第4話 入院

胸が苦しくなり息ができない。

気がつけば、救急車に乗って色々聞かれるが意識は朦朧としている。


とにかく、しんどい。

楽になりたい。


酸素マスクに点滴。

無機質な硬いベッドで目が覚めた。


んー頭と腰が痛い


誰かに迎えをと言われたが

誰に連絡すればいいのか分からない。

ルナとは最近会ってないし

彼に電話しよう。


あぁ


彼は違う女といるんだった


それが分かってオーバードーズしたから今ここにいるんだった。


すごく寂しい。


黒髪の長いサラサラヘアの

華奢なあの子は、彼に抱かれながら私を友達と呼んでいた。

職場の知り合いだった女は、

私のやさしい彼とSEXしていた。

私のやさしい時間を意図も簡単にぶち壊したのだ。


ああ、頭が痛い。


ルナに電話したが出ない。

私は1人でバスに乗り寂しい自宅へ帰った。



あの日の夢を見た。

ああ、ここは病院か。

昨晩遅くに容態が悪くなり

かかりつけの大学病院に入院して

さっき検査を終えた。


ガンの腫瘍マーカーに反応があった。


フワフワしてる。


私は、多分長くないんだな。


そんなのはドラマの話だと思った。


ああ、昔から物語の主人公になるのが得意だったからね。


窓からやさしい陽の光を感じる。

四人部屋。

声が漏れないようにタオルを噛んで泣いた。


声を漏らさないようにタオルを噛むなんて

友達の実家で内緒でsexした時以来だな。

なんて馬鹿な事考えながら

ひたすら現実から逃げ出す術を考えていた。


もう少しでご飯の時間

ワゴンがガラガラとなると部屋からみんな廊下に出てご飯を待つ。


その光景がけっこう好きだ。

なんかみんな可愛かった。


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