第3話 やさしい時間pt1
酒にタバコに自暴自棄な日々。
それはいつもと変わらない日。
ニコニコと店にたち仕事をしていた。
ヒョロりと背が高い髪の長い人。
お香の匂いがした。
低い声でアイスコーヒーひとつ、
って言って目じりシワシワで笑った。
それから5年かな
私は彼に振り回されるわけで。
だけど、
めちゃくちゃしんどくて
めちゃくちゃ嬉しくて
めちゃくちゃ刺激的で
やさしい時間が流れたのは事実だった。
彼と暮らしだして
自然とルナと会う事が減っていた。
気がつけば
カバンにウィスキーを入れなくなった。
彼とたまに電車に乗る練習をしたけれどやはりいたたまれない。
そうなるとサッと手を握って下車して街を歩いた。
電車が嫌ならいつでも車を出してやるよと彼は車を買った。
車にはいつも寝ぶくろとテントを積んでいた。
私が夜中にパニックを起こして泣きわめくと静かに抱きしめてくれた。
そしてドライブに行った。
自然のある場所へ行きキャンプをした。
焚き火をして
揺れる火をみながら沢山話したし
笑ったし泣いた。
キスをしたし気持ちいいSEXをした。
寝ぶくろに入りながら
彼が星の話を聞かせてくれた。
バックパッカーをしていた時代の世界の話を聞かせてくれた。
話す彼の横顔がたまらなく可愛くていつも話を邪魔してキスをした。
こんな時間は初めてだった。
いつも何かに怯えていたし
いつも孤独だったから。
こんな時間に最初戸惑った。
だけど
すごく素敵な時間なのは直ぐに分かった。
一生続くと思った。
一生離れられないと思った。
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