第16話 戦争の勃発
先述の通り、このエウロペ大陸には、三つの妖精の王国があって、それぞれに個性的で、独自の文化と歴史、政治制度を有していて、拮抗状態でした。
長く平和な時代が続いていて、三国とも繁栄を謳歌していたので、今は、「ベルエポック(良き世)」と呼ばれていて、それぞれに外交大使を派遣して、大使館を介して、相互交流も盛んでした。
ファンタージエンの、いわば、お伽話の世界の妖精の国…であっても、知性を持っている存在がごまんとひしめいている限りには、様々な愛憎、相克、確執が、むしろ嵐とか坩堝とか、そんな具合に渦巻いていて、そういう無数の人格やら人間関係(妖精関係?)のせめぎあいの総和、結果として、徐々に平和の維持が難しい状況に、機運や趨勢が傾いていっても、それは賽の目が悪く転がったとか、そういうことに過ぎないかもしれない…
物語の神様が、作者という「お筆先」に、どういうストーリーを語らせるか、そこは、それこそ神のみぞ知る、未知の神秘的な領域…つまり、様々な、「今」という時空と状況を構成しているパラメターが、時計の歯車のように複雑にダイナミズムを型作り、一つの、イメージや趣意に満ちたシーケンス、「物語のストーリー」を紡いでいく…それも一回限りの投企、実験。歴史と寸分もたがわない、何かの事件でしょう。
これから展開していくのはつまり、その試験管経由で試行された実験の結果…いずれにせよそうならざるを得ない。
小説執筆者として、そうした実験を繰り返すクレープの、そのミクロコスモスとマクロコスモスのオーヴァーラップ、メタな次元とリアルの次元の錯綜と、派生する無数の分岐、イマジネーションの百花繚乱、そうして、予定調和の収束。
そうしたこれからへの「幻視」。それは結局、純粋持続?の中で、それが徐々に明確にされていくプロセス…どこでもないところにある、”そこ”、その物語空間ではこの世界やら宇宙やら総合的な概念に内在する森羅万象すべてが語られねばならない!
<続く>
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