第18話 国王・”ペールギュント”のプロフィールのデッサン

 

 プリンセス・クレープの父で、偉大なる国王の<ペール・ギュント>については、ここまで詳述されませんでしたが、一章を割いて、このいろいろな意味で重要な人物の素描デッサンをしておこうかと思います。


 既に千歳を越えている、褐色の弓使いで、歴戦の勇士、底なしのアビスのごとくに途方もない魔力を誇るダークエルフの叡王…それがペールギュントでした。


 もうファンタージェンは、平和の世が長く続いていて、ペールギュントが国王として戦乱の陣頭に立って、大陸を縦横無尽に駆け回り、うじゃらくさいオークたちを屠りながら勝利の美酒やら敗戦の涙やらをこもごもに味わっていた、彼の青春時代、戦国時代は遠い昔の物語のようになっていました。


 ファンタージェンは、もちろん人類の普遍無意識ユニヴァーサルアンコンシャスの、幻想的なイマジネーションの位相に存在する架空の世界ですが、無数の、すべての人類の意識無意識の沃野に日々消長する無数の妄想やファンタジーのかけら、それらすべてを掬い取って、時々刻々に進化変容している…そうして、あたかも多元宇宙のように、ありうるイマジネーションの数だけ無数のファンタージェンが存在しているとそうも言える…


 ありうべき、どこにもない、クレープたちのファンタージェンは、唯一無二なのだが…


 そのこの物語世界の中の、実質的なヒーロー、主人公がぺールギュントであって、クレープがタイトルになっているのは作者の少女趣味というか現代的な韜晦アレンジ?で、「史記」でいうなら、本紀がペールギュント、これはクレープ列伝とか?そうなると思う。


 北欧神話にある”ペールギュント”は、もともと民話で、イプセンが戯曲にして有名になったが、北欧つながりで、なんとなく借用したものです。基本的に無関係。


 このファンタージェンのペールは、万世一系のエルフの王国の”中興の祖”的な名君で、一応理想的な、超絶的に強くて賢い父親というもののイデアの体現で、おいおい戦いの場における無類の強さは明らかになる予定…ボクの「恐竜」という掌編ファンタジーには「オキロ」という王様が出てきて、暴君ネロからもらった命名ですが、イメージがダブる感じです。


 褐色の体躯は、逞しくて、身長は2メートル超。騎馬武者らしい俊敏さと、弓の使い手ならではの屈強さ、強靭な膂力。それに、もちろんエルフならではの怜悧な頭脳、千里眼、王族の家系の美質である底なしの潜在的な魔力、それらを併せ持っている。イメージはまあスーパーマンでターザンでダビデ王?そういう妖精国の盟主…それがペールギュントでした…


<続く>


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