第0086話 御使い様
3人の幼女たちの母親の
「シオン。ちょっといいか?」
「なんでしょうか? ダーリン」
俺に声を掛けられたシオンは嬉しそうに微笑みながら
「あのな。これから昨夜助けた幼女たちの母親を生き返らせに行くんだが……」
「はい。ニシズネ町でしたね、確か?」
「ああそうだ。それで知っての通りそこはシオン神聖国にあるからな……
大変申し訳ねぇんだが、お前さんの
「私の威光で・す・か?」
シオンは俺の
「お前さんが
神のおつげを受けたお前さんの……
お前さんが
「いえ。不愉快ではありませんし、それで私は
「そうか! ありがとう! 助かる! でもホント、ごめんな。
「いえいえ。ダーリン、どうか
私は今とても幸せなので大丈夫です。 もう過去のことは
俺に気を使って無理していなければいいのだが……
「ハニー。 ひょっとしたら『聖女シュフィーア』役を演じてもらうかも知んねぇんだぞ? 本当に嫌だったらこの設定はやめるから、正直に言ってくれよ?」
「ダーリン。本当に大丈夫です。 ずっとお
幸せの
どうやら本当にそう思ってくれているようだな。よかった。
「ところで、"神のおつげ"を
それはいったいどんな "おつげ" なんでしょうか?」
「ああ。 神が殺された
それで俺たちが、3人の子供と
『女神は』ではないが、『神である俺は』復活させることにしたんだからまんざらデタラメでもない。
シオン
「敵と
私も、『聖女シュフィーア』の名と
「助かる。悪ぃが、場合によってはお前さんに直接お
申し訳ねぇんだがお前さんはこっちでそれに
「
「ああ、その時は頼むな。
そうだ! 念のためにずっと
お前さんが
「はい。もちろんです。 ダーリンのご
シオンはとても嬉しそうに笑っている。
「でもそういうことなら……私も同行した方がよろしいのではないですか?」
「いや。 本当はそうしてもらえると嬉しいし、俺も心強いんだが……
でも、できることなら、誰にも気付かれずにこっそりと用事だけを
だから、まことに残念だがこっちで待機していて欲しいんだよ」
「確かにあの国には『聖女シュフィーア』を知らない者はおりませんからね……」
シオンはちょっと残念そうだ。
「そういえばシオン。 ニシズネの領主、ヨゼダン・エグザス男爵ってヤツと
「はい、あります。 直接言葉を
「そうか……それなら、ヨゼダンってヤツが
「さあそれはどうでしょうか……
「まあ……言うことを聞かねぇんなら『神の名』において
『女神の名』じゃねぇけどな。 ははは」
シオンもなんとなく
あの国で『神』=『女神シオン』だろうからな。 『神の名において……』ということで色々とやっても相手が勝手に
俺は
「それじゃあ、そういうことでよろしく頼むな!」
「はい。承知しました。 お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ。ありがとう。 それじゃぁ、行ってくるぜ!」
◇◇◇◇◇◇◇
時と場所を元に戻す……
ここはシオン神聖国ニシズネの町。 3人の幼女たちの母親、テランを
「誰だ! お前たちは!? そこで一体何をしているんだ!」
チッ! 気付かれちまったか!
ヨゼダン・エグザス男爵……か。コイツがテランを奴隷にしていたクソ野郎か。
「よう! ヨゼダン・エグザス男爵か! 久しぶりだなぁ!
この前の領主会議以来だよな!?」
ヨゼダンは『誰だったっけ?』というような顔をしながら
「おい! なんだよぉ~ヨゼダン。 この俺の顔を忘れちまったのかよ?
ほら! 聖女シュフィーア様の部下のシンだよ、シン! 覚えていねぇのかよ?
ホント失礼なヤツだなぁ……」
ヨゼダンの顔に
「お…おお! シン様! そ、そんな格好をされているから誰かと思いましたぞ!
いやぁ~、久しぶりですなぁ。お元気そうで何よりです。 聖女様もお変わりなくお元気で?」
やっぱりそうくるよな。 素直に知らないとは言わないよなぁ? くっくっく。
実際には会ったこともねぇってのに……笑いをこらえるのに苦労するぜ!
「ああ。お元気だ。今はアウロルミア神国のダンジョンでがんばっておられるぞ。
「そ、そうですか。 それでシン様。 今日はどういったご用件でここに?」
「お前さんに
ヨゼダンの部下たちをにらみながら……
「いいか……お前たちも命が
全員がコクコクとすばやく、そして大きく何度も
「実はな。
「ほう? それで?」
俺の後ろのほったて小屋の方を見ながら続ける……
「なんかここで亡くなったきつね族の女性が実は
「え? め、女神様の
確かにここでは先日、テランという名のきつね族の女性が亡くなってはいますが、まさか!? テランが御使い様なんですか!?」
「ああ。彼女が産んだ3人の幼女を奴隷商人から助け出して、彼女が死んだ小屋まで連れて来るのが復活させるための
「え? こ、子供たちですか?」
「ああ、そうだ。 彼女が産んだ
3人ともここにいてくれりゃ、楽なのによぉ~! どこかのバカが、いい金になるからって、子供たちを奴隷商人に
どこのどいつだか知らねぇが、まったくよぉ!
あ、お前さん
目の前にいるヨゼダンが幼女たち3人を売っ払って手間を増やした
ヨゼダンの顔は青ざめ、
「さ、さあ……いったい誰なんでしょうかねぇ? ははは……」
俺は
「お前たちも犯人が誰だか知らねぇのか?」
衛兵たちはヨゼダンの顔色をうかがいながら、高速で首を左右に振っている。
「そ、それでまたなんで子供たちを連れてくるのが最良なんですか?」
「それがな。 おつげでは……
子供たちへの
母の愛は
「な、なるほど……」
「子供たちの魂に引き寄せられてこの小屋の近くに魂がやって来るのを
まあ、
さてと、
『テラン。
俺は神だ。 子供たちが
今からこのヨゼダンって野郎を言いくるめて、お前さんをここから助け出すつもりだから……
とにかく子供たちをしっかり
『あなた様は上様なんですかっ! わ、分かりました。 言われた通りにします』
『ピコナ、ナノン、アトナ。おかあちゃんとしっかり抱き合っていてくれるかな?
何もしゃべらねぇでおかあちゃんに抱きついてて欲しいんだよ。できるかな?』
『うん! かみちゃま! できるぅ~!』
『できるぅ~! おかあちゃんとぎゅっとしてるぅ~!』
『だまってるぅ~!』
『みんないい子だね。 お願いね』
『『『うん! わかったぁ~!』』』
「そういうわけで、実際にここに子供たちを連れてきたんだが、なんと!」
「はい!?」
小屋の中がヨゼダンに見えるように移動する。
「どうだ! おつげ通りだ! テラン様が復活されたんだよ! 見てみろ!」
"おおーーーーーっ!"
ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……
「き、奇跡だ! 女神様の奇跡だ!」
「あの女は本当にテランって女なのか?」
「あ、ああ。 た、確かに
「おい! テラン様は
言葉には気をつけろ!」
「あ……ああ……そ、そうだな」「そうだよな。バチが当たっちまうな……」
ヨゼダンは、目が飛び出さんばかりに、そして、アゴが外れんばかりに大きな口を開けて驚いている。
「お、おい……でも確かテラン様をなぶり殺しにしたのは
それに御使い様をずっと性奴隷にしていたんだぞ?」
「あ…ああ。そうだよな。性的
だ、大丈夫なのか? 女神様の
「でもテラン様って、もともとはニラモリア国の邪神殿
そんな者を女神様が
「そ、そういえばそうだよな。
「でもなぁ。 聖女シュフィーア様が受けたおつげ通り、死んだテラン様は復活されたんだぞ? それこそ、そんな言いがかりをつけるようなことを言ってると、
「そうだよな……」
「しっ! お前たち口を
ヨゼダンの衛兵たちが口々につぶやいていた内容を聞き取って分かったのは……
テランはこの国に奴隷として生まれ育ったのではなかったのだ。
許せんことに、6年ほど前にヨゼダンたちが越境してニラモリア国内で奴隷狩りを
か弱い女性を無理矢理
その女性たちは当時、
今回の件も犠牲者は神殿神子たちだったのか……
6年前とは! くそっ! 俺がいなかったばっかりに……くそっ! くそっ!
コイツ、ヨゼダンは 絶対に! ぶっ殺す!
もちろん、被害者たちが神殿神子であろうがなかろうが、この国の生まれだろうが
最近行われた犯行だろうが、何年も前に、いや何十年も前に行われた犯行だろうがそれも関係ない!
この世界には時効なんていう "なまっちょろい" 制度 は存在しない!
この世界は日本のように "あまっちょろく" はない!
犯罪被害者よりも、
誰が決めたってかぁ? 決まってんだろう? 俺だよ! 当然だ!
この世界のルールは俺が決める! そして……誰にも絶対に文句は言わせねぇ!
「おい、ヨゼダン。 てめぇ、
御使い様を
「ひぃぃぃぃぃっ! し、知らなかったんです! まさか御使い様だとは!
ほ、ほほ、本当です! 本当に知らなかったんです!」
「知っているかいないかは関係ねぇな。 それに、誰であろうがやっちゃぁいけねぇことだろうが! このクソ野郎が!」
「……え? 獣人族は
あなたは本当に聖女シュフィーア様の部下ですか?」
しまった!
そう思った瞬間である。
「ヨゼダン・エグザス男爵っ!
「シュフィーア様! ははぁーーっ!」
聖女シュフィーアことシオンが転移で現れたのだ!
聖女シュフィーアの出現にヨゼダン男爵とその部下たちは
いつの間にか
ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……
「せ、聖女様だ! 聖女様がお
「ああ。やはりシン様は本物だったんだ。 本物の聖女様の部下だったんだな!」
「
シン! これはいったいどうしたことなんですか?」
「はい、聖女様。 実はこの者があろうことか御使い様を長年に渡り
「男爵! それは本当ですかっ!? だとしたら、ゆゆしきことですよ!」
「ち、違うんです! わ、私はただ国が
し、信じて下さい! まさか、御使い様だとは全く知りませんでした!
国法でも
「言い訳ですか?
我らが神の教えを、ニラモリア国内で広めるという大切なお役目をもってこの世に使わされた御使い様だというのに……
そのテラン様を、あなたは性奴隷にした上になぶり殺しにしたんですかっ!?」
聖女シュフィーアことシオンは
「ひぃぃぃぃぃっ! ほ、本当に知らなかったんです! どうかお許しを!」
聖女シュフィーアことシオンに念話で話しかける……
『シオン。"ならば神に
『承知しました。面白そうですね。うふふ』
<<全知師!
シオンがヤツの罪の有無を神に
5秒ほど待ってから、俺たちのいる場所の上空を
あ、それから音がゴロゴロと鳴るくれぇに
>>承知!
天候操作衛星を上空に転送……完了!
いつでも雷雲を生成可能です。 生成開始条件成立まで待機します。
『よし! シオン! やってくれ!』
シオンはこちらを見て小さく
「それでは男爵。 あなたに罪があるかないかを、我らが神に
天に
もしもこの者に罪があるということでしたら、どうか天罰を下したまえ……」
>>マスター。 雷雲を生成します。
すると……
ゴロゴロと
ヨゼダン男爵は
『さてと……それじゃぁ、軽めの落雷を一発お
ミニヨンを雷雲の中に転送して……と! ターゲットはヨゼダン男爵の右肩!
さあ、ミニヨン! ライトニング・ストライク(
『落雷』って
ハニーたちの前だからちょっと格好つけてしまったぜ。
ん? 攻撃神術『落雷』のイメージだけを伝えるんで、ミニヨンにはどんな言葉で命令しても関係なく通じるけど……
ハニーたちにも
カリカリカリ……ズッガァーーンッ!
ミニヨンに命令した直後、上空から落雷が!
雷は空間を切り
ヨゼダン男爵は落雷のショックで、その場から"数m"
まあ、こんなもんだな。
「て、てて、天罰が下ったぞ!
ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……
「や、やっぱり
「くわばら くわばら……」
んっ? 翻訳機能を通しているから分からないが……この世界にも『くわばら』と同じような意味の言葉があるんだな?
確か日本では、
こっちの言葉の『くわばら』ってのはどんな由来があるんだろう? 気になる。
「
神罰が下った今、ヨゼダン男爵には死をもって
……と言いたいところなんですが、領主がいきなりいなくなっては、
聖女シュフィーアことシオンはなかなかの
『シオン。ヤツは成敗しねぇのか? なんか納得できねぇな! ぶっ殺そうぜ!』
『
さすがに彼を
『そうか。残念だよ。俺たちが立ち去った後に
『は・は・は……け、結局は
『ああ。こんなクソ野郎は生かしておいちゃ世のためにならねぇからなぁ』
『な、なるほど……』
ざわざわざわ……ざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……
「なんと
「まだ話は終わっていません! 静かに!
ただし
衛兵たち、騒ぎを聞きつけて集まってきた町民たちが大きく何度も
「そりゃそうだわな、女神様の御使い様にひどいことをずっとしてきたんだから」
ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわ……ざわざわざわ……
「よって、この者からは、奴隷を所有する権利を
この町のすべての奴隷を解放してやろうと思っているので、これでは
ミニヨンに命じて誰もいない場所へもう一発雷を落とさせる!
カリカリカリ……ズバァーーンッ!
"うひゃぁぁぁーーっ!" "きゃぁぁぁぁぁぁぁーーっ!"
『シオン。神はこの町の奴隷すべてを解放しろと言っていると言ってくれ!』
『承知しました』
<<全知師。
この町にいる隷従の首輪をつけている者たちをすべてターゲット指定しろ!
>>承知!
ニシズネ内で隷従の首輪を身につけている者たちを検索……検索完了。
リストアップされた者たちをターゲット指定……完了!
この町の全奴隷のターゲット指定が完了しました。
<<ありがとう。
一度死んでいるから、テランは奴隷から解放されて対象外になっているな。よし!
「ああ……神様。 私の
皆の者! 我らが神はこの町の奴隷をすべて解放せよと
ただちにこの町のすべての奴隷たちをここへ集めよ!
そして、今後、この町では奴隷を
これもすべては、領主、ヨゼダンの
ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……
人々がざわめき出す。
衛兵たちは"奴隷"をここに連れてこようと考えたのであろう、この場を離れようとしている。 が、彼等に
確実にこの町の全奴隷をここに連れて来るには俺が自分で集めた方が早い。
"見えざる神の手"を上空に出して、全知師によってターゲット指定させたこの町の全奴隷をその上に転送する……
"おおーーっ!"
「な、なんだ! あれは!」
「ど、奴隷たちだよ! 奴隷たちが空に浮かんでいる!?」
「き、奇跡だ! 女神様の
奴隷は全部で82人だ。意外に少なかった。 しかもその内の74人がヨゼダンの私有地内にいた。
今俺たちがいるこの場所が、どうやらヨゼダン男爵の所有地内にある奴隷居住区のようで、74人の生命体反応はこの区域内にあったのだ。
ゆっくりと "見えざる神の手" に乗った奴隷たちを地上へと降ろすと……
人々は誰に言われることもなく奴隷たちが着地するための場所を
「ああ。我らが神よ! 衛兵たちの
聖女シュフィーアことシオンが天を見上げながら言うと人々も空を見上げる。
<<全知師。 雷雲を消して青空にしてくれ!
>>承知!
雷雲を消去します……消去完了!
「おお! 黒雲が消えていくぞ! 女神様のお
「ああ。これで俺たちも安心だ。
「まったくだ。 奴隷だって人間だからな。ひどいことをしちゃぁいけねぇとずっと思ってたんだよなぁ。
「ホントにだよ。 困ったもんだぜ」
「しっ! 殿様に聞かれたらどうするんだ! 殺されちまうぞ!」
「ははは。 あそこでのびているから大丈夫だろう」
人々の反応とはこんなものなんだろうなぁ……
ヨゼダンが人格者ならばこんなことは言われないんだろうが、ヤツの
「あっ! 見てみろよ! 奴隷たちの首輪が粉々になって消えていくぞ!?」
「お! 本当だ! これも女神様がなさったのだろうか?」
「多分そうだぜ。聖女様も、おつきの方もなにもなさっていないからなぁ」
「すげぇなぁ。生きている間にこんな奇跡を
「そうだよなぁ……」
実は、その"おつきの者"であるこの俺が、奴隷契約を
はてさて、奴隷たちを解放したのはいいのだが、このままここにおいてはいけないしなぁ。 どうしたものかなぁ……
すべてが獣人族の者たちである。 しかも、ヨゼダンの奴隷だった者たちはみんな若い女性だ。 俺たちが立ち去った後に彼女たちがなにをされるか分かったもんじゃない。 それがとても心配なのである。
だから、このままここに置いてはおけないと思ったのだ。
なんといっても、この国では獣人は差別の対象なのだから……。
そんなことを考えていると……
「……んん……ううう……」
どうやらヨゼダン男爵が意識を取り戻したようだ。
◇◇◇◇◇◇◆
「そ、そんなバカな! 今後一切奴隷を持てないというのか!?」
部下から
「お……おのれぇーーっ! もはやこれまでか……
たたっ切れ! 二人を
日本で見た
急にそのように言われたヨゼダン男爵の部下たちは、いったいどうしたらよいのか
その様子を見て聖女シュフィーアことシオンが
「先ほどの奇跡を
この手で
もう
ヨゼダン男爵をターゲット指定して心の中で『
ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い!
部下の者たちは、彼の絶叫を聞いて
シュフィーアはさらに言う……
「おお……我らが神が再びお
全知師に命じて再び雷雲を上空に出現させる……
ゴロゴロゴロゴロ……"ピカッ!"……ゴロゴロ……
あたりに雷鳴が響き渡る! ダメ押しだ!
それを聞いて衛兵たちは
衛兵隊長らしき男が俺たちと天をチラチラと、おっかなびっくり見ながら言う……
「わ、我々衛兵は、女神様に
全知師に命じて暗雲を払い再び青空にさせる……
「おお……女神様が
「ったくあのクソ領主め! 余計なことをしくさりやがって! 寿命が縮んだぜ」
「衛兵だけがやられるのならまだしも、こっちにまで"とばっちり"が来たらたまったもんじゃねぇもんなぁ!」
「ほんとだぜ! この町に住んでいるだけで神罰を受けたら、たまったもんじゃねぇよな!」
……わいわいガヤガヤ……
衛兵も町の人々も、元奴隷たちも聖女シュフィーアの次の言葉をじっと待つ……
「よかろう……男爵以外の者の罪は
だが、男爵は"おのれの罪"をもみ消すため、そして、奴隷たちを
彼の罪は非常に重い!
全員がすごい勢いで何度も
聖女シュフィーアことシオンが男爵に向けてサッと手をかざしながら唱える……
「修復!」
「はぁはぁ……はぁはぁ……い、痛いよ……あれ? 痛く…な・い?」
ざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……
「ああ。聖女様の奇跡だ!」
「ん? 違うだろ? 治癒魔法をかけただけじゃねぇのか?」
「イヤどう見ても奇跡だろうが!」
「そ、そうなのか?」
……わいわいガヤガヤ……わいわいガヤガヤ……
「判決を言い渡す!
ヨゼダン・エグザス男爵!
ご、獄門って……日本の江戸時代のような刑罰があるんだな?
「く、くっそう……私はなにも悪くはない! 合法なことしかやっていない!
国法で認められていることをしたまでだ! こんなのは不当だ!
死ねぇーーっ!」
ヨゼダンはそう叫ぶと……
腰に下げていたロングソードをぬきざま、聖女シュフィーアに
「「
スパパッ! ……グラン……ゴロン…………ブシューーッ!
この行動に
二人はもの凄い勢いでヨゼダンとシュフィーアの間に左右から
二人はクロスしながら、腰に下げた"オリハルコン製"のロングソードをぬきざまに水平に
ヨゼダンは言葉を発する間もなく3つに
スケさんが振り抜いた剣はヨゼダンの首をはね……
カクさんが振り抜いた剣はヤツの
「きゃぁっ!」「うわっ!」
ドサッ! 「おい! しっかりしろ!」
ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ……ざわざわざわ…………
目の前で展開された
見ていた女性のひとりが悲鳴を上げ、意識を失って倒れたぞ!
真っ青になってその場にうずくまる者たちが続出している!?
「あーあ。なんて
あんなのがウチらの領主だったなんてなぁ……」
「ホントだぜ! しかしエグいな! あの警備の女性剣士……すげぇなっ!」
「ああ。 あんなに
どうやら領主が成敗されたことを非難する者は誰もいないようだ。
ヨゼダン男爵というのは
◇◇◇◇◇◆◇
ヨゼダン男爵の
その者の魂の色は"青色"である。
その新しくニシズネ町を含む数カ所の町村の領主となった男に
82人の奴隷だった者たちに、テランたち母娘と、聖女シュフィーアことシオン、スケさん、カクさんを連れて俺は一旦ニラモリア国首都の中央神殿へと転移した。
"ニシズネ町"で奴隷にされていた者たちの面倒を見てもらい、彼女たちの身の振り方を決める手助けをしてもらえるように、神殿関係者に頼むためだ。
獣人族担当の管理助手シノと神殿の統括神官シーモアにはその旨、事前に連絡してある。
ニラモリア国の首都、ニラモウラにある中央神殿前、
シオンはシノの顔を見ると、泣きながらシノに
「シノ! ああ……またあなたに会えるなんて……ううう……」
「え? もしかして……シオン? あなた……シオンな・の?」
「ううう……ぐっすん……ええ、そうよ。
「まあ、かわいそうに……。でも魂が無事でよかった!
シオン教徒に
「何十年もの間、奴隷にされて
ダーリンがダンジョンに来て下さらなければ、
シノがシオンをギュッと
「つらかったねぇ、つらかったよねぇ……。助かってよかったね……うう……」
「「うわぁーーーん!」」
二人は感情が爆発したかのように
気が付くと俺は二人の
その感動的な再会シーンはもたらされた
「と、統括神官様! 大変です! ワッドランド大使がっ!
ワッドランド大使が、すごい
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