第0006話 本当はいくつなんだ?(ラッキースケベ2)
「みんな待たせたな!
……タチアナ、俺のミスで
「いえいえ~、とんでもないですぅ~」
俺はみんなの元に戻ると、まずはタチアナに
すぐにノルムの町に転移しようと考えていたのだが……
日もだいぶ
なんかノルムの町に
みんなには攻撃神術の練習をしてもらうことにしようかな。
最初はうまく攻撃神術が使えなかったタチアナを見てしまったので、他のみんなは大丈夫だろうかと不安になったのだ。
「みんな聞いてくれ!
えーっと、これからすぐにノルムに行こうと思ったんだが……
シェリーさんたち冒険者もそれで大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。
ギルドへの報告は魔物の森の調査が完了し
神子たちも神殿騎士たちも異論は無いようだ。
「よぉし! それじゃあ、今夜はここで野営することにする。
それで……まだ明るいから、みんながちゃんと攻撃神術を使えるかどうか確認しておきてぇんだが、そうしてもいいかな?」
みんなは目を
我々からは50m程離れている。
ゴーレムのモデルは先ほどのクソ魔導士どもにした! 黒いフード付きのローブを身につけていて、ぱっと見は本物の人間のように見える。
マップを表示させて
念のために半径200mの範囲に防御シールドを展開しておくことにする。
さっきは
あの
「じゃぁ、ふたりずつ順番にあの魔導士型ゴーレムにファイヤーボールを
「「はい!」」
ふたりを
逆にスケさんとカクさん、ふたりは、ゴーレムに向かって
……ふたりは両手のひらをゴーレムの方に向けて
「「ファイヤーボール!!」」
まぁ、本当は声に出さなくても、
やはりタチアナの時と同じで何も起こらない……。
「あ~、タチアナさんや、みんなに説明してやっておくれ!」
「は~い、分かりましたぁ~」
タチアナは自身の経験に
「ファイヤーボールはぁ~、ものすご~い威力なのでぇ~、一番低いレベルのものを撃って下さいね~」
「「はい。分かりました」」
スケさんとカクさんが再び両手のひらをゴーレムにかざした。
「「ファイヤーボール!」」
ズババババババババーーーン!!
火球がゴーレムを跡形もなく消し去った。
みんなからは驚きの声が上がる!
ファイヤーボールとは思えない
燃えるというよりも、まるで
「よし! 合格だ! ……でもすごい威力だな!」
「「はい!ありがとうございます!」」
「今のが最弱のファイヤーボールなのか?」
「「はい! そうです!!」」
ゴーレムは使い回しができるだろうと思っていた俺の読みはあまかった。
新たに20体のゴーレムを用意しなおしてから、次のふたりを呼ぶ。
「よし! 次のふたり!」
「「はい! よろしくお願いします!!」」
◇◇◇◇◇◇◇
その後は
ファイヤーボールだけではなく他の攻撃属性の初級攻撃神術も念のために練習してもらったんだが、こちらも全く問題なく全員が発動できた。
なんだか全員の表情が自信に
まぁ、これで
俺は
「
ペットボトルに入った冷たい紅茶を人数分作成して、みんなに
「よぉ~し、みんな! お疲れ様! その紅茶でも飲んでひと息ついてくれ!」
この休憩を利用して俺は全知師に確認する。
<<
>>可能です。
この惑星内での転移・転送の
この管理システムの演算機能利用に対するセキュリティレベルを上げ、利用者を限定することで対応可能です。
<<なるほどな。
それじゃぁ、俺とシオリと全知師を除いて……
取り敢えず転移・転送に関しては演算機能を一切利用できないようにしてくれ。
あ、それと、今後俺が転移・転送を許可したいと思う者を俺の意思で許可できるようにしてくれねぇか? 何か問題はあるか?
>>シオリを除く、他の管理助手6人に対しても排除しますか?
なお、6人には
<<ん? 全員で7人も助手がいるのか?
>>はい。マスターが司令部に帰還されたら
そうか……でもこんな状況ではなぁ……。
<<全知師、ちょっと待っててな。
>>はい。マスター。
「シオリちゃん、俺の助手のひとりが行方不明になっているらしいけど?
どういうことか説明してくれねぇか?」
「はい……そのう~、本来の人族担当者が、かつてのシンさんとソリが合わなくて、ステーションを飛び出してしまって……
現在
「そうか……俺はパワーハラスメントでもしたんだろうか……?」
「いえ! 客観的に見ますと、彼女の方がすべてを
すべて
「なるほどなぁ……なんとかその子を探し出して
それで現在はシオリちゃんが人族を担当しているということなんだな?」
「はい。私は本来は各担当者を
「そうか……ありがとうな、シオリちゃん。
お前さんばっかりに苦労かけてしまって……すまん」
「いえ」
シオリは
「あ、そうだ。 その人族の元担当者はなんていう名前だ?
覚えておいた方がいいだろうからな?」
「はい。シオンという女性です。肉体は"人族"のものが使用されていました」
ん? シオン? ……女神シオンじゃないよな? ……まさかな……。
「他の管理助手もみんな"人族"の肉体を持つのか?」
「いえ。 通常は
「それで……どう思う?
管理助手のみんなには転移・転送権限を
シオンという
「いえ、私は付与しない方がよろしいかと存じます。
なぜなら、うえさ……シンさんに対して
「確かに一理あるな……」
「
「無用のリスクは避けるべきか……そうだよな。
ありがとうな、お前さんは本当に
「いえ、
<<お待たせ、全知師。
まずは、管理システムの演算機能利用に対するセキュリティレベルを上げて……
俺とシオリと全知師以外は、転移・転送に関しての演算機能を一切利用できなくしてくれ。
>>承知しました。
……管理システムの演算機能利用に対するセキュリティレベルを上げて、権限を持つ者以外の利用を禁止しました。
<<よし、次に……
シオン以外の管理助手には
>>承知しました。
……シオンを除く管理者5名に転移・転送権限を付与しました。
<<では最後に、現在
>>承知しました。
管理助手シオンが有する管理システムへのアクセス権をすべて
<<ありがとう、全知師。
「これで、ますますシオンとかいう子には嫌われそうだなぁ……。
そうそう! ところでさっきタチアナを攫ったヤツらなんだけど、女神シオンとか言うのを
「女神シオンというのは、シオン
「
「そのご質問については、データが
ただ、シオンが
「じゃぁやはり無関係なのか……?」
「シオンの
タイミング的には無関係とは言えない可能性もあります」
「まだ新しい国なんだな?」
「はい。
「北東? 鬼門かぁ?」
「きもん?……初めて聞いた言葉ですが、"きもん"とはなんでしょうか?」
「いや……俺がいた日本って国の
北東の
「そうなんですか? それで……それは
「まぁ、
俺が日本で死ぬ何年か前に知り合いが家を建てるってことになって、相談を受けたことがあってな、その時にこの
「家を建てる時に影響するんですか?」
「なんかなぁ……間取りを決める時にな、鬼門の位置に台所だとかトイレだとかを作っちゃぁいけねぇだのなんだの……があるらしいんだよ」
「変わった風習があったんですね?」
「ああ、でもなぁ~、
今、な~んか知らんが、"北東"って聞いて、ふと思い出しちまったんだよなぁ。
まぁ、だから気にしねぇでくれ」
「はい。承知しました」
「ごめん
それで……元々いた獣人族はどうなったんだ? うまく逃げられたのか?」
「残念ながら……シオン教徒にほとんどの獣人が
彼等の教義には『
「……なんか腹が立ってきた!
中央神殿に
「恐れながら……
「だがな……獣人族を
俺が
しかも……うちの
シオリちゃん、お前さんも
……
「お気持ちは分かりますが……|
獣人族
私や神子たちを攫おうとしたことについても、
現状では証拠を出せと
そうだったぁーーっ!!
タチアナを
"奈落システム"に入れられた魂は、たとえ俺でも手出しができなくなる。
ゴブリンの
俺はもっともっと冷静にならないといけないな。 反省だな。
「とにかく……
一度そのシオン神聖国ってやつを、
「シンさんがそう
その際にはお
「ありがとう。頼むぜ」
「ああ、そういえば
シオリにも聞こえるように口に出して
>>いえ、残念ながら
「そうか、見つけられなかったか……
それでは
魔物を引き寄せるものらしいんだが……情報はあるか?」
>>この件についてはデータ不足です。
「分からねぇか……。
実物がねぇんだから、しょうがねぇわな。 ありがとう全知師。以上だ」
「話がだいぶ
これで転移・転送の使用制限ができたんで、今回の"タチアナの誘拐事件"みたいに、いきなり現れて、かわいいお前さんたちを"かっ
「はい。少なくとも今回のケースのようなことは、不可能になったと考えられます」
「そっか……お前さんにそう言ってもらうと、なんか安心するんだよね。
ありがとうな!」
実はこの際だからシオリに聞こうかどうしようかと非常に迷っている質問がある。
気になってしかたがないことだ。
それはデリケートな問題のようにも思え、これまではあえてこの話題には触れないようにしてきたのだが……
えーーいっ! 思い切って聞いちゃえ!!
「あのさぁ、シオリちゃん。 すっげぇ失礼なことを聞くかも知れんが、怒らねぇで答えてくれるか?」
「……えっと、それはやはりご質問の内容
「んーー、そうだよなぁ……でもモヤモヤしてんだよなぁ~。
シオリちゃんの年齢のことなんだけど……」
シオリの表情が
「シオリちゃんの肉体年齢は17才なんだよな?
それじゃぁ、精神年齢というか、魂の年齢っていうのかは一体いくつなんだ?」
「17才ですが……?」
「えーっと……ここと地球とは時間の
……で、俺がおっさんになってから死んで帰ってきたっていうのにシオリちゃんの精神年齢は、なんでおばちゃんじゃないんだ? なんで若いままなんだ?」
シオリはクスリと笑う。
「ああ、そういうことでしたか……
私はてっきり、
すみません」
ふぅ~良かったぁ、シオリの表情がいつも通りに戻った。
「……上さぁま……シンさんが地球へと旅立たれてから、この惑星の管理システムはスリープモードに移行したからです。そのモード中は我々管理助手も一時的に機能を停止して待機状態になりますので……」
「Suspended animation か?
「はい。肉体はそれに近い方法で保存されていました」
「なるほど、そういうことか……
だからシオリちゃんは17才のままで、全くスレていないのか……」
「
シンさんが帰還する……とのメッセージを地球の管理者から受信した本惑星の管理システムが、スリープモードから復帰して……
シンさんのご帰還に合わせて、復帰した管理システムが我々を再起動したのです」
「じゃぁ、スリープモードへ移行してから復帰するまでの間は、この惑星は放ったらかしのようなものだったんだな?
だから、あんなシオン教徒なんてヤツらが、のさばっているのか?」
「はい。恐らくは……」
「ん? でもこの惑星の年齢っていうのか……は、46億年くらいか?
じゃぁ、俺たちだって46億歳以上じゃねぇのか?」
「いえ、以前申し上げましたように、
「ああ、そうだったな。 なるほど。データの
「はい。ヒューマノイド種族の歴史等も同じです。
おおよそ2万年分は、それらしい歴史データが作成してあります。
この惑星のことについては分かりますが……
「なるほどな……よく分かったよ、すっきりした!」
今の俺には本体の年齢なんてどうでもいいし……ああすっきりした。
ん? そういえばシオンは? Suspended animation しなかったんだろうか?
「ところで……
「たぶんそうかと……」
「そっかぁ。少なくとも精神年齢では "おばちゃん"、いやひょっとすると……
"おばあちゃん"? になっているかも知れないのか?」
フッと一瞬嫌な予感がした。
「分かった。 ありがとう。 では、そろそろ
テントの入り口を入ると大ホテルクラスのロビーが広がる。
そのロビーの左右には各人の寝室へとつながるドアが15箇所設置されている。
ロビーの中、テントの入り口とは反対側には2つのドアがあって……
1つは食堂へつながり、もう1つは
そして、脱衣所の向こうには、
もちろん!
そうなのだ! テントの中は、有名温泉街の高級ホテル
食堂にはバイキング形式の夕食を用意しようと思う。
自分の好みに合わせて好きなものを食べられるようにと思ってのことだ。
「さぁ、みんなぁ! お疲れ様! 今日は色々あって大変だったな!?
……テントの中には各人の寝室が用意してあるから、今日はそこで休んでくれ!
あ、
ただし、念のために俺とシオリは入り口近くの部屋で寝るから、それ以外の部屋を使うようにしてな!」
みんなはテントの中に入ると、大きなロビーに驚いている。
「夕食の準備は、みんなが風呂に入っている間にしておくから……
部屋の割り振りを決め、各人は自分に割り当てられた部屋を見に行った。
俺は入り口を入ってすぐ左の部屋で、シオリは同じく入ってすぐ右の部屋に
みんながテントに入ったので、このテントの
そして、俺は食堂に入り、色々な料理を生成し始める……
レプリケーターを利用して作成するので楽なもんである。
◇◇◇◇◇◇◆
料理の準備を終えてもみんなはまだ入浴中のようだ。
料理を作っている間にみんなが風呂から出てくるだろうと
◇◇◇◇◇◆◇
「あ~気持ちいい! 風呂は最高だなぁ! 温泉じゃないのが残念だが……
ふぅ~疲れが取れるぜぇ……」
「シンさん、お背中をお流しします」
「ひゃぁ~!!」
いきなり声をかけられたので飛び上がるほど驚いた!
いつの間にか白いバスタオルを体に巻いたシオリが風呂場にいる!?
「し、しし、シオリちゃん? なんでここにいる!? どうやって入った!?」
「部屋の入り口も、お風呂の入り口も、
"転移" してきました! ふふふ!」
「……なるほど……って、そうじゃねぇっ!!」
俺も男だ! 日本人だった頃は『
ここは
「気持ちは嬉しいが、やはりこれはマズいと思う……。
悪ぃけど出ていってくんねぇか?」
「
「あのさぁ……これでも俺は一応、男なんだよね。
こんなふたりだけの密室で、お前さんみたいな"
気持ちだけありがたくもらっておくぜ。 だから悪ぃけど帰ってくんねぇかな?」
「理性を保つ…ですかぁ?
どうぞお気になさらないで下さい。 これも
ささ、そこに座って下さい!」
「いやいやいや~! どうみても
お前さんにそんな業務をさせるわけにはいかねぇよ……」
「大丈夫です! これも秘書としての
「いやいやいや! それは違うだろ!? お前さんは
頼むから出て行ってくれよぉ。 お前さんは自分がどれほど
このままじゃさすがの俺も
「え!? に、肉秘書? 性欲? 押し倒す!? あわわわわわわ……」
ああ……この子は "おぼこ" なんだな……。
あわあわしているシオリを浴室から出そうと俺は立ち上がった……
が、これが間違いだった! 俺は目の前が真っ暗になった……。
◇◇◇◇◇◆◆
俺は意識を取り戻す……デジャヴ?
気が付くと俺はシオリに
そして、彼女は泣きそうな顔をしながら俺の頭を
俺がこっちの世界に戻ってきて、目覚めた時と同じ状況であった……
ん!? 次の瞬間、シオリの豊かな
なんというかちょうどいい大きさだ……
いやっ! ち、違うっ!? 同じ状況じゃないっ!
俺は
シオリは素っ裸だ! そして俺もすっぽんぽんなのだ! 状況が違うっ!
俺の背中を
俺が
お
思わずシオリの下半身へと視線を送りそうになる!
が、必死に! 必死に
シオリを見ないようにして1枚を彼女に差し出し、もう1枚は急いで自身の体に、腰の部分に
俺の体は自然と
ゆっくりと呼吸することに意識を集中しながら身も心も落ち着かせようとする。
『俺は
……………………
シオリの話では、俺は、
俺はまたまたやらかしちまったようだ。
ソリテアに続いてシオリにまでも……とほほ。
ラッキースケベ第2弾だ。
自分のことは置いておいて、まず俺のことを心配してくれたんだな……
ホント、いい子だよなぁ。
倒れる時に俺は体と頭をどこかにぶつけたようで……
体の数カ所に
それをシオリは回復神術をかけて一所懸命に治療してくれたのだ。
俺の体は
俺が意識を失っていたのは5分程度だったということだ。 その間ずっとシオリは自身が素っ裸であることをも忘れて、俺を必死に介抱してくれていたのだ。
マズいな……
「シオリちゃん、すまなかった……。
お前さんはホント、優しいいい子だな。 ありがとう」
「い、いえ……」
シオリの
俺はこの世界の神である! でも実はラッキースケベの神かも知れない……
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