第3話 先輩と帰り道①

土曜日。


学校イチ有名な『完璧美少女』最上みれい先輩と付き合い始めて最初の週末だ。

ウチの高校は土曜日も午前中だけ授業がある。いわゆる”半ドン”というやつだ。


朝は雨が降っていて憂鬱だったが、授業中爆睡していると、いつの間にか雨もすっかり上がって、煌びやかな日差しが雲間から差しこんでいる。


俺、雑賀清澄は今、奇跡的にも彼女になってくれた最上先輩と、屋上のベンチに並んで座り、今日も先輩の手作り弁当をいただいている。

相変わらず、先輩は俺のために一生懸命お弁当を毎日作ってきてくれている。


……全部キャラ弁だったけど。


昨日で現在放送中のぷ○キュアシリーズのメインキャラクターを全て平らげたので、今日はどういう攻め方でくるのか内心ドキドキしていたけれども……。


「はい、カレシ君! どーぞ!」


そこには昨日までとそう違わない、どうみても小さい女の子向けのキャラクターが、とても弁当とは思えないくらいリアルに再現されていた。

ゴハンの部分に、ノリで『タレントカツドウ~タレカツ!』をご丁寧に文字にしてある。


「せ、先輩。まさか、こういう小さな女の子向けのアニメが好きなんですか?」


先輩は自分の分の弁当(こっちももちろんキャラ弁)の中から、ソーセージを頬張りながら答える。


「ん~? 普通だよ~。それに最近はこういうアニメは大人にも人気があるしね! ほら、タレカツおじさん!」

「へ、へえ~。そうなんですか~」

「ところで清澄クン、今日この後時間ある?」

「え?」

「せっかく午前中で授業終わりなんだし、お出かけしない?」


キ、キター!! こ、これは正真正銘、デートなのでは!?


「は、はい! もちろん暇です! お供させていただきまする!」

「ははっ、何それ変なの~」


う、嬉しすぎて変な受け応えになってしまった。


「よしっ、じゃあお弁当食べたら出発ね!」

「はいっ!」


俺は興奮ぎみにタレカツ弁当を全力でかきこんだ。


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