第0051話 転生者の秘密
俺たちが夕食の
恐らく……アキュラスは、生きたまま食われてしまったものと思われる。
今、"アキュラスホイホイ"の
アキュラスを食べたGのような虫型魔物は一旦巣へと戻ったようだが、俺たちが戻ってきた
しかし……一体どこにこれだけのGが
まあ、さっきと同じように、凍らせてから活火山の火口へぶち込むとするか!
「
さてと、これで
Gのようだが鋭い牙が生えている虫型魔物が一体どこから
そこで、ここと周辺を監視させていたミニヨンたちの記録映像を
あるミニヨンが記録した映像に、石の壁を
虫が出てきた穴は小さい。だから、スケルトンまでは通り抜けられないようだ。
俺はテントの中へと入り、食堂でハニーたちと話をしていたユリコとマルルカのもとへと向かう。魔物を閉じ込めた場所について聞くためだ。
彼女等の話では、魔物を閉じ込めた場所は全部で3カ所だった。
すぐにその場所へミニヨンを派遣して調べさせたのだが……
勇者ユリコによって魔物を封じ込めるために作られた壁は3カ所とも虫型魔物が通れるくらいの穴が開けられており、その中ではなにやらガチャガチャと音がしている!?
多分、音を出しているモノの正体はスケルトンだろう。その場から脱出しようと
ミニヨンは壁の向こうを念入りに調べるために壁を
ミニヨンはすかさず神術"
そんな光景が3カ所すべてで見られた。
どうやら、虫型魔物はすべて逃げ出してしまったようだ。
先ほど俺が倒したGたちが最後で、その他にはいないと思うが……念のために、マップ上で確認し、
これで
ひと息つくと、あたりが静かなだけに元はアキュラスだったスケルトンが
アキュラスはもう死んでいる!動いているのはあくまでもスケルトンだ!
そう今は単なる魔物だ!アキュラスの魂とは
アキュラスを生き返らせるかどうかに
「ガチャガチャとうるせぇヤツだな!ったく!……
ボォファッン!………………シーーーン……あたりは
一晩中ガチャガチャガチャガチャやられたんじゃあ、たまったもんじゃないから頭蓋骨を吹っ飛ばしてやったぜっ!
アキュラスを生き返らせるか否かの検討も含めて、すべては明日目が
◇◇◇◇◇◇◇
『ダーリン。起きている?さゆりです。……もう寝ちゃったかなぁ?』
さゆりからの念話だ。なにか緊急事態だろうか?
『いや。起きているぜ。どうした、さゆり?なんかあったのか?』
『うん。ついさっきなんだけどね、地球からメッセージが届いたんだ。
それでね、内容が内容なだけに
『そうか。色々気を使ってくれてありがとう。……それで、どんな内容なんだ?』
『あのね。今日ダーリンがね、勇者ユリコが橘ユリコさんだと思うが、でもなんか別人のように思えるようなことを言ってたでしょ?』
『ああ』
『そのことと関係があるかも知れない"ある事実"が明るみに出たんだよ』
『な、なに!?』
『あのね。今逃げ回っている女がいるでしょ?私の前任者』
『ん?見つかったのか?』
『うぅんうん、まだなんだけどね。
その逃亡中の前任者の部下がね、なんかねぇ……橘ユリコさんを転生させる前にとったらしいバックアップデータを隠し持っていたらしいんだよねー』
『バックアップデータ?……ということは、魂に手を加えたかも知れねぇのか?』
『さすがはダーリン!そうなのよ!魂に
『くそっ!なんてことをしやがったんだ!……で、どんな細工だ?』
『バックアップデータを隠し持っていたヤツの話だとボスから指示されてね……
転生後に再生成される
『えっ!?なんだって!そんなことをしたら……』
『そうなんだよ。人格が変わっちゃうかも知れないんだよ!
ああ……なんて事だ……ユリコ……。
『あ、それからこれが最も重要だと思うんだけど、そいつは元上司が指示していた
『えっ!?ユリコの転生先が分かったのかっ!?』
『うん!そう。分かったんだよ!
なんと!ダーリンの思った通りだった!やっぱりこの世界だったんだよ!
だからね、時期的に見ても勇者ユリコが橘ユリコさんに間違いないと思う。
どう?すごい情報でしょう!?』
『な、なんということだ……ああ……』
さゆりの話では……
その部下は、転生後に再生成される脳神経細胞ネットワークの元となるデータを
つまり、橘ユリコがこの世界に来てからも引き続き持ち続けていると思っている日本人だった前世の記憶と感情は、実は彼女本来のものではなくて書き換えられてしまったものなのだ。そう……彼女は別人になってしまったようなものである。
その部下というヤツは優秀な技術者なのだろうと思う。
その作業をする前に、ミスなどによってデータが
俺は見たこともないその部下というヤツに、心から感謝の
クソ上司の下には、
その部下は、元上司であり、今は逃亡中の身である元日本担当者が
どうやらそのクソ上司は自身の
逃亡前に上司は、まるで
『壱石振一郎め!お前のせいだ!絶対に
と、ブツブツと
だから、その部下は元上司の最後の仕事である、『シオン神聖国への転生用魂の送付』によってこの世界に送り込まれてきた転生者……
つまり、シオン神聖国からの
そいつらは、俺になんらかの
アキュラスが、まるで俺のことを
それにしても……
橘ユリコが本来の彼女ではないと知ってなんかホッとした。
『さゆり……本当に…本当にありがとうな!心から礼を言うぜ』
『ふう~。すぐに知らせてよかった! 夜も遅いから、すっごく迷ったんだよね!
でも、ダーリンの気持ちを考えたらさあ、すぐにでも知らせなきゃだめなような気がしたもんだからね……』
彼女の気持ちがとても
心の底からの感謝と、たまらない
『ああ……本当に、本当にありがとう!ハニー!大好きだぜ!』
『うふふ。て、照れるなぁ~。うふっ。私もよ!ダーリン。
あっ、そうそう、それでね。日本担当者の子から、橘ユリコさんのバックアップデータが必要なら送るって言われたんで、送ってくれるように頼んじゃったけど?
それでよかったよね?』
『さゆりは"ほんとーうにっ!"よく気が付くいい子だな!
ありがとう!心の底から愛しているぜ!』
『でへへぇ~』
橘ユリコのバックアップデータは、明日にもさゆりのもとへと届けられるということであった。
さゆりは本当にいい子だな。心が
俺は改めて……いや今まで以上にこの"さゆり"という女性が好きになった。
◇◇◇◇◇◇◆
「それじゃぁ、シン。私に転生をやり直せっていうの?」
「そんな
一夜明けて、朝食の席でのことだ。
俺は、昨日さゆりから聞いた事実を、勇者ユリコに
「私を殺す?本来の私に
「いや、ユリコ。よく考えてみろよ。再転生ってことになると一旦今のお前さんを構成している情報をすべて消去することになる。
そうだなぁ……PCのリカバリのようなもんだよ。リカバリする時点までに生成されてきた貴重なデータがすべて消えちまうんだ。それはつまり、今のお前さんの死を意味することになる。そうだろ?」
「リカバリってなあに?」
そうかっ!ユリコは日本では何十年も前に亡くなったんだった!
まだ一般にPCが
そういえばあの頃、3.5インチフロッピーディスクドライブ
あの当時は、まだフロッピーディスクドライブは主流じゃなくて、プログラムやデータは音データ化してカセットテープ等に保存していた時代だ。
ちなみに……データが保存されたカセットテープを再生すると"ピーヒョロロ"というような音がする。
そうだよなぁ、あの時代に亡くなったユリコには分かるわけはないよなぁ……。
「そ、それは忘れてくれ。お前さんが亡くなってから一般に普及したパーソナル・コンピュータに関する用語なんだ。ごめん。
そうだな、再転生させるってことは、大事な音楽が入っているカセットテープに
「シン。あなたは優しいのね。あなたが愛した"かつての私"じゃなくて"今の私"の方を生かしてくれるんだね?……でも、そうなると、"あなたが愛した私"は死んだままってことになるのね?」
「いや。かつてのお前さんも助けるぜ」
「ニセ者の私だけじゃなくて、本物も助けられるの?」
「おいっ!ユリコ!自分のことをニセ者だなんて言うな!
お前さんはもう生命体として独立した一個の存在だ!ニセ者なんかじゃねぇ!
お前さんもれっきとした本物なんだよっ!
いいかっ!もう絶対に……二度と自分をニセ者って言うなよ!」
「分かったわ。だからそんなに怒らないで。でも嬉しいわ、そう言ってくれて」
「でもどうやって助けるんですかぁ?
「マルルカよ。
ユリコの
「マルルカ。本物の神である俺にはそれをやれる力と
お前さんが信じているニセ者の女神には無理だがな…って、そもそも女神シオン自体が存在しねぇけどな!」
「ねぇ、シン。同じ人間が二人、同じ世界に共に存在できるものなの?」
「うーんとなぁ……ひとつの魂を二重起動するというか、複数の肉体に結びつけてこの世に存在させることはできねぇし、できたとしても、それは禁止されている。
だが、お前さんの魂はもう日本で生きていた頃のユリコとは全くの別人になっているから、バックアップデータからそのまま
「でも、魂自体は私が使っているし、肉体もバックアップデータ用に必要なんじゃないの?私を二重人格にするつもりではないんでしょ?」
「もちろん。身体を共有させることなんてしねぇよ。別の身体を用意するし、魂も
別に用意するつもりだ」
「えーっ!?そんなことができるんですかぁ?信じられなーい!」
「だ・か・らっ!俺はこの世界の神だっつうのっ!
今のユリコの肉体だって本来は俺の助手を作るために用意されていた特別な肉体なんだからなっ! 助手のシオンが勝手に俺の所から持ち出したものなんだぞ!
新たに別の肉体を作るなんざわけねぇことだ!」
「ふう~ん。シン。あたなは、この身体も俺のモノだっていうの?」
「いや。そんなことは言わねぇよ。返せなんて言わねぇから安心しろ」
「あなたのハーレムメンバーに無理矢理入れられて、おもちゃにされるかと思って心配しちゃったわ。ハーレムメンバーになるなんて真っ平ごめんだからね!?」
「かつてのユリコとお前さんとの違いはなぁ……俺に対する感情が消されちまっていることと、ハーレムへの強い忌避感が植え付けられたことなんだ。
だから、そう考えるのも無理はねぇけど……心外だなぁ。
俺はそんなことはしねぇよ、絶対になっ!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!今
「ん? 俺、なんか言ったか?」
「はい。助手のシオンって……女神シオン様はあなたの助手だったんですか?」
俺はちょっとだけ
マルルカは青くなって
「いいか。ひとつ教えておいてやろう……。
俺の助手だったシオンは、シオン神聖国に
俺が一気にあの国を
本当なら今すぐにでもあの国をこの星から"完・全・に!"消し去ってやりてぇんだがなぁ……今はそれをグッと
「ひぃっ!」
マルルカが
「いいか、マルルカ。今言ったことは絶対に他には言うなよ?いいな!?
言ったらお前さん……多分、シオン神聖国に
ヤツらが女神と
「は…い……でも……」
「……マルルカ。これ以上聞くと、お前さんは
「は…い」
「勇者ユリコ。お前さんもだ。いいな?」
「大丈夫。それくらい分かってるって。それに……もうシオン神聖国へは戻らないつもりよ。シン、嫌かも知れないけど、あなたの
あ、でもハーレムメンバーになるって意味じゃないからね!
そこは
「ああ。分かってるって。お前さんの好きにすればいいさ」
「それじゃあ、私も勇者様とご一緒します。いいですね、シン?」
「ああ。お前さんも好きにすればいいさ。
ただしなぁ……今後、俺のことを"邪神"と呼ぶのは"なし"だぞっ!いいな?」
「わ、分かりましたよ!これからはシンと呼びますよ!」
「それで……もうひとりの私をこの世界に転生させるのは
「いや。今日中にはバックアップデータが届くから、また
「ふう~ん、そうなの。でもなんか、双子の妹ができるようで楽しみだわね。
早く会いたいわ」
「俺もだ!俺が愛したユリコに早く会いてぇよ!
「私じゃダメってことなのね?失礼しちゃうわ」
「だってお前さんは俺のことを
「あ、あなたのことは……
「いい気になってなんかいねぇ!って、これは議論が平行線になるパターンだし、
やっぱり、こっちのユリコとはどうも
◇◇◇◇◇◆◇
「ゆ、ユリコ……
「ええ。間違いないわ。亜輝良よ!亜輝良にレイプされそうに……うう……」
勇者ユリコの顔が真っ青になる。そして、ガタガタと震え出したのだ。
「
「わ、私もここにいるわ。この男をあなたが
「多分、俺がこれからすることは、見ていてあんまり気分がいいもんじゃぁねぇと思うぞ?それでもいいのか?」
「ええ。本当なら私が
アキュラスを復活させて
そうだ、
クソ野郎アキュラスの正体がとんでもないクソ野郎、鬼島亜輝良である可能性も考えてはいたのだが、まさか本当にそうだとは驚きだ!
これは
現在逃亡中である地球の管理助手だった元日本担当者が、俺への嫌がらせで魂の
願ってもない
これでユリコの
「こんな身近にいただなんて……ホント、ゾッとするわ!」
「そうだな。魂の履歴を見ると、コイツはお前さんのパーティーメンバーを自分のハーレムメンバーにするつもりだったようだぜ。
「ほ、ほんと。あなたに出会えてよかったわ」
「やはりコイツは、逃亡中の地球の元日本担当者から、俺に嫌がらせをするように言われている。
それも神殿関係の女性たちを
コイツも許せんが、逃亡中の元日本担当者も絶対に許さん!くそっ!
そいつは一体どこにいやがるんだ!」
「この男は女の
「最後だけは決めてあるんだがな。アマゾネス・オークの
だが、それまで、どうやって苦しめようか
「この男の奴隷にされていたあなたのハニーたちにも
「彼女たちが望めば……だがな」
「そう。優しい女性たちだから、復讐はできないかもね?」
「ああ」
アマゾネス・オークには、人族のクソ野郎を送るから受け入れ準備をしてくれと
それでは、
「修復!……そして、蘇生!」
アキュラスこと
◇◇◇◇◇◆◆
「……う、うう……ん?……はっ!?」
「よう。鬼神!久しぶりだなぁ?」
「な、なぜお前が転生前の名前を知っているんだ?くそっ!う、動けない!?なぜ動けないんだっ!?」
鬼神よ……お前が動けないのは"見えざる神の手"で
「分からねぇか?俺だよ、俺!」
「し、知らねぇよ。そんなオレオレ
「俺だ。
「な、なに!?シン?……お、お前もこっちに転生して来たのかっ!?」
「いいや。俺は転生者なんかじゃねぇよ。ここが俺の世界だ。
地球へは、ちょいと遊びに行っていただけだ。
俺が日本人やってたときは"大変世話になった"なぁ。
今回のてめぇの
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!痛い!痛い!痛い!……」
「修復!」
「はぁはぁはぁ……お、俺がなにをしたってんだ!?」
「はあぁっ!?よくもまあぬけぬけとっ!それじゃぁ言って聞かせようか!?
ひとお~つ!ユリコを
ふた~つ!
みぃ~つ!俺に思いを
よぉつぅっ!その無理矢理性奴隷した女性たちを、てめぇらが逃げ延びるための
いつつぅっ!勇者ユリコとヴォリルだけを残してボス部屋から逃げたこと。
むっつぅっ!聖女マルルカを凌辱しようとしたこと。
どうだ?全くてめぇは……とんでもねぇクソ野郎だよなぁ?
そうだよ、忘れてた!てめぇたち父子は親父の権力を使ってユリコ殺害の真相に近づいた刑事までも殺していやがるよなぁ?」
「な、なんのことだか全く分からないな……い、言いがかりはよしてくれっ!」
ヤツが犯した数々の犯罪行為を、空中に映像を投影して見せてやった。
もちろん、それはヤツの魂の履歴に記録されていたものだ。
ヤツの恋人、
ユリコ事件で、鬼神を
「よくもまぁこれだけの
「ま、待ってくれよ!お、俺は悪くない!
ユリコのことも……あ、あの女の方から
本当だ! お前は
「お~い、ユリコや。こう言っているぞ?どうする?」
「なっ!?デタラメばっかり!ぜっ!たいにっ!ゆる・せ・ないっ!四肢粉砕!」
「ぎゃあああぁぁっ!う、
「よ、よくもぬけぬけと!あなただけは絶対に!絶対に
あまりの
◇◇◇◇◆◇◇
「お…俺が悪かったよぉ……た、頼むよぉ……た、助けてくれ……」
アキュラスこと鬼神は、俺とユリコから
ユリコにとっては攻撃神術のいい練習台となっているようだ。
彼女は
マルルカ、ラヴィッス、ミョリム、ヴォリルは、最初は
アキュラスこと鬼神は何度か激痛に
簡単に殺してしまうような『ご
「う……うう……こ、殺してくれぇ……もう楽にしてくれよぉ……」
「てめぇは考えが
ユリコの
アキュラスが、
俺はユリコを敵に回すのだけは絶対にしてはいけないと思ったのだった……。
◇◇◇◇◆◇◆
「どうだ?ユリコ。もう気は済んだかな?
そろそろアマゾネス・オークの
「ええ。気が済んだわ。本当は私の手でこの男の息の根を止めたいところだけど。
それじゃぁ凌辱される者の苦しみとかを、この男に味わわせられないからね?
だから後はお願い。シン!無理矢理奴隷にされた子たちのためにも、絶対に思い知らせてやってね!」
「ああ。分かった。修復!」
アキュラスはユリコが言った『気が済んだわ』という言葉を聞いて、これでもう苦痛から解放されるんだ!……というようなホッとした表情を一瞬浮かべた。
だが、その後の俺たちの会話を聞くや、ガタガタと震え出す。
「おいおい……ははは。まさかもう
お前の大好きな、うはうはサービスが待っているぜ!お楽しみはこれからだ!
さてと……アキュラスこと鬼神亜輝良!
判決理由は……知っての通りだ!クソ野郎!だから省略! 抵抗は無意味だ!
凌辱される者の気持ちを…女性たちが味わった苦痛をたっぷりと味わいながら、生きたまま食われて死んでこい!! 以上だ!」
「はぁはぁはぁ……ま、待って…く…れよぉ……たす…けて……」
「……転送!」
こうして、鬼畜、アキュラスこと鬼神亜輝良は、アマゾネス・オークの生け贄にされるために転送されていった。ただ……
ヤツの苦しみはアマゾネス・オークたちに食われて終わるわけではない。
当然、"
だから、ヤツに待っているのは地獄だ。たっぷりと地獄の苦しみを味わいながら消えてしまうことになるだろう。魂もボロボロにされてから消え去るのだ!
◇◇◇◇◆◆◇
テントの中からこちらの
そういえば、アマゾネス・オーク・クイーンは名前持ちなのかな?
もしも、いつも世話になっているクイーンが名前を持っていないのに、
不公平だ。それではクイーンに大変申し訳ない……と、ふと思ったのだ。
俺は
『もしもし、クイーン。ちょっといいか?』
『はい、もしもし。上様。なんでしょうか?』
『付かぬ事を聞くが……お前さんは名前持ちか?』
『え?』
『急にごめんな。お前さんには名前があるのかなぁ?と、ふと思ってな』
『残念ながら、名前持ちではありません』
『そうか。それじゃぁ、お前さんさえよかったら、俺に名前を付けさせてくれねぇかなぁ?どうだ?』
『ありがたきお言葉!
『そ、そうか!それじゃぁ、今からそっちへ行ってもいいか?』
『あ、はい……い、いえ。すみません。ちょっと準備が……』
『そうか。では、準備ができたら言ってくれ。それじゃぁな!』
『は、はいっ!申し訳ありません』
◇◇◇◇◆◆◆
アマゾネス・オーク・クイーンの準備が整ったとの連絡が入った。
それで、彼女のもとへと転移したのだが、一瞬
アマゾネス・オークの女王ということなので、ぶよぶよ体型のオークが女装しているかのような女性をイメージしていたのだが……まったく違った!
出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる、
素晴らしいプロポーションだ!しかも、すごい美人だった!
肌の色は緑色……ものすごい美女だ!
「ど、どうされましたか?上様?」
「いやなに……お前さんがすげぇ美人なんで、思わず見とれてしまったんだよ」
「上様はお優しいですね。こんなガリガリで
「どこがっ!?お前さんは自分のことが分かっちゃいねぇぞっ!すげぇ美人だぜ!クラクラしちまうくらいの美人だ!
「お上手ですね。でも……ありがとうございます」
後で聞いてみたところ、どうやらアマゾネス・オークの美の基準ではふくよかな女性が美しいらしい。
そして、鼻が大きくて上を向いている方がより美人だということだった。
だから、その基準に照らすと、クイーンは
"うぎゃああああっ!いやだぁーーっ!"
どこからか男の
「それじゃぁ、早速お前さんに名前を
「いえ。上様にお付けいただけるのなら、どんな名前でも嬉しゅうございます」
「そうか……それでは!命名する!今日からお前さんは『
「ははっ!ありがたき幸せでございます。……うう……ああ…ああんっ!ち、力が全身に……みなぎってきますっ!!」
さて、この子も進化したかな?……ステータスを確認っと……
おおっ!ロイヤル・アマゾネス・オークに進化したぞ!
「
今までよりもかなり強くなっているはずだからな、
「ははっ!承知しました!
進化したら、もう
「いやぁしかし翠玉、お前さんはすげぇ美人だよなぁ!
「ほ、本当にそう思っていらっしゃいますか?」
「もちろん!お前さんたちアマゾネス・オークの美的感覚は分からねぇが、恐らく世界中の男どもがお前さんには
自信を持て!俺が保証してやるぞ!」
翠玉はもじもじしながら
「あのう……上様。私は生まれてから
「ん?」
「上様のお供をしてはだめでしょうか?私を……上様と一緒に連れてっていただけませんでしょうか?」
なるほど。オークドゥと同じように世間知らずってことか。
オークドゥに許可しているのに翠玉はダメだというのは、敵対関係にある両者であるだけにマズいかもなぁ……。
「よし!分かった!お前さんを連れて行ってやろう!俺の仲間になってくれ!」
「はい!ありがとうございます!」
「ただし、人族ってのは、とかく自分たちと異なる者を差別したがる傾向があってなぁ。今のお前さんの
「はい。それで
「よし、それではお前さんの肌の色を変えて……お前さんを俺の嫁さんたちと同じように加護しよう。
今俺たちはダンジョンを攻略中でな、今のお前さんの格好では、ダンジョン内を進むにはちょっと
だけど、俺は気に入っているんだけど、嫁さんたちは
「はい。私も上様のお嫁さんの一員なのですねっ!?嬉しいです!」
「い、いや。違うって!
ダンジョン攻略パーティーのメンバーになってもらうだけだって!
勘違いするなよ!?」
な~んか翠玉が肩を落として、がっかりしているなぁ?
「そうですかぁ……な~んだ。
でも…きっとチャンスはありますね。 がんばろう! ごにょごにょ……」
「ん?なんか言ったか?」
「い、いえ!なにも!あはははは」
これはどうもいつものパターンじゃないのかぁ?ついに俺は、魔物まで嫁にすることになるんだろうか?
まあ……こんな美人の魔物だったらウエルカムなんだけどね……ふぅ。
しかし……俺っていつからこうなっちまったんだ?
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