第0053話 拉致監禁
サイクロプス……それはひとつ目の巨人だ。
目は顔の左右の真ん中、
ターザンのような "腰みの" を身に
武器はこん棒。 それは岩でできているようだ。
サイクロプス……その
俺たちはサイクロプスがいる場所の近くの
他の
声を出すと気付かれる可能性がある。 だから、
『うわっ!
女性たち3人が、今まさにサイクロプスに
サイクロプスはどこもかしこもすべてが人よりも大きい……
当然ながらあそこも。 だから、襲われている女性たちが心配になった!
『あ! 大丈夫じゃないです! 早く助けましょう!』
女性たちは
『
早く助けないと! このままでは
サイクロプスたちのSTRは、おおよそ80といったところだ。
全員に念話で警告する……
『みんな聞いてくれ! サイクロプスたちのSTR値が高いぞ!
肉弾戦では不利だ! 神術かフェイザーで攻撃した方がいい!
多分、ヤツらは目が弱点だと思う! そこを
『"はいっ!"』(※全員が念話で返事をしたことを表す。)
『いいか、みんな! 女性たちを救出することが最優先だ!
サイクロプスを
それから、無理はしないように!
ダメだと思ったらすぐにこっちへ転移で逃げてこいよ!』
『"はいっ!"』
『よし! それじゃぁ救出作戦開始だ!』
『"おーっ!"』
『
ハニーたちを守ることが最優先だ!
『ソニアルフェは助け出した女性の治療を頼む』
『はいっ!』
『ラヴィッス、ミョリム、ヴォリルは女性を襲っていない3匹を始末しろ!
武器はフェイザー銃を使え! 出力レベルは
必要に応じて出力は調整してくれ!』
『『『はい!』』』
『俺は女性を
『"はいっ!"』
サイクロプスをいきなり殺すと、死亡直後のサイクロプスの身体が
女性の上に倒れ込んだりして、女性に大ダメージを与えかねない。
だからまずは女性たちからヤツらを
「おい! 今すぐ女性を離せ! このクソ野郎ども! てめぇらは俺がぶっ殺す!」
6匹すべてのサイクロプスが一瞬『ビクッ!』とした後、ヤツらの
女性を
「転送!……ソニアルフェ! 治療を頼む!」
凌辱されていた女性たち3人をソニアルフェのもとへと転送した!
これでもう思いっきりやれる!
そう思ったとき! ラヴィッスたちからフェイザー光線が放たれた!
これでサイクロプス3匹が片付いたぞ! と思ったのだが……
光線が向かった先にいたサイクロプスたちは3匹とも無傷だった!
平然としている!?
サイクロプスたちは、シールドを展開していたのだ!
ハニーたちから攻撃を
ハニーたちは
ハニーたちは全員が完全防御シールドを展開している。 サイクロプス程度の物理攻撃なら
残った3匹はこん棒で思いっきり、そして、必死に俺を
だが、シールドを展開しているのでコイツらの攻撃は
「ハニーたち! 落ち着け!
フェイザーの出力を6にして再び攻撃してみてくれ!」
「「「は、はいっ!」」」
出力レベル6で発射されたフェイザー光線でも、サイクロプスにダメージを与えられなかった。
「よし! ハニーたち!
「「「は、はいっ!」」」
「全知師! 敵のシールドを
>>承知!
分析が完了しました! シオン神聖国が使用しているものと
「やはりそうか! ハニーたちのフェイザー銃を、サイクロプスのシールド
>>承知!……対応可能です。 ただちに各フェイザー銃の調整を行います!
各フェイザー銃の基本システムと同時接続します……接続完了!
フェイザー銃の調整を行います…………………………調整完了!
これでフェイザー光線は敵のシールドを
『全ハニーたちに
フェイザー銃を調整して、敵のシールドを
これでフェイザー銃が使えるっ! サイクロプスどもをやっちまえっ!』
『”はいっ!"』
ラヴィッス、ミョリム、ヴォリルが、もう一度フェイザー銃を発射すると、今度は一瞬でサイクロプスたちを
<<全知師! 見事だ! フェイザー銃の調整は
>>いえ、どういたしまして。これくらいはお
ん? 全知師の受け答えに、ちょっと
俺の方は
ヤツらが持っているこん棒でガンガン殴られ続けているのだ。
まあ、シールドで防いでいるから当然無傷なんだがなぁ……気分は良くないっ!
サイクロプスたちは、俺に
俺に当たることを心配しているのだろう。
あれ? サイクロプスたちは俺を
ん? シールドを展開したままで
ヤツらは俺を殴るためにシールドを解除している?
完全防御シールドの中からは、シールド越しに物理攻撃ができないので……
バブシュッ! ブシュッ! ボブッ!
3匹とも、目玉どころか、頭が、
首の部分から
やはり思った通りだった! やつらはシールドを展開していなかった!
シオン神聖国が使っている"旧式のシールド"も、俺が展開する完全防御シールドと同じだ。 シールド越しの物理攻撃は不可能だ。
魔法攻撃の方は、シールド越しに放つことができるようだが、物理攻撃をするためには、シールドを
まぁ、あたりまえかぁ……俺たちのよりも古いタイプのシールドなんだもんなぁ。
『全ハニーたち! 敵が物理攻撃を仕掛けてきたときが攻撃のチャンスだ!
サイクロプスどもは、シールドを解除しないと物理攻撃ができない!
フェイザーが仲間にあたりそうで使えないような時は、ヤツらが
『"はいっ!"』
>>警告! 警告! 危険! 危険!
他の
サイクロプスの群れは、おおよそ5分後に到達予定!
第1班に3グループ、計17匹が……
第2班に2グループ、計11匹が向かっています!
どうやらサイクロプスは
攻撃を受けたサイクロプスが念話で助けを求めたようです。
敵は念話による
<<なにっ!? そうか、分かった! ありがとう、全知師!
『各班を守るミニヨンたちへ!
そちらへ別のサイクロプスの群れが向かっている! ただちに迎撃せよ!
攻撃にはフェイザー銃を使え! 出力レベルは6だ! やれっ!』
『各班に
第1班にサイクロプス17匹!
第2班に同11匹が向かっているとの情報あり!
ミニヨンに
『"はいっ!"』
『それから、ヤツらは
『"はいっ!"』
『なお、サイクロプスどもの
女性を救出後は、ただちにその場を
女性救出後は、ただちにその場を離脱せよ! ……以上だ!』
『"はいっ!"』
◇◇◇◇◇◇◇
シェリーから
『ダーリン!
『なに!? どういうことだ!?』
『はい。 サイクロプスがこん棒で二人を殴り飛ばし、二人は10mほど飛ばされて行ったのですが……』
ラフがシェリーの言葉に被せ気味に話し出す……
『そうなの! 二人は気絶してたんだけどね、サイクロプスを殲滅した後で、うちが二人を助けようとしたら、二人はいなくなっていたのよ』
シェリーとラフは二人が飛ばされるところは見ていたらしいが……
戦闘中だったこともあって、すぐに対応することはできなかったようだ。
ハニーたちを守らせていたミニヨンたちも、敵の
ユリコも翠玉もキャットスーツを着ているし、極薄シールドも展開していたようだから、まず、
恐らく、殴られて飛ばされる際に加わった強烈な
『あたしとラヴちゃんは女性を助けるので
『ええ。二人の姿が見えないなぁ…とは思っていたんだけど……』
ミューイとラヴは二人の
『それでね。 うちが、二人が倒れていたところを調べてみたんだけど、そしたら、そこに
『みんなで足跡を追ってみようかとも思ったのですが……まずは、ダーリンの指示を
こうしている間に、第1班の者たちが女性を連れて転移してきた。
こちらは全員無事だ。
シェリーたちに指示を出す。
『
『"はい。"』
ユリコと
◇◇◇◇◇◇◆
「ユリコさん。ユリコさん。 起きて!」
「ん……う、ううん……」
「ユリコさん」
「はっ!?…………こ、ここはどこ?……あ、
「どうやら、サイクロプスにこん
私たちは気を失ってしまったようですね。そして、
「監禁? えっ!? うそっ!?」
二人は
あたりは
その中には
『シン! 助けて! シンっ! 助けてよ! 聞こえないの?』
『…………』
シンからの
「
「え!?……そんなぁ。 どうしよう? ねぇ? どうしたらいいの?」
「ユリコさん、落ち着いて下さい。 まず装備のチェックをして下さい」
「え…ええ。分かったわ。 取り乱したりしてごめんなさい。えーと、装備は……」
ユリコは落ち着きを取り戻し、装備をチェックする……
「大丈夫よ。すべて正常だわ。
「私はティアラが
後は問題ないです」
「私の方は大丈夫だから、二人で
「ユリコさん。 それではまず、この
「そうね。フェイザー銃で
「はい。大丈夫だと思います。 もしかすると出力が高すぎるかも知れません」
「よし! ではフェイザー銃起動! 出力6にセット!
目標は前方の鉄格子! 発射!」
鉄格子は、まるで高温で熱せられたかのように一瞬真っ赤になった後、すぐに消滅した。
「で? どうする? この通路を右に進む? それとも左?」
◇◇◇◇◇◆◇
シェリー、ラフ、ラヴ、ミューイと被害者女性たちが合流したので、
ここは、360°
この場所に、俺とハニーたち用の
俺がここに
サイクロプスどもの
彼女たち用に設置したテントの中で休んでもらっている。
彼女たちの中には
彼女たちがいかに
また、希望する女性たちにはハニーたちが完全修復を
希望する女性たちと言ったが実は、
女心というヤツかな? いや、若返るのだから男性でも希望するだろうな。
実は、ハニーたち用の野営用テントとオークドゥのそれ、それぞれの地下にはもう1つ別のシールド発生装置が設置してある。
これは、被害者女性たちの中に敵が
俺がこの場を離れる以上、
「ダーリン、申し訳ありません。 私はリーダー失格です」
「シェリー。 お前さんは悪くねぇよ。 あの状況じゃぁ、しかたねぇさ」
「ですが……」
「くよくよするよりもな、次に同じようなことが起こった場合の
「は……い…」
「同じケースが起こった場合の対処法が見つかったら……
スパッ! と頭も気持ちも
もしも、
いいな。 マイナス
「はい。分かりました」
「それじゃぁ、ラフを呼んできてくれねぇか?
三人でもう一度、ユリコたちが連れ去られた現場を調べてみようぜ」
「はい。すぐに呼んできます」
シェリーは
責任感に押しつぶされなきゃいいのだが……。
◇◇◇◇◇◆◆
「しっ! 誰か来るわ!」
「ご、ゴブリン?……ここはゴブリンの
ユリコと
「ヤツらはフェイザー銃で
あたりはしんと
二人は警備のゴブリンどもが来た方へと進むことにした。
「ねぇ? どうする? 上、それとも下?」
「上へ行きましょう。
そのように
「な、なるほど。そうよね。 しかし……あなたは冷静ね? さすがクイーンだわ」
「いえ。それでは
◇◇◇◇◆◇◇
「全知師。 この
俺とシェリー、ラフはユリコと翠玉が飛ばされて倒れていた場所へとやって来た。
そこには複数の小さな足跡があって、峡谷の奥へと続いている。 足跡の数からは5匹の小型の魔物がいたことが
俺たちは残されている
>>この足跡はゴブリンのものです。 全部で5体分あります。
全知師との会話がシェリーとラフにも聞こえるように、彼女たちとの念話回線はオープンされている。
「そうか。それで……
シオン神聖国のシールドが張られていることも
>>承知しました。
上下階層も含めて探索を行いましたが、見つけることはできませんでした。
「なるほど……どこかに転移でもしたのか?
いや、俺たち以外には転移する権限を持たせていないからそれはありえないな」
>>ダンジョン内には、
このバイパスを通ることで、固定された2点間を、あたかも転移するかのように移動することが可能です。
ただし、移動できるのはダンジョン内に限られます。
「そんなものがあるのか!?
それじゃぁ、この周辺に亜空間バイパスの出入り口がないか探してくれ」
>>
足跡もその方向へと続いている。 どうやら間違いなさそうだな。
「しかし、全知師よ。 ダンジョンってのは一体何なんだ?
>>お答えします。
ダンジョンは、マスターによってこの世界の各地に、おおよそ1000カ所設置された、ヒューマノイドたちのためのレベルアップ用施設です。
本来はこの惑星の管理スタッフ向けの
マスターの指示で一部がこの惑星のヒューマノイドたちのレベルアップ用施設に変更されました。
「へっ? 俺が設置させたのか?
……それじゃぁ、このダンジョンの管理システムを、俺は
>>はい。可能です。
ただし、ダンジョンの管理システムに "管理者" としてアクセスするためには、プライマリーキーデータの
管理システムのアクセス
このダンジョンを
「それでは、ダンジョンマスターの部屋の
>>
ダンジョンマスターの部屋の
そのパスワードは、マスターとダンジョンマスターになった者が知っています。
俺には記憶がない……だから、直接転移することは不可能だ。
「座標照会用のパスワードを、ブルートフォースアタックで特定することはできないのか?
>>パスワード入力画面で3度入力を間違えると、二度と入力画面が表示されないようになっていますので、事実上不可能です。
「
パスワードをうろ
誰だ!? こんなシステムにしたのは!?」
>>マスター、あなたです!
は・は・は……やっぱりそうなのね。
ああ……
そうこうしている
出入り口らしきものは
「全知師。 この足跡を
>>はい。特になにもする必要はありません。 そのまま進んで下さい。
「分かった。それじゃぁ、ハニーたち! 自身に極薄シールドを展開してくれ!」
「「はいっ! 展開しました!」」
「よし! それでは行くぞ!」
「「はいっ!」」
シェリーが俺の左腕に自分の右腕を
ラフは俺の右腕に自分の左腕を絡ませてきた!?
亜空間バイパス内で離ればなれにならないようにとの考えなんだろう。
目の前には、そうだなぁ、地球のインドネシアにあるボロブドゥール
その寺院遺跡のような建造物全体が、シオン神聖国製のシールドで
このシールドのためにユリコたちは、転移で俺のもとへと逃げてくることができなかったのかも知れない。
……いた! ユリコと
マップ画面で彼女たちの存在を確認するとすぐに見つかった。
正面の、まるで寺院のような建物の地下1階に二人が一緒にいる。
彼女たちの近くには10名ほどのヒューマノイド女性の生命体反応もある。
だが! 女性たちに引っ付くようにゴブリンどもがいるようだ!?
ユリコたちもだが、女性たちも早く助けてやらねば!
しかし、この寺院の中にはすごい数のゴブリンがいる!
ここは、ゴブリンの
◇◇◇◇◆◇◆
ぎゃっ…ぎゃっ…うっ…う…ぎゃっ…ぎゃっ…ぎゃっ…うっ…う…
シクシク……シクシク……ううう……
ユリコと翠玉が階段を
その階からはゴブリンの声とヒューマノイド女性らしき声が!?
女性のすすり泣く声も聞こえてくる!?
ユリコと翠玉はそっと様子を見る……
この階も
ゴブリンどもに
ゴブリンという種族は基本的にオスのみが存在する。
ユリコと
二人は思わずゴブリンどもに
「翠玉さん! ゴブリンどもに女性たちが
ゴブリンどもに気付かれぬように、ユリコは小声で話す。
「敵の数が多すぎます。まずはここから脱出することを優先させませんか?」
「でも……放ってはおけないわ。 目の前で彼女たちが苦しんでいるのよ?」
「それでは、ユリコさんには彼女たちを助けるプランがあると?」
「うーん……そう言われると……」
「ここで騒ぎを起こしますとゴブリンどもに気付かれてしまいます。
まずはここを脱出して、後からダーリンと共に助けに来ましょう?」
「く、
「さあ、早く移動しましょう。 ここに長居しては見つかります。 さあ!」
ユリコたちが
ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーっ!
ゴブリンどもが大声を上げる!
ぎゃぁぎゃぁ言いながら、たくさんのゴブリンの
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