者は神殿神子たちだったのか……


 6年前とは! くそっ! 俺がいなかったばっかりに……くそっ! くそっ!

 純真じゅんしん乙女おとめたちをなぐさものにしやがってっ!


 穏便おんびんにテランを連れてここを去ろうと我慢がまんしていたが……もう許せねぇっ!

 コイツ、ヨゼダンは 絶対に! ぶっ殺す!


 もちろん、被害者たちが神殿神子であろうがなかろうが、この国の生まれだろうがさらわれて来た者だろうが、それは全く関係ない!


 無辜むこな人を奴隷にしてなぐさものにするような蛮行ばんこうは絶対に許せん!


 最近行われた犯行だろうが、何年も前に、いや何十年も前に行われた犯行だろうがそれも関係ない!


 この世界には時効なんていう "なまっちょろい" 制度 は存在しない!

 この世界は日本のように "あまっちょろく" はない!


 犯罪被害者よりも、下手へたをすると加害者の人権の方が重いんじゃないのかと思ってしまうような、重罪人にバカみたいにやさしい日本とは違うのだ!


 重犯罪じゅうはんざいおかした者の人権じんけんなんて一切いっさいみとめない! そして容赦ようしゃもしない!

 厳罰げんばつあるのみだ! それがこの世界のルールだ!


 誰が決めたってかぁ? 決まってんだろう? 俺だよ! 当然だ!

 この世界のルールは俺が決める! そして……誰にも絶対に文句は言わせねぇ!



 威圧いあつしながら……


「おい、ヨゼダン。 てめぇ、御使みつかさまを性奴隷にしてたってのは本当か?

 御使い様をなぐさものにしてなぶり殺しにしたってのも本当なのか?」


「ひぃぃぃぃぃっ! し、知らなかったんです! まさか御使い様だとは!

 ほ、ほほ、本当です! 本当に知らなかったんです!」


「知っているかいないかは関係ねぇな。 それに、誰であろうがやっちゃぁいけねぇことだろうが! このクソ野郎が!」


「……え? 獣人族は問答無用もんどうむようで奴隷化できるのが国法こくほうですよね? シン様?

 あなたは本当に聖女シュフィーア様の部下ですか?」


 しまった! 余計よけいなことを言いすぎたか!?


 そう思った瞬間である。


「ヨゼダン・エグザス男爵っ! てなりませんね! 重臣じゅうしんの言うことにとなえるというのですか!?」


「シュフィーア様! ははぁーーっ!」


 聖女シュフィーアことシオンが転移で現れたのだ!

 聖女シュフィーアの出現にヨゼダン男爵とその部下たちは一斉いっせいにひれした!


 いつの間にか野次馬やじうまが集まってきている?


 ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……


「せ、聖女様だ! 聖女様がおしになったぞ!」

「ああ。やはりシン様は本物だったんだ。 本物の聖女様の部下だったんだな!」


御使みつかさま到着とうちゃくおそいので来てみれば……

 シン! これはいったいどうしたことなんですか?」


「はい、聖女様。 実はこの者があろうことか御使い様を長年に渡り凌辱りょうじょくし続け、ついにはなぶり殺しにしていたことが判明し、糾弾きゅうだんしていたところでございます」


「男爵! それは本当ですかっ!? だとしたら、ゆゆしきことですよ!」


「ち、違うんです! わ、私はただ国が推奨すいしょうしているように獣人じゅうじんの女をさらってきて性奴隷にしていただけなんです!

 し、信じて下さい! まさか、御使い様だとは全く知りませんでした!

 国法でもみとめられていることをしただけです!」


「言い訳ですか? おろかな……。 大変なことをしてくれましたね!

 我らが神の教えを、ニラモリア国内で広めるという大切なお役目をもってこの世に使わされた御使い様だというのに……

 そのテラン様を、あなたは性奴隷にした上になぶり殺しにしたんですかっ!?」


 聖女シュフィーアことシオンは威圧いあつしながら糾弾きゅうだんする。


「ひぃぃぃぃぃっ! ほ、本当に知らなかったんです! どうかお許しを!」


 聖女シュフィーアことシオンに念話で話しかける……


『シオン。"ならば神にうかがってみましょう" と言って天に向かってヤツの罪の有無を問うふりをしてくれ! 俺がヤツにかみなりを落とすから』


『承知しました。面白そうですね。うふふ』


 <<全知師!

  シオンがヤツの罪の有無を神にたずねたら……

  5秒ほど待ってから、俺たちのいる場所の上空を雷雲らいうんおおえ!

  あ、それから音がゴロゴロと鳴るくれぇに帯電たいでんさせておけ。 落雷はさせるな!


 >>承知!

  天候操作衛星を上空に転送……完了!

  雷雲らいうん生成準備を開始します。 雷雲の帯電たいでんレベルを調整……完了!

  いつでも雷雲を生成可能です。 生成開始条件成立まで待機します。


『よし! シオン! やってくれ!』


 シオンはこちらを見て小さくうなずくと……


「それでは男爵。 あなたに罪があるかないかを、我らが神にうかがいましょう……

 天に御座おわします我らが神よ! すべてお聞きいただいた通りです!

 もしもこの者に罪があるということでしたら、どうか天罰を下したまえ……」


 >>マスター。 雷雲を生成します。


 すると……一天いってん、にわかにかきくもる!

 ゴロゴロと雷鳴らいめいがとどろく……まるで神がいかりをため込むかのように聞こえる。


 ヨゼダン男爵は顔面蒼白がんめんそうはくだ! 嫌な予感がしているに違いない。


『さてと……それじゃぁ、軽めの落雷を一発お見舞みまいするかっ!

 ミニヨンを雷雲の中に転送して……と! ターゲットはヨゼダン男爵の右肩!

 さあ、ミニヨン! ライトニング・ストライク(落雷らくらい)をはなて!』


 『落雷』ってとなえればいいものを……

 ハニーたちの前だからちょっと格好つけてしまったぜ。


 ん? 攻撃神術『落雷』のイメージだけを伝えるんで、ミニヨンにはどんな言葉で命令しても関係なく通じるけど……

 ハニーたちにも翻訳機能ほんやくきのうを通すからどう唱えても一緒に聞こえるのか? ん?


 カリカリカリ……ズッガァーーンッ!


 ミニヨンに命令した直後、上空から落雷が!


 雷は空間を切りくかのような音を立てながらヨゼダン男爵の右肩に直撃する!

 ヨゼダン男爵は落雷のショックで、その場から"数m"はじき飛ばされて地面に倒れ、気を失った!


 まあ、こんなもんだな。


「て、てて、天罰が下ったぞ! 殿とのに天罰が!」


 ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……


「や、やっぱり御使みつかさま凌辱りょうじょくして殺したことに女神様はおいかりなんだ!」

「くわばら くわばら……」


 んっ? 翻訳機能を通しているから分からないが……この世界にも『くわばら』と同じような意味の言葉があるんだな?


 確か日本では、菅原すがわら道真みちざねこうのろいの雷が『桑原』ってところには落ちなかったのが由来ゆらいで、雷の時には『くわばら くわばら』ってとなえるようになったんだよな?


 こっちの言葉の『くわばら』ってのはどんな由来があるんだろう? 気になる。



みなもの。静かに! あの者への処分を言い渡します!

 神罰が下った今、ヨゼダン男爵には死をもってつぐなってもらいます!

 ……と言いたいところなんですが、領主がいきなりいなくなっては、たみも混乱するでしょう。 ですから、それはやめておきます」


 聖女シュフィーアことシオンはなかなかの貫禄かんろくだ。


『シオン。ヤツは成敗しねぇのか? なんか納得できねぇな! ぶっ殺そうぜ!』


行為こうい自体は、この国の国法こくほうで認められていますから……

 さすがに彼を極刑きょっけいにはできません。 申し訳ございません』


『そうか。残念だよ。俺たちが立ち去った後にひそかにぶっ殺すことにするぜ!』

『は・は・は……け、結局は始末しまつされるんですね……』


『ああ。こんなクソ野郎は生かしておいちゃ世のためにならねぇからなぁ』

『な、なるほど……』


 ざわざわざわ……ざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……

「なんと寛大かんだいな! 聖女様はおやさしい方だ!」


「まだ話は終わっていません! 静かに!

 ただしばつあたえねばなりません! みなさんもそう思うでしょ?」


 衛兵たち、騒ぎを聞きつけて集まってきた町民たちが大きく何度もうなずいている。


「そりゃそうだわな、女神様の御使い様にひどいことをずっとしてきたんだから」

 ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわ……ざわざわざわ……


「よって、この者からは、奴隷を所有する権利を剥奪はくだつすることにします!」


 この町のすべての奴隷を解放してやろうと思っているので、これでは手緩てぬるい!

 ミニヨンに命じて誰もいない場所へもう一発雷を落とさせる!


 カリカリカリ……ズバァーーンッ!

 "うひゃぁぁぁーーっ!" "きゃぁぁぁぁぁぁぁーーっ!"


『シオン。神はこの町の奴隷すべてを解放しろと言っていると言ってくれ!』

『承知しました』


 <<全知師。

  この町にいる隷従の首輪をつけている者たちをすべてターゲット指定しろ!


 >>承知!

  ニシズネ内で隷従の首輪を身につけている者たちを検索……検索完了。

  リストアップされた者たちをターゲット指定……完了!

  この町の全奴隷のターゲット指定が完了しました。


 <<ありがとう。


 一度死んでいるから、テランは奴隷から解放されて対象外になっているな。よし!


「ああ……神様。 私の裁定さいていでは納得なっとくなさいませんか? ……分かりました。

 皆の者! 我らが神はこの町の奴隷をすべて解放せよとおっしゃっている!

 ただちにこの町のすべての奴隷たちをここへ集めよ! 

 そして、今後、この町では奴隷を所有しょゆうすることは一切いっさい認めぬ! よいな!

 これもすべては、領主、ヨゼダンの愚行ぐこうのせいである! うらむのなら大罪たいざいおかした男爵を恨め!」


 ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……


 人々がざわめき出す。


 衛兵たちは"奴隷"をここに連れてこようと考えたのであろう、この場を離れようとしている。 が、彼等にまかせれば時間がかかるだろうし、不正を働くヤツがいるかも知れない。


 確実にこの町の全奴隷をここに連れて来るには俺が自分で集めた方が早い。


 "見えざる神の手"を上空に出して、全知師によってターゲット指定させたこの町の全奴隷をその上に転送する……


 "おおーーっ!"


「な、なんだ! あれは!」

「ど、奴隷たちだよ! 奴隷たちが空に浮かんでいる!?」

「き、奇跡だ! 女神様のワザに違いない!」


 奴隷は全部で82人だ。意外に少なかった。 しかもその内の74人がヨゼダンの私有地内にいた。

 今俺たちがいるこの場所が、どうやらヨゼダン男爵の所有地内にある奴隷居住区のようで、74人の生命体反応はこの区域内にあったのだ。


 ゆっくりと "見えざる神の手" に乗った奴隷たちを地上へと降ろすと……

 人々は誰に言われることもなく奴隷たちが着地するための場所をける……


「ああ。我らが神よ! 衛兵たちの手間てまはぶいていただきありがとうございます」


 聖女シュフィーアことシオンが天を見上げながら言うと人々も空を見上げる。


 <<全知師。 雷雲を消して青空にしてくれ!


 >>承知!

  雷雲を消去します……消去完了!


「おお! 黒雲が消えていくぞ! 女神様のおいかりは静まったようだな」

「ああ。これで俺たちも安心だ。殿様とのさまのせいできもやしちまったぜ」


「まったくだ。 奴隷だって人間だからな。ひどいことをしちゃぁいけねぇとずっと思ってたんだよなぁ。 殿様とのさまはひどいことをしてたからなぁ」


「ホントにだよ。 困ったもんだぜ」

「しっ! 殿様に聞かれたらどうするんだ! 殺されちまうぞ!」

「ははは。 あそこでのびているから大丈夫だろう」


 人々の反応とはこんなものなんだろうなぁ……


 ヨゼダンが人格者ならばこんなことは言われないんだろうが、ヤツの人徳じんとくの無さがよく分かるぜ。


「あっ! 見てみろよ! 奴隷たちの首輪が粉々になって消えていくぞ!?」

「お! 本当だ! これも女神様がなさったのだろうか?」

「多分そうだぜ。聖女様も、おつきの方もなにもなさっていないからなぁ」

「すげぇなぁ。生きている間にこんな奇跡をおがめるなんて思ってもいなかったぜ」

「そうだよなぁ……」


 実は、その"おつきの者"であるこの俺が、奴隷契約を破棄はきして隷従の首輪を消してやったんだけどね~。 まあ、女神様の奇跡の方が都合つごうがいいんだけどね~。


 はてさて、奴隷たちを解放したのはいいのだが、このままここにおいてはいけないしなぁ。 どうしたものかなぁ……


 すべてが獣人族の者たちである。 しかも、ヨゼダンの奴隷だった者たちはみんな若い女性だ。 俺たちが立ち去った後に彼女たちがなにをされるか分かったもんじゃない。 それがとても心配なのである。


 だから、このままここに置いてはおけないと思ったのだ。

 なんといっても、この国では獣人は差別の対象なのだから……。


 えず、一旦いったんニラモリア国の中央神殿で彼女等を保護して、彼女たちの希望を聞いてから身の振り方は個別に対応するようにしようかな。


 そんなことを考えていると……


「……んん……ううう……」


 どうやらヨゼダン男爵が意識を取り戻したようだ。



 ◇◇◇◇◇◇◆



「そ、そんなバカな! 今後一切奴隷を持てないというのか!?」


 部下からこと次第しだいを聞いたヨゼダンは声をあららげ……俺たちをすごい形相ぎょうそうにらみつける!?


「お……おのれぇーーっ! もはやこれまでか……

 みなもの! 目の前にいるあの者たちは聖女シュフィーア様の名をかたものだ!

 たたっ切れ! 二人を仕留しとめた者には望みの褒美ほうびをとらす! さあ! やれ!」


 日本で見たぼう有名ゆうめい時代劇じだいげきで、暴れ回る将軍様に追い詰められた"悪代官"が開き直るシーンが思い起こされた。


 急にそのように言われたヨゼダン男爵の部下たちは、いったいどうしたらよいのかこまり、かたまっている。


 その様子を見て聖女シュフィーアことシオンがはなつ!


「先ほどの奇跡をたりにしたお前たちは、よもや神敵しんてきにはなるまいな!?

 神罰しんばつを受ける覚悟かくごのある者はわれらにかかってくるがよいっ!

 この手で成敗せいばいしてくれる! さあ、どうするっ!?」


 もう一押ひとおししてやろう!

 ヨゼダン男爵をターゲット指定して心の中で『四肢粉砕ししふんさい!』とつぶやく……


 ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い!


 突然とつぜん絶叫ぜっきょうし、地面で "のたうち回り" 出したヨゼダン!

 部下の者たちは、彼の絶叫を聞いてび上がるかのごとく驚き恐怖する!


 シュフィーアはさらに言う……


「おお……我らが神が再びおいかりです! お前たちは、神の怒りを買う覚悟はあるのですか!?」


 全知師に命じて再び雷雲を上空に出現させる……


 ゴロゴロゴロゴロ……"ピカッ!"……ゴロゴロ……


 あたりに雷鳴が響き渡る! ダメ押しだ!


 それを聞いて衛兵たちは一斉いっせいに武器をて、地面にひれし……

 衛兵隊長らしき男が俺たちと天をチラチラと、おっかなびっくり見ながら言う……


「わ、我々衛兵は、女神様にさからうつもりは毛頭もうとうございません! シュフィーア様のいかなるおおせにもしたがいます!」


 全知師に命じて暗雲を払い再び青空にさせる……


「おお……女神様がいかりをおきになったぞ! いやぁ~よかった!」


「ったくあのクソ領主め! 余計なことをしくさりやがって! 寿命が縮んだぜ」

「衛兵だけがやられるのならまだしも、こっちにまで"とばっちり"が来たらたまったもんじゃねぇもんなぁ!」

「ほんとだぜ! この町に住んでいるだけで神罰を受けたら、たまったもんじゃねぇよな!」


 ……わいわいガヤガヤ……


 衛兵も町の人々も、元奴隷たちも聖女シュフィーアの次の言葉をじっと待つ……


「よかろう……男爵以外の者の罪はうまい。

 だが、男爵は"おのれの罪"をもみ消すため、そして、奴隷たちを手放てばなしたくないがために、こともあろうに我らを偽物にせもの呼ばわりして神を冒涜ぼうとくした!

 彼の罪は非常に重い! みなもの、そうは思わぬか?」


 全員がすごい勢いで何度もうなずいている!


 聖女シュフィーアことシオンが男爵に向けてサッと手をかざしながら唱える……

「修復!」


「はぁはぁ……はぁはぁ……い、痛いよ……あれ? 痛く…な・い?」


 ざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……

「ああ。聖女様の奇跡だ!」


「ん? 違うだろ? 治癒魔法をかけただけじゃねぇのか?」

「イヤどう見ても奇跡だろうが!」

「そ、そうなのか?」


 ……わいわいガヤガヤ……わいわいガヤガヤ……


「判決を言い渡す!

 ヨゼダン・エグザス男爵! 市中しちゅうまわしのうえ斬首ざんしゅ! 獄門ごくもん

 家名断絶かめいだんぜつ! 一族いちぞくの者は平民に格下かくさげとする! 以上、もうわたす!」


 ご、獄門って……日本の江戸時代のような刑罰があるんだな?


「く、くっそう……私はなにも悪くはない! 合法なことしかやっていない!

 国法で認められていることをしたまでだ! こんなのは不当だ!

 死ねぇーーっ!」


 ヨゼダンはそう叫ぶと……

 腰に下げていたロングソードをぬきざま、聖女シュフィーアにりかかる!


 窮鼠きゅうそねこむ! ……ってやつか。


「「慮外者りょがいものめがっ!」」

 スパパッ! ……グラン……ゴロン…………ブシューーッ!


 この行動に逸早いちはやく反応したのがスケさんとカクさんであった!


 二人はもの凄い勢いでヨゼダンとシュフィーアの間に左右からって入ると……

 二人はクロスしながら、腰に下げた"オリハルコン製"のロングソードをぬきざまに水平にはらうかのごとく、ほぼ同時に剣を振りいたのである!


 ヨゼダンは言葉を発する間もなく3つに分断ぶんだんされた!


 スケさんが振り抜いた剣はヨゼダンの首をはね……

 カクさんが振り抜いた剣はヤツのどうを水平にち切ったのである!


 刹那せつなの後、ヨゼダンの3つに分断された各切り口からは血がき出して、あたりは血の海となる!


「きゃぁっ!」「うわっ!」

 ドサッ! 「おい! しっかりしろ!」


 ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ…………


 目の前で展開された惨劇さんげき


 見ていた女性のひとりが悲鳴を上げ、意識を失って倒れたぞ!

 真っ青になってその場にうずくまる者たちが続出している!?


「あーあ。なんて往生際おうじょうぎわの悪いヤツなんだよぉ。

 あんなのがウチらの領主だったなんてなぁ……」


「ホントだぜ! しかしエグいな! あの警備の女性剣士……すげぇなっ!」

「ああ。 あんなに綺麗きれいなのに……顔に似合にあわず、ものすげぇ腕だぜ!」


 どうやら領主が成敗されたことを非難する者は誰もいないようだ。

 ヨゼダン男爵というのは所詮しょせん、それだけの人物だったと言うことなんだろう……



 ◇◇◇◇◇◆◇



 ヨゼダン男爵のあとまかせる者は、その場にいた衛兵の中から、魂の色が一番綺麗きれいな者にして、聖女シュフィーアことシオンに任命にんめいしてもらった。


 その者の魂の色は"青色"である。 善政ぜんせいいてくれることを期待したい。


 その新しくニシズネ町を含む数カ所の町村の領主となった男にあとたくし……

 82人の奴隷だった者たちに、テランたち母娘と、聖女シュフィーアことシオン、スケさん、カクさんを連れて俺は一旦ニラモリア国首都の中央神殿へと転移した。


 "ニシズネ町"で奴隷にされていた者たちの面倒を見てもらい、彼女たちの身の振り方を決める手助けをしてもらえるように、神殿関係者に頼むためだ。


 獣人族担当の管理助手シノと神殿の統括神官シーモアにはその旨、事前に連絡してある。


 ニラモリア国の首都、ニラモウラにある中央神殿前、延焼防止用えんしょうぼうしようの広場に転移してくると、そこには笑顔のシノとシーモアがいた。 俺たちの到着を待っていてくれたようだ。


 シオンはシノの顔を見ると、泣きながらシノにきついて行った。


「シノ! ああ……またあなたに会えるなんて……ううう……」

「え? もしかして……シオン? あなた……シオンな・の?」


「ううう……ぐっすん……ええ、そうよ。

 身体からだはシオン教の教皇きょうこうシミュニオンにうばわれてしまったの……」


「まあ、かわいそうに……。でも魂が無事でよかった!

 シオン教徒に拉致らちされているって聞いていたから心配してたのよ?」


「何十年もの間、奴隷にされて屈辱的くつじょくてきな目にわされ続けてきたのよ……本当に、本当につらかった……。

 ダーリンがダンジョンに来て下さらなければ、今頃いまごろは……ううう……」


 シノがシオンをギュッときしめて、頭をおもむろにゆっくりと何度なんどでる……


「つらかったねぇ、つらかったよねぇ……。助かってよかったね……うう……」

「「うわぁーーーん!」」


 二人は感情が爆発したかのように号泣ごうきゅうする! おいおいと泣き出したのだ。

 気が付くと俺は二人のそばまで移動していた。 そして、次の瞬間には無言むごんで二人をギュッときしめていた。


 その感動的な再会シーンはもたらされた急報きゅうほうにより水をさされて中断することになる……


「と、統括神官様! 大変です! ワッドランド大使がっ!

 ワッドランド大使が、すごい剣幕けんまくで乗り込んで来ました!」

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