第4話 持つべきものは親友です。~優しいココア~
おはようございます。なんだかいつもとは違う風景の中、目覚めました。あれ? 私…
「頭、痛っ! うわ、二日酔いとか初めて…」
「はる〜 起きた? 人の結婚式の後のパーティーで酔い潰れるなんてあほか〜」
見覚えのあるこの部屋は雫のお家です。2人はまだ一緒に暮らしていないようで。
「ごめん。雫、ちょっと色々あって」
「話は後で聞くから、ちゃんと寝てな? ってか、会社の心配しなさいよ。社会人1年生!」
…やばい。やばいやばい! 佐山さんに怒られる!
佐山さんに全力で謝罪するとそんなことになる気がして仕事片付けといたという言葉と社会人なんだからしっかりしなさい、以後気をつけるようにとのお叱りの言葉を頂いた。
「あんたの会社の人優しいね〜。二日酔いで休みますは酷すぎだから、明日直接もう一回謝りなよ? で、珍しく悪酔いするくらいあんたが飲みまくった理由は何?」
割と広い会場の中では、雫に奏太の話は届いていなかったようで。何があったのか聞かれた私は昨日のことを思い出してまた泣き出した。
「え!? 何、どうしたの? 言いたくないこと?」
子どものように号泣する私に、いつも冷静な雫も珍しく動揺していた。
「かなた…、結婚したらしい」
「え。それほんと? うわぁ、それはキツいよね… ちょっと待ってて、あったかいもの持ってくるから! 今は思う存分泣きなさい!」
雫は私が奏太への想いを拗らせて、未練を断ち切れないでいるのを知っている唯一の人だ。私の気持ちを尊重して奏太の話を聞いてくれたり、復縁できないか考えてくれたこともあったし、逆に私が新しい恋をするように男性を紹介してくれたり、恋愛小説や漫画をたくさんくれたりしたこともあった。とても優しい雫を私はまた困らせている。でも、彼の結婚をそんなすぐに受け止められないよ…。
「はる〜、ちょっと泣き止んできた? ココア飲める?」
「グスッ。ありがとう。ごめん、泣いて。あと勝手にティッシュもらった」
「別にいいけど、大丈夫…ではないか。えっと、言いたいこといっぱい話な?」
私の親友は優しさの塊です。
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