第2話 夢である事を忘れない

 音楽を楽しみながら街道の店を見る。本気の品をどこも出す感じで非常に気持ちが良い。しかし、究極奥義が『夢である事を忘れない』これだ。ピンクのローブなんてのは、きっとそこの効果だろう。自然ではあるが、不自然でもある絵のような錯覚感を持つからだ。そうだ、と早速、オーダーしてみた店に行ってみよう。

 彼は、決意する。きっと、本気の美人になっているに違い無い。又は、攻略法を教えてくれるか、ガイダンスをしてくれるだろう。

『出来れば分かりやすい方が良い。何度も喋るので、回数に耐える聞き手が飽きにくいものを』ここで、先ず行き先を決めてしまう。そこでは、多くの店と同じく、出店が有り飲み物を振る舞っていた。

 そう、他の人間や存在たちは話にならないのだ。解説をこうつけてやろうかと言った感じが街からプンプンする。チョメ助がその、小さい体をよちよちと俺に気も止めず一直線に目的に向かう感じが、仲間の恐怖を感じ取り、こちらも一直線に目的へと向かった結果だ。


 もうちょっと良かった。大人と呼べる年齢に無い俺にとってこの胸から迫り上がるような何とも言えない。しかし、恋だけでは無いちょっと恥ずかしい感じで止まってしまう表現の至らないがしかし、スケベ。スケベ心では無い。これがわかるだろうか?


 飲み物をもらおうかと考える。しかし、夢の終わりはここからトイレへと言ったセオリーの記憶が炭酸系飲料への欲望をカットする。美貌に対しての恥ずかしさのあまり目を逸らしながら、懸念材料の先程の話を聞く。眼鏡を取ったら美女に大変身と言うあの感じがリーダー的存在の案内の美女に起きている。改変と言うか、そのっ大変です。お話しするのもっ!

 こんな感じに俺の精神状態はなるはずだった。半ば支配だ。そのはずが、夢の中らしくリラックスし堂々とオトコらしく、事の顛末を話し、質問し相談するサトウカズマの姿があった。

 相談を受けた彼女は言う。

「それは本当です。私たちが演技していると言っても構いません。助けに来ている仲間はこの場合ですと、夢の中から引きずり出そうとしている連中です。半ばプロです。出来れば化けると良いでしょう。変装です。私たちもプロです。プロですので、対策がございます。


 鑑定の話から聞いてしまった。つい、祭りの空気に流されて、色々とはっきり言うと全部喋ってしまった。証拠の半券を話しながら見せたのが事実、隠すオーダーは、無い。化粧でこんなに変わるのか?初めての大変身という感じだった。オーダーを受けてくれた女性はそんな感じ。何故か、彼女は話を続けた。


「だーめ。良いですか?お金はこの世界だけの物です。使いなさい。オススメは、姿が消えるアメのセットに透明タイプの半固形も美味しいです。探す者から身を隠すには、演技も良いとは私達も思います。よって、女の子に化けてステージが一席空いているのでそこで、化けすます事が必ず出来ます。野獣の嗅覚と感は鋭利な刃物より鋭く、人間の姿形まで写すと言います。全てを誤魔化すにはそこです。酔っていますから全員、勢いでどうにかなるでしょう。立っているわけでいいですし。何か知力はありますか?」

「女方というのがあったような」

「それです。それで行きなさい。それで、きっとあなたは夢を満喫できるでしょう」

 トイレにびびるのもしかし、良いと思い、少しだけ下さいとオーダーする事にする。

「飲み物を少しだけ下さい」

「いいですよ」

 これが、ステージで効く魔法ののど薬だと思わなかった。飲み干しながら気付く。そして、それ以上のプランは無いと思い知り、頭を下げる。

「ありがとうございましたっ」

「行ってらっしゃーい」

 透明な炭酸飲料をさらに透明にしたような感じだ。甘さも濃厚に甘く、透き通るのは炭酸飲料と喉ごし、これは美味い。リピーターがいる訳だ。

 遠くで声がする。

「秘密とかばらしたら絶対っ!許さないんだから」


 あなたより透き通る喉ごしですよ。こう、皮肉混じりに思いつつ、頭脳も明晰で絶好調と考える。自己判断が最適だからだ。ほぼ、案内してもらえば良かったと、気後れと後悔をしつつ、メインのステージまで辿り着く。

 プロの指摘は強烈であり、彼女が詰問されている。艶めく反射をする。この世の人間が見たら羨ましいだろうピンク色の髪の毛が、忌々しいと言わんばかりだ。

「ふっ、元仲間よ。さらば」

 追跡者と化した、元々酒豪共を尻目にスタッフが立つ所に、「紹介してもらった」と機転をきかせ彼が向かえばあの案内してもらった彼女が助かるかもしれないと都合の良い事を思いつつ、ステージ名に『クズマ』と書く。


 化粧をされながら、獣の嗅覚が効かない夢特有の危機の感覚を得る。特殊なスキルは一切効かずあれは確かに、逃げるのに強いツールだと、思い出す。「そっか。脱出が夢の話の終わりだ」それもなかなか良い。思った事を書き留めたいと思いつつ、ちょっとの後悔を得つつ、そうだ!必死にステージを覚えねば。俺はクズマだ。いや、プロだ。私は、クズマよっ。身近にいる仲間が女性ばかりと言うのも、女形としての格が上がる。こう言ってはなんだが、観察力だ。

「夢の中で、何があったのか喋りなさい」

 こう、女子ならくるだろうと思いつつ、必死に台本を読み、覚える。知っている歌と、振り出だ簡単、夢はたまに記憶に依存する。なるほど。そして、カンペ的に持ちやすい。化粧は終わり、チェックに手鏡を持たされ、強制的にチェックをされる。『クズマ』の名前が出演者の合間合間に来るときに次々とチェックされる。

 ボーイッシュな女の子なら確かに普段の格好はユニセックスだと気付かされる。夢の中だ夢の中、大丈夫だ。こう、言い聞かせるほど完璧な、女の子の完成だ。酒で酔っている適当な観客の中に、知り合いの声は無いか、不安になるが聞くとセーフだろう感じだ。ヘアセットが終わる。さらに完璧だ。そして、完璧に仕上がったとこう言われる。

「仕上りました」

 最後にシュッと香水を女性専用のを一拭き吹き付けられ、今はその気持ち悪く無い。気分は乗っている。多分大丈夫だ。頑張って火で炊いた照明に、感謝をする。思わず、こう言うのって「アイドルだ」こう言いそうだ。

「うおーっ!」

「うおぉーっ!」

「ウォォーッ!」

「ウオオー!」

 ウェーブが熱狂と共に巻き起こる。マイクは無いが観客はそこそこの女子がメインを引き立てに来たと驚異的な盛り上がりを見せる。奇跡の美声を披露できる唯一の女子ネタカラオケだったので、余裕で楽勝だー!

 夢の中の融通を思いつつ、ネタとして仕込んでおいたものをフルパワーで演じる。客は感涙しつつ、バンザイのウェーブが前後に起こる。

 振りとしては仕舞っていたかの様に思い出すだけ。

 内股なのが大変なだけだ。意識と言うのはコントロールに反し、完膚なきまでの動作への、従えと言う命令を実行する中で、観客の観察など、変に意識がクリアなか、見てはいけないものを、見つける。

 そこら辺に落ちる。変に喋る仮面、バニルだ。


 盛況の内に、ステージは終わり、バニルを拾おうか考える。しかし、彼はこう言う。

「観客は、酔っていてオレの存在を変だと思わぬ」

 こっそりと隠れながらバニルを拾おうと思う。『仲間がいると良い』とのお告げも気になるからだ。第二幕は彼と一緒でもどうにかなるだろうと考えての事だ。

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