第8話 城がある!そこには悪がある!

「シビれますぅ、女神様」

「当然よ」

 意味が違うのだが、かっこ良く扱ってくれないカネ?女神は本気で思う。

「いやっ、いやっその私もっ」

 苦しそうに、足をケアする小柄な子、何とも引き込むのに上手い演出だと私は思う。女神様からの扱いだ。しかし女神様の扱いはこうだ。

 日頃の扱いは悪い。良く決まるのに、誰も褒めてくれない。今日に限って、リーダーシップが上手く働く。

 女神の敵は二度死ぬ。はっきり言って本気で思う様になって来た。

「うん、今日はわたしって、寛大かんだいよっ!」

 両腕を広げてにっこりと笑う彼女の顔に日光が左側から射し込む。美女を見た。

 落ちてなるかっ、美女改変攻撃、究極の化粧品、光に。この不幸のリーダーシップの不届き者をォッ!意志力をこちらも働かせる程、意地とプライドが有る。知は力なり、ならば、経験は力なり。

 本による知力の収集量の圧倒的少なさは、基盤部分の不安定と言うより、女神体制の脆弱性をストレスでは無い所に語り彼女の噂話は、別のものにしてやりたいほどだった。

 演技を打つか。かみことわりが見れるか?賭けに彼女達のリーダーは駆り出される。

 彼女は思い出す。いつものように効かない相手だった。

 一瞬で、事を為すには最強の術式を、複数による同時意図の呪法であり、過去のクレーム傾向から、ごく早期に。つまり、求められる行動は一撃で決める事だった。

 さーって、せいの!「いくわよ」を省いた複数人での強力な呪法はリミットまで、完璧な筈だった。それだからこその他人による術式代行の手段を、執るのだ。

 そこの偉い存在は、自分で酒を飲み、眠る。騙されてはいけない。何かがつながる気がすると言えばかっこいいが、そこは女の勘だ。彼を信じるしか無い。



「んー、確かに、存在し無い城だ」

 一際明るい暗がりには目立つ、ライトアップが過剰にされた城があった。無いような気もするが、有った気もする。ここは知力を使って、機転を利かせて話を聞こう。

 領主の館か議事会が開かれた様な所のカラーリングが随所にロイヤルブルーがあしらわれ、お城ですとアピールして来る。

 忍び込み、バニルを逆さまに付けたサトウファントムと成ってる。サトウPってな訳だ。オレは、今から美女を救い出す。透明な状態のアメはナシだ。忍び込み、随所に決まるオレ、折々に触れるダサい表情のバニルも全然ばれない。自然と一体となり、こそこそと庭園を行き、噴水に潜る。バニルは程良い空気を提供し、謎の見廻りがいたら、バニルを付ければ仲間完成だっ!訊問、聞き出し情報を得る事も容易い。事実を述べる。激痛が走るらしい挙動に勇気が湧き、精神の余裕もある。「この飴を口に入れたら、人間に認識されることは無い」消えてしまった仲間を探すのに城は一苦労だ。シナリオはこうだ。コソコソと言う。「いいんじゃ無いのか」大丈夫だ。満足げだ。バニルの形状は、口の部分が調度良く開く。

 ダイナミックかつ、静かに猫の様にしなやかに影から影を行く。ライトアップもお城でーすと言わんばかりだった。広い部屋の一角、確かにそこにそれは有る。

 暗黒の波動、漂う破滅の衝動、終末への起動力それは……。デストロイヤーだ。その一部で有る事に間違いは無い。


 確かに、動力部と解る訳が無い。これは、夢だ。

 ファントム・オブ・ジ・サトウの紳士的な働きを見ていただけましたか!!オレは、恐怖に囚われし美女を救い出すっ!!

 破壊のレーザー光線のために仮面の変装用バニルを盾の様にその形で突き出す。

「逆さまだがな」

 バニルは言った。

 赤い光は、壁を貫き、城の外への脱出を容易にする。ヤバイっ!損害費として、借金返済に追われるぅ!しかし、闇夜のオレは、かっこいい。マントを着けたい気分だ。脱出用に空いた城の外壁に相当する部分で外気を浴びながら、ゴムが有ったのでそれで顔面に装着し、格好を付ける。姿は、見られても目撃されても、いくら今ばれても、ばれたとしても、仲間にばれようともU字型の仮面、三日月を模したバニルを逆さまにした仮面の男の筈だ。

 透明の飴の入ったスティックを右手に持ちながら。心の中で叫んだ。「決まったぁーっ!」風の爽やかさを天地逆に付けた仮面で受けながらコメントしてしまい、勝利の気分に彼は酔いながらそれでも言う。

「サトウプロデューサーだな。ハハハハハハハハハハハハハ」

 夢の世界は不都合な、仮面の形も最適な形状に変えていてしまったのだった。ポーズをバッチリ取り、風になびく髪が、風を浴びる感じが充足感を夢の世界でサトウ達に与えるのだった。「今、お救いしましたよ。見ていただけましたかっ!」意識は一点集中なので次々と、ポーズを取ってしまう。ロケーション上決めるのは仕方ないのでは無い。


 かっこいい自分がライトアップと夜風に城壁に開いた穴の外側への断崖絶壁の近く。今、街を救ったヒーローが逃げる準備をしている。

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