第5話やさしい時間pt2

大好きな祖母がなくなった12月。


大好きと言いながら

片手くらいしか会いに行ったことが無かったことを悔いた。


部屋には祖母の写真を飾った。

手くらい合わすようにしている。


私は10年持ちませんよ宣告と共に

子供は望めないとも言われた。

作る機能の問題ではなく作っても

死んでしまうということ。


案外わたしは、むかしから

「母親」になりたかった。

唯一、それが夢だったかもしれない。

心にぽっかりと穴が空いた。

ヒューヒューとすきま風がなる。


周りの友人が続々と

母親になった。

複雑だったりもしたが脱した。


仲のいい人の子供たちの成長が

すごく愛しくて楽しくて

一緒に経験させてもらえる事に最近は感謝している。


寝返りができておっちんできて

歩き始めて

今では私の名前を呼び話しかけてくれるようになった。


その姿をみて笑ったり泣いたり

母親っぽい感情を経験させてもらえる。


体の調子が良い時

一緒に自然のある場所へ行く。


落ち葉を集める。


赤に黄色

ガサガサ音がなるだけできゃっきゃと笑う。

幸せの音が鳴り響く。

平和の空気に包まれる。


野良猫を追いかける。


夕日を見つめる。

橙色に染る空を見ながら


綺麗ねーと言ったら


きれーねーと真似して答える。


日が暮れて

月が出てくると


お月さんーきれーね

お月さん一緒にかえろー


という。


愛しくてやさしい時間がたまらない。


神様どうかこの子の成長をもっと持って見させてください


とこっそり心の中でお願いする。


そして帰宅して


ああ、自分の子は持てないんだなと落胆を繰り返してみる。


小さな狭いバスタブに半分だけお湯を張り


アロマの入浴剤をいれ

音楽を聴きながら半身浴をする。


お風呂から月は見えるかな?

と窓を開けるが


寒くてすぐにしめる。


そしてまた半身浴をして


はあ、寂しいな


と泣いてしまうのだ。

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