第0007話 スケさんの苦悩
風呂での
食堂では既にみんなが待っていた。
あー。シオリと俺の名誉のためにも言っておくが……
もちろん、風呂ではあの後何もなかったよ。 当然だ!
俺は理性が強いのだ! 『理性がスーツを着て歩いているような』男なのだ!
まぁ、今はスーツじゃなくて、魔導士が着るような黒のローブのようなものを着ているから『理性が黒いローブを着て歩いているような』男なのだが!
ん? 黒いローブだとなんか理性がグダグダに弱いように思えるよな?
ま、いいっか!
「みんな。 遅くなってすまん。 先に始めてくれても良かったんだぜ?」
「さすがに、シンさんとシオリさんがいらっしゃらないのに先に食事を始めることはできません」
みんなは『その
みんなには、バイキングプレートには自分の好きな食べ物を……
そして、グラスには自分の好きな飲み物を
……みんなが席に着いたようなので、
「それじゃぁ~、
そうだな。 まずはこうしてみんなに出会えたこと……
そして、色々あったが、みんながこうして無事であることを
かんぱぁーーいっ!」
あ!?
みんなが
やっぱりこの世界でも乾杯はするんだ…な? ふぅ、良かった!
「さぁみんな! 食べるものはたくあんあるから、
みんなと
みんなも楽しそうな笑顔を見せている……。
◇◇◇◇◇◇◇
食事を始めてそろそろ2時間になる。
明日のこともあるし……
にぎやかで、楽しいひとときも、そろそろ終わりにしなければならない。
このまま永遠にこの時を楽しみたい…という思いを振り払って……
『そろそろお開きにしよう』と
人とこんなに楽しい食事をしたのは何十年ぶりだろうか……。
そもそも、他人と一緒に食事をするなんて、強制参加させられていた会社の
強制参加の忘年会……
いつも
ん? みんなの顔にもなんとなく
夕食のだんらんが、きっと楽しかったからなんだろうな。 良かった。
みんなが食堂から
ソリテアを含む数名の神子が手伝いを申し出た。 こういったところからも性格を
とかく、こういった行動を見ただけで単純に人の性格を決めつける人間は多い。
特にそういった決めつけ人間は、『手伝わなかったから気の利かないヤツだ』と、
手伝おうとしなかった子たちの性格が悪いと、
それが分からない "
まぁ日本人として生きた俺の記憶によれば……なんだがな。
でも! 俺は決してそんな単細胞思考はしない!
手伝いたい気持ちがあっても言葉にできない子もいるかも知れない。
手伝うという発想すらできない子も中にはいるかも知れないんだが……
それが悪いというものでもないだろう。
この件で俺が
"ソリテアたち数名は気が利く性格であるように思われる"ということだけである。
単にあるひとつのデータが取れたにしか
俺ひとりだけで
正確にはレプリケーターの機能を使って、モノを作り出すのとは逆のことを行うのだが、実際に行うのはターゲットを指定して"分子・原子レベルに分解せよ"と念じるだけなのだ!
レプリケーターという"機械"を
ということで、1カ所に食器を集めてもらっても、実はターゲット指定が少々楽になるくらいである。
だから、"好意を無にしないためだけ"に手伝いをお願いした…と言っても
手伝いの神子たちは目の前で一瞬にして食器類が消えるのを見て、あんぐりと口を開けて驚いている? かわいらしいな。 ははは。
……そして、
「手伝ってくれてありがとうな! 助かったぜ! 気が
手伝いをしてくれた
みんな。ありがとうな。
◇◇◇◇◇◇◆
食堂の
そろそろ寝ようかと思ってベッドに寝転ぶと……
"トントン"とドアをノックする音がする?
「はい」
返事をしてからドアのところまで行きドアを開けると……
そこには目にいっぱい涙を
「どうしたスケさん? なんかあったのか?」
「し、シンさん、助けて……」
スケさんは
彼女の目からはハラハラと涙が
「どうしたんだい? まぁ、ここではなんだから……中に入ってくれ」
もう夜も遅い時間だ。こんな時間に女性とふたりっきりで部屋にいるのはどうかと思い、ドアは開けておくように言った。 すると……
「す、すみません……できれば他の人には聞かれたくないので……」
「そうか、そういうことならドアは閉めた方がいいか?」
ちょっと
ドアを閉めて振り返ると……
スケさんはベッドの左端に
「大丈夫か……どうした?」
「わ、私…
「そんなことはない!
「洗っても、洗っても……
からだじゅうにゴブリンの
スケリフィは
「もう私は
つらいです……。 眠ろうとしてもあのときの夢を見て…眠れないんです……」
スケさんは両手で顔を
思わず俺はスケさんを
胸の奥がギュッと
「かわいそうに……
ごめんな。 俺がもう少し早く
記憶を消してやった方がいいのかも知れない……。
「……どうする? つらい記憶を消そうか?」
「記憶を消すのは怖いんです。 私が変わってしまうようで……。
それにゴブリンに負けてしまうように思えてしまって……」
俺は言葉を失う。 記憶を消してやった方がいいように思えてしかたない。
「シンさん……私を……私を
えっ!?
「あの
シンさんが私を……私を改めてちゃんと "女" にして下さいませんか?
は、初めてがゴブリンだなんて嫌なんです! つらいんです……た、助けて……」
彼女の体はちゃんとゴブリンに襲われる前の状態に戻っている。"生娘"に……。
だが、やはり心の傷は
「
スケさんが大切だからそんなことはできねぇんだよ。 大切だからこそな」
「うう……。大切だなんて嘘!
やはりシンさんもゴブリンに
「
俺から離れようとした彼女に両手を伸ばして、さっきよりも強く"ギュッ!"と抱きしめる!
「スケさんを
汚くなんかねぇっ! スケさんはものすごく
「……なら…お願いです。 私を
スケさんは俺の胸でシクシクと泣いている。
スケさんがこんなつらい目に
その怒りはクズ野郎だけに対するものではないぞ! シオン教に対してもだ!
彼女を
ターゲットに彼女を指定してイベントページをアクティブにしてから……
夢に関するイベントを捜す。
夢を見始めた時に発生するイベントがあったので、それを選択した。
選択すると、イベントハンドラを記述するための"イベントハンドラ・エディタ"が起動してくる。その中にイベント発生時に
どんなコードを記述したものか……と
『ゴブリンが夢に出てきたら』
というのを条件として、それ以降の夢を……
『
というイメージに置き換えるようにプログラミングすることにした。
ごく簡単なコードだが、
また思考状態変化イベントで、ネガティブ思考発生をフックし……、
『スケリフィがゴブリンによって
『その思考すべてをネグレクト(無視)する……』
というプログラミングもしておく!
ネガティブな思考も時には"有効"となるので、すべての"ネガティブ思考"をネグるようなことはしない。
『すまん、スケさん
リビルドをかけた……成功だ!
ん? システムのリブートが必要かぁ……何とかして、スケさんをベッドに寝かせないとな。
イベント等を編集していたために、スケリフィの『
「スケさんは俺にとって、とても大切な人なんだよ。
だからこそ、そう簡単に
「……」
「ひとりで寝るのが不安なら、もしスケさんが
俺が
俺はとにかく
スケさんはコクリと
スケさんをお姫様だっこして、ベッドの上にそっと寝かせ、ベッドを回り込んで、彼女の
ベッドを上から見てスケさんが左、俺が右に寝ていることになる。
スケさんが俺の方に横向きになり……
両手を胸の前で組んで俺の方に引っ付いてくる!?
それで俺も横向きとなり、彼女と向かい合うと、彼女をギュッと
俺の右腕の
右手は彼女の腰のあたりに
こうしてベッドの上に寝ていてくれればリブートにより意識を失っても安心なので、この状態のまま俺は彼女のシステムをリブートした。
リブート完了のメッセージが流れたが、彼女は"スヤスヤ"と
彼女の寝顔を見ながら、俺は彼女がとても
彼女が
◇◇◇◇◇◆◇
スケさんは眠りについた時と、ほとんど変わらない姿勢でまだ眠っている。
とても
スケリフィはよく眠れたようだな……よかった。
スケさんを起こさないように気をつけながら……
スケさんの
右腕全体がシビれてきた!
ジンジンしてきた……なんか笑えてくるような痛み?だ……
『絶対に
だが、そう思ったことでフラグが立ってしまったようだ。
スケさんが体を動かした瞬間! 彼女の手が俺が今絶対に触って欲しくない右腕に触れた!
「ひゃっふぉぉぉい~!」
思わず声が出てしまった! 直後、な~んか笑えてくる……。
スケさんを起こしてはいけない!
だから震えながら、声を立てないように静かに笑う。
「……ん…ん? あれ? シンさん、おはようございます……?」
「ああ、おはよう。 どうだい? 少しは眠れたかい?」
「はい。シンさんの隣で安心できました。 ぐっすりと眠れました。
ありがとうございます」
「なんのなんの! これしきはお
また眠れなくなったら
俺は精神年齢上も、気持ちの上でもスケさんの
ん? うら若き
俺がスケさんに
変な誤解を招かないか? スケさんにとってマイナスにならないだろうか??
まあ、イベントハンドラを
まぁ、いいっかぁ!
「あのなスケさん、話を
人に話すだけでも少しは気が楽になるってもんだ……いいな?」
「はい……ありがとうございます」
スケさんは
本当にこういったケースではどう
◇◇◇◇◇◆◆
朝食はフレンチトーストと紅茶を人数分用意した。
リラックスムードの中で、みんなでの~んびりと談笑しながら、朝のひとときをたっぷりと楽しんだ。
食事中、俺はスケさんのことが気になって
彼女も朝食を楽しんでいるように見える。
こんなに楽しく
最近は朝食をとったことすらなかったからなぁ……。
ひと息ついたところでみんなには旅の準備をしてくるように
昨夜の夕食後に
食堂の片付けを終えてから手伝ってくれた子たちも、旅の準備をするために自室へ向かった。
俺はロビーでみんなが出てくるのを待つ。
すると、最初に現れたのは神子のインガであった。
美しい金髪ショートヘアを頭の真ん中より右側で七三に分けている。
ボーイッシュでかっこいい美人だ!
「インガ、忘れ物はないな?
まぁ、このテントの中に忘れたとしても、テントごと亜空間倉庫に保管されるだけなんで、全く問題はねぇんだけどな」
「はい。大丈夫です」
インガはハキハキとした口調で答える。
「シンさんももう
「ああ。
ところで、インガの実家も農家なのか?」
「いえ……私は
ですから、両親の記憶は全くありません。
統括神官様が父親で、その奥さまが母親代わりになって下さって………………
わ、私を大切に育てて下さいました」
「すまん……
「いえ!
私は今とても幸せなんですから!」
「ホント、いい人たちに育てられたんだな。
美人であるばかりか、魂までがとても
「いえいえ……えーと? 魂が
「ああ、お前さんも神眼が使えるようになったから見えるだろうけど……
お前さんの魂の色は"スカイブルー"。 その色は最も綺麗な魂を表す色なんだぜ」
と、そこへ
「まぁ! 仲のおよろしいことですわね! 少し
「おぅ! ヘルガ! お前さんももう準備はできたのか?」
「はい! バッチリですわ!
「おい! お前さんはバッチグーを知っているのか!? ひょっとして転生者か?」
「てんせいしゃ? なんですの? それ? ……始めて聞きましたわ?」
「いや……なんでもない。 じゃなんで "バッチグー" を知っている?」
「あらあら。聞きましたのですわ、ソリテアから。 ぜ・ん・ぶ……ね。 うふふ」
「アア……キイタノ カ……ハ・ハ・ハ」
ヘルガの髪はソリテアの髪よりも明るい色をした、美しいレディッシュヘアをしている。
ヘルガはソリテアとは対照的に、ゆるやかなウエーブがかかった肩まである美しい赤髪に自信を持っているようだ。
彼女のいたずらっぽい笑顔はとても魅力的だ!
「そうだ、インガとヘルガ、神眼でお互いのカーソルの色を見てみな?」
「「カーソルの色ですか?」」
「ああ、何色に見える?」
「ヘルガの色は……"スカイブルー"?というのでしょうか……
「インガの色も"スカイブルー"ですわね」
「その色はな……魂が最も
お前さんたちの心がとても綺麗な証拠だな」
「なんかそう
とヘルガが答えた。
インガの方はにこにこしている。
「逆にな、赤い色から赤黒い色、最も悪い奴は、黒色なんだけど、そういった色のターゲットカーソルをしているやつには十分注意しろよ!? 相当悪い奴だからな。
人殺しなんざなんとも思わねぇヤツだからな!」
「はい」
「はい。気をつけますわ」
ふたりと雑談をしているうちに、他のみんなもロビーへ続々と集まってきている。
みんなが集まったところでみんなと一緒に外へ出た。
俺はテントを
「それじゃぁノルムの町へ行きますかぁ?
念のためにノルムの町の1キロほど手前にある森に転移して……
そこから
みんなは俺の
今度はさすがにタチアナも、俺の首に
マップを展開して索敵し、敵がいないことを確認してからシールドを解除した。
前回のように転移してくる者はない……
まぁ、転移できるわけがないんだけど……な。
「では……転送!」
一瞬の後、俺たちの周りの
俺たちは木々に囲まれている。
森の中に穴のように開いた広場の中心に転移したのだ。
予定通りノルムの町から1キロほど手前の森の中である。
そこから街道へと出た後、2列縦隊でノルムの町へと歩いて向かう。
先頭は神殿騎士のふたり。
先頭左側にスケさん、その右隣にカクさんが歩いている。
続いて神子たち、その後ろに冒険者たちといった順だ。
最後が俺とシオリである。
「なぁ、シオリちゃん。 俺はどうしたらいいんだろうな? これから……」
「子作りです!」
シオリがきっぱりと言う。
「へ?」
「この惑星での実験テーマは! 各ヒューマノイド種族と、シンさんとの間にできた子供たちに……」
「いやいや、それは前に聞いたから知っているんだが、そうする以外で、たとえば、
みんなは助けを求めている者を
"古いタイプの日本人"として生きた俺は、なんとなく
どうもみんなと同じにしていないと落ち着かないところがあるのだ。
「申し訳ありませんが、私はこの世界を出たことがありませんので
ネットで検索してみましょうか?」
「そ、そんなことができるのか!? じゃあ、ちょっと調べてみてくんねぇか?」
「はい。調べました」
「はやっ!」
「シンさんのご質問は新人管理者にとってのFAQのようですね。
回答としてベテラン管理者から集めたアンケート結果がのっていましたが……
「そうか……奇跡を起こして苦しんでいる人々を助けたりとかはしないのか……
なんか一所懸命に祈っている信者がかわいそうになるな。
まぁ~、俺は俺なりに思った通りにやりますかぁ……」
地球は『魂の刑務所』みたいなモノだと聞いてからは、死イコール解放だから……
神である惑星管理者が、人々の
「それにしても、救いを求める声のようなものが全く聞こえてこねぇが……
昨日の、神子たちから助けを求める声はなんで聞こえたんだ?」
「
そして、その条件をクリアしたのが昨日の
「そうだったのか。 彼女たちの
「フィルタリング機能の設定を
「ん?」
「
「なるほどな」
そりゃそうだ!
「
もっと遠方の信者の願いも聞いてみたい気はするが……」
「はい。 私も今はそのままでも良いと思います。
司令部に戻られた
「ああ、ちょっとそのことも考えてみる。 ありがとう。
しかし……シオリちゃんがいれば全知師は
ホント頼りになるぜ」
一瞬、
◇◇◇◇◆◇◇
みんなと雑談をしながら歩いていると、前方に町に入るための門、そして
検問所は2つに分かれている。
一般用と
検問所に近づくと、なにやら一般用の検問所で
「気持ちは分かるが、
すまないが帰ってくれ!」
「そこをなんとか! 神官様にこの子を
熱が高くて、このままでは死んでしまいます。 お願いです。入れて下さい!」
幼い子供を
女性の腕の中でぐったりとしている?
伝染病と聞いて、検問所前に並んでいた者たちがこの親子との距離をとる……。
門衛の言っていることは
リスクマネジメント的
自分たちがあの子供を治療しても良いかと、目が
子供の下へと行こうとしている神子たちを
これがシオン教の
「はいはい! もう大丈夫だお嬢さん!
俺がその子を治してやるぜ!
いきなり横から、"魔導士のような黒いローブ"をまとった男が出てきて……
子供を
母親らしき女性は、
どうしようかと
「大丈夫ですよ。 この方はこの世で最も高位の治療神術が使えるお方ですから。
安心してその子を
いつの間にか神殿騎士のスケさんが俺の隣に立っている……
母親らしき女性に、言葉をかけたのだ。
神殿騎士の言うことなら間違いなかろうと思ったのだろうか……
女性の顔からは
スケさん! ナイスフォローだ! ……俺は心の内だけで叫んだ。
「お願いします……もう1週間近くも熱が下がらないのです。
ここ2日は食事も全く食べられません。
今日になったら、水も欲しがらなくなってしまいました。
お願いします! 私にできることなら何でもします!
どうかこの子をお助け下さい! お願いします……ううう……」
「ああぁ分かった治してやるから落ち着いて。
たとえ死んでも
地面にふかふかのマットレスを生成して、そこへ、女性から託された子供をそっと寝かせる。 その光景を見ていた
アホみたいに口をあんぐりと開けているな……俺は思わず笑いそうになる。
「これは
「ああ……そんなぁ……ううう」
子供の足首にある
女性の顔は、見る見るうちに青ざめていく。
普通なら
「ん? どうした? 心配しなくても治るぜ、この子は」
「えっ! 本当ですか!?」
「
俺は子供に修復神術を
子供の体全体が
光のベールが消えると男の子は意識を取り戻し、起き上がって"きょとん"とする。
「ああ……ベルン! よかったぁ……よかったぁ……」
母親らしき女性が子供を
「ありがとうございます。 ありがとうございます……」
「修復!」
思わず女性にも修復神術を
淡い緑色をした半透明な光のベールが消えると女性の顔色も、見る見るうちに良くなっていく。
ふと、水分が足りてないだろうと感じて、缶のスポーツドリンクと
なぜペットボトルで出さなかったのかというと……
飲み物を出そうとした際に、地球で問題になっていた"漂着ゴミ"のイメージが頭を
ペットボトルだと
女性も、子供も、おっかなびっくりストローに口をつけて、一口飲むと
あっという間にスポーツドリンクを飲み終えた女性は……
町の方に向かって姿勢を正した!?
何をするのかと不思議に思っていると……。
「ああ……神様! この幸運をありがとうございます!
この方とお引き合わせ下さったことを深く感謝致します。
我が子をお救い下さりありがとうございました!」
彼女は胸の前で両手を組み、涙を流しながら、この町の神殿がある方向と思われる方に向かって礼を言う。
神は目の前にいるんだけどねぇ……ははは。
ん? 検問所の前に並んでいた人々の中には
男の子の方も、スポーツドリンクをすべて飲み終えたようなので、ふたりが飲んでカラになった缶とストローを回収して消した。
こんなに早く飲んじゃうとはなぁ!? こんなことなら……
ゴミはすぐに回収できただろうから、ペットボトルでも良かったなぁ……。
話を聞くと、やはりこの女性は男の子の母親だった。
ここから10km程離れた村から徒歩でやって来たらしい。
これから歩いて村まで帰るのも大変だろうと思い、シオリに神子たちを守るように言ってから、俺は親子ふたりを連れてその村まで転移して送ってやった。
ちょっと
転移するところを
こんなことなら、森に転移してから歩いて来なくてもよかったのかも知れない。
◇◇◇◇◆◇◆
親子を送り終えて親子の住む村からみんなのもとに戻ると、みんなは、笑顔で俺を
「お待たせ~。さぁてと、それじゃぁ町に入るとするか」
スケさんとカクさんがいるので検問はトラブルなく通過できた。
地球でいうところの中世ヨーロッパに近い
冒険者の女性たち4人はこのままギルドへと向かう予定だ。
俺たち神殿関係者は神殿に向かうことにする。
「シェリー、ラヴ、ラフ、ミューイ……お前さんたち、
今のお前さんたちはオーガ並みのSTRだから、そのことを忘れねぇようにな!」
「え? そうなんですか?」
「ああ。俺たちはみんな、お前さんたちか、それ以上に
「全く
「たとえば……今までの
「「「「……!」」」」
シェリーたち
「まぁ~、
「「「「は、はい」」」」
「ああ、それからな、お前さんたちは
お前さんたちに近寄ってくる男どもはなぁ、みんなお前さんたちの体が
「「「「はい」」」」
「よ~し、それじゃぁ……
俺たちは
ギルドへの報告が終わり
「はい。 分かりました。 それでは
リーダーのシェリーが代表してそう言うと……
4人は
◇◇◇◇◆◆◇
冒険者4人を
対応に出てきたのは年配の女性神官である。
スケさんが何やら言うと、女性神官は、俺に向かって
神殿の入り口から中に入るとそこは
「
「はい。ですが、現在『
終わるまでには相当、時間がかかるかと思います」
「相手は? その『
「はい。この町の商家のお嬢さんです」
「なにっ!? それはマズい!! すぐに儀式をしているところへ案内しろ!!」
「ですがカルメデオ様からは失敗すると大変なことになるから、誰にも儀式の邪魔はさせるなと言われていますので……」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ! そのお嬢さんが危険なんだ!
さっさと案内しろ!」
「ですが……」
これでは
マップを展開して、"カルメデオ"という名前の人物を捜すが……
この近くには反応がない!?
しかたないので、この神殿の中の生命体反応を調べてみる。
すると、
その
1つは状態異常の女性であり、そしてもう1つは、その女性と重なるような位置にいる男性のものだ!
その部屋の前には、他に男女2つの生命体反応が確認できた。
女性の保護者かも知れない……。
「これだ! スケさん、カクさん、右奥のドアの向こうだ!
俺は先に転移で向かうぞ! お前さんたちは後から来てくれ!
シオリちゃん、みんなを頼む! ……転移!」
俺の
転移した先の光景を見て、
「てめぇ! なにしてやがる!!」
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