第4話黒い翼


「--で、まだ見つからないのか」


「申し訳ありません」

部下は、そういいながら見つかるわけないと思っている

(--だって何を探せばいいのか、教えてくんないんだもん、わかるわけない)


そういいたいが、言えない――怖すぎて

さすがに肩で風を切っているような男に、何も言えるわけがなく


ー「申し訳ありません」というだけだ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



練習場に、悲鳴がこだまするーー「4号」のだ

道場の畳に、投げ落とされる

「、、、だから、私は「こういう体術」は得意じゃないっていったでしょ」


そういいながら、投げ飛ばされるーー正直、典型的ながり勉タイプ

ーー出身は読書、お気に入りは妖怪の本のブルーに、投げ技の特訓は酷すぎる


「--一応、男でもあるだろ、おめぇ」


ブルーが、まだおなかにいたころ、産婦人科の先生は「xy」男の子の遺伝子ですね、と母に言っている


ーーちなみに、見た目は無性器、中性「、、、そんなこと言われても」


そういいながら、起き上がるーー体が柔らかい、否、骨が柔らかくそれでいてしなやかに強い


ーー「特殊な器官」を持つが故の、全身の骨格の柔軟さと「さて、次はどうしますかね」

あらゆるパータンを繰り替えして、強くなる継続性ーーだが、弱いーー今は


「おら、立て」


ーー「5号」は、栄を親の腹にいる時から知っているーなぜなら、産婦人科の先生の息子だからだ


「、、、、、」

5号のちからは、一言でいうならーースピードだろう、

なに、もし骨にひびが入ってもーーブル―なら大丈夫、「特殊な器官」で、緑を出して埋めるさ


4号が対処しようとしても、遅いーーいや、対処しようとする前に投げ飛ばされている


見えない攻撃ーー、それでいて、ひざを曲げ、右足と右手を同時に出すことで

遠心力をさけーーブレーキをかけなくても、なめらかに曲がれる


「いったい」

「はいつぎーー」


5号と4号は、幼馴染であるーーだからまぁ、手加減はしてるし、4号もそれはわかっているのだが


(見えるわけない)そう思うーー実際、5号とて見えてるわけじゃない



ーー人が見えている、と感じるものは実は電磁波感知し、それが見えていると感じてるだけらしい


だから、5号はその電磁波の塊そのものとアクセスし、見るよりも深くーー深く

世界を感じる

5感から外れたーー感知能力


ーーゆえに、自身すら何も見えないスピードも、何の問題もない



ーー彼が、この能力を感知できるようになったのは「5」歳の時だった


普通に誰にも言わなかったでも、不思議には思っていた


ーーこの能力には、あらゆるものが見えるーー普段の五感を超えた何かが

でも、そのせいで「結果」を先に知ってーーそれをなにもいわずにそのままにして



ーーそのせいで、人間関係がこじれたところを見たことがある


ーー自分は、何もしなかった――関わり合いになろうとすらしなかった


ーーめんどくさかったからだ、傷つけ来たくなかったからだ

ーーーでも、「あなたの妹にしてくれますか?」



ーー初めて義妹ができた、その子は親に捨てられた子供で、俺の家に上がり込んできた

寒い冬の日だった

そのこがきいてきた

「ねぇ、なんで、その力使わないの?」


ーその通りだと思った、力を持つものは力を使うべきなのだ

なのに使わなかったーー情けなかった、何も説明もできないことが

その通りだったから



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る