第5話 持つべきものは、親友です 〜あなたを想う〜
「私ね、最近もうすっかりかなたに会わなくなったし、もう忘れられるんじゃないかなって思ってたの。でもね、ふとしたときに思い出しちゃって…。幸せだった頃の思い出とか、かなたの笑顔とか思い出しちゃって。やっぱり難しいなぁ」
雫は語り続ける私を止めることなく、私の背中をそっとさすりながら話を聞いてくれた。
「昨日も杉原結婚したって聞いて、かなたじゃないといいなって思っちゃった。まぁかなただったけど。かなたの結婚ってわかってさぁ、あぁ分かってたけど私ってもう関係ないんだなぁって思い知らされた。心のどこかでちょっと復縁できるんじゃないかとか考えてた私恥ずかしいなって思うし、それが打ち砕かれて辛くなっちゃった。私が忘れれば、別の人を好きになればいいだけなんだけどね」
別れてから気になる人がいなかったわけではない。いいなって思える人とか、これはもう好きなのかもって思ったことだってあった。でも、やっぱりふと思い浮かぶのはかなたで、かなたより好きな人ができたことはなかった。
「はる、私ね、人を好きになるってすごいことだと思うんだ。だから、好きだって思って、ずっと好きだった人をそう簡単に忘れるなんてできなくて当たり前だよ。しかもはるには幸せな思い出ばっかり残ってるもん。好きを無理に止めるのは無理だし、しなくて良いと思う。でもね、私、はるが辛い想いをするのは嫌。だから無理にあいつを忘れる必要はないけど、ゆっくりで良いから前向いてほしい。他にも素敵な人はたくさんいるよ。私たちまだ20代だし、ゆっくり頑張ろう! 社会人1年生のはるにはたくさんの出会いが待ってると思うから次の恋見つけられるように応援してる!」
雫はすごい。いつも私の考えてることをわかってくれて、適当になんてあしらわないで、いっぱいアドバイスをくれる。最後は無理しないでってゆっくり考えさせてくれるところも大好きだ。
「しずく、ありがとう! ちょっと元気でた。ちょっとずつ頑張ってみる」
「それならよかった。無理はしちゃだめだよ? まぁすぐに素敵な出会いをして、あんなやつのことなんてすぐ忘れちゃうかもしれないし!」
「へへ、そうかもね! 頑張れそう!」
「今の生活も私との時間とか仕事の時間がいっぱいになって案外いいかもよ〜」
「そうかも〜」
「また相談したくなったら深夜と仕事中以外は受け付けますからね〜」
「はい、よろしくお願いします! しずく先生!」
ふざけて笑い合ったら少し気持ちがすっきりした。
「じゃあ、はる! 美味しいものでも食べに行きますか!」
「賛成! 行こ〜」
やっぱり持つべきものは友達、いや親友です!
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