第7話 サラサラヘアークズマ

「透明のアメをゲット」

 透明になるアメがスティックのピンク色のまるで、祭りの模様に仕舞われている。粉砂糖のような物でコーティングされ、お互いにアメ同士がくっ付かない様に出来ている。

「ああ、確かに受付嬢は思ったよりも準備が良かった」

 早速、『時間も無い』と疲れが取れたところで、それは安心感だろうところから生まれる。機嫌良く出かける。


「サラサラヘアーだよな。お前」

「いやーさっきのクズマ見てたと思うけどヘアメイクさんが上手かったんだよ」

 十曲は披露出来る自信は無い。カラオケ用のネタはこれ一本に絞り込んでいた奇跡の芸だ。声も調子が良い。他人のためにこんなに本気が出るとは思わなかった。まあ、案外上手かった。バニルは感想を思う。

「俺を連れて行けとは言ったが、まずは怪しい仕舞える所だ」

 あれだな。彼は言いかかった。悩んだ。首尾良く準備をしたところで、出かける。今度は冒険だ。こんな所に、第二の冒険の入り口が有るとは思わ無い。

 武器が無い。これは、人の話を上手く聞き出す必要が有った。

 こんなに見たかったのは初めてだ。こう言ってやろうかと思ったら、なかなかだとプライドが邪魔したが、楽しめたのは事実だ。


 ──今、助け出しますっ!プリンセスさまっ──


 助け出す事で脳内は一杯で彼女たちの美貌のせいだが、それも特級の一番の強烈な色気に、はっきり言って目を背ける筈が、全然嫌味など無い、No. 1の彼女を思う、恋心にも似た酔いの様な思いに浸る。強烈さは狂気にも似ると言った感じは無く、自信喪失では無い。ヘラヘラとやる気が出続ける。

 だから、恋心にも似た状態なのであった。

 囚われの、労働状態の酷い仕打ちなどっ……。僕が未然に助け出してあげますっ!はっきり言って、オトコらしくこう思う。

 この合間の部分に、開いた片手で握り拳を作る気分だ。まあ、そこにヘラヘラと同様に笑う気分のはずの、バニルを持ち運んでいる。

 髪が風になびくのは久しぶりと言うか初めての経験だ。弱い風に、こんなに敏感に反応するものか?簡単に向かい風に、額がフルオープンするものなのか?感想と自分観察を思い、新しい経験とする。

 はっきりと持ち運んでいる仮面の彼は言う。

「しまう場所だから、城だな。ほら、そこにある」

「えっ!!」

 彼らの会話はバカでかい声で行われる。

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